猛暑が続いている。
それも、「危険な」と言う形容詞付きだ。
日本の夏が壊れ始めている。
「えーい、どっか涼みに行くぞ。」(私)
「どこにね。」(家内)
「どこにって、お前、あれだ。えーっと・・・」
白川水源だ。
水が生まれる里南阿蘇村にある代表的水源で、名水百選にも選定されている。
水源は、涼を求めてやって来た沢山の家族連れで賑わっている。
先ずは水源から流れ下る沢に手を浸し、
「ひょー、冷たかー。」
と、定番のセリフを叫ばねばならない。
奥まで進むと神社の境内となっている。
その脇に水源はある。
滾々と湧き出る水は毎分60トン。
この常温14℃の清らかな水は、やがて熊本市内を流れる白川となる。
水汲み場は、湧水場の一段下にあり、誰でも無料で汲む事が出来る。
家からペットボトル2本を持ってきたオバサンが水を汲んでいる。
「どうせなら、20Lのポリタンクば持ってくればよかったにゃ。」
「誰が抱えて帰るとね。オッチャンがするとね。」
いや、無理です。
キッパリお断りします。
我が家はこれで十分。
慎ましいのが一番だ。
茶店がある。
ちょいと休憩しよう。
名物の水まんじゅうでも食うか。
ツルリン
冷たーい、あまーーい。
さて、昼時である。
銘水も汲んだし、どこかで昼飯を食べるとしよう。
「さっき、この水源のすぐ手前に、赤牛なんたらって看板が出てたよな。」
やっぱ熊本と言ったら、『馬刺し』か『赤牛』だろう。
どっちにしようかな。
悩んじゃうぜ。
食堂まで続く通路の脇には、さりげなくヘビーなコレクションが。
早くも、ただならぬ気配がしてきた。
どひゃー!!
スゲー!!
なんじゃこりゃー!
岩崎宏美に石野真子など昭和のアイドル達から、舟木一夫やら水前寺清子等々のド演歌まで。
レパートリーが広すぎて、コレクターの正体すら掴めない。
それにしても、藤ひろしとは渋すぎるぜ。
八神純子ね。ハイハイ
高田みづえに五輪真弓、おっと、ゴダイゴなんてのもある。
黒ネコのタンゴときたよ。
二人で歌ってたなんて、今初めて知った。
あ、西郷輝彦の星のフラメンコ。
これ持ってた。
そうそう。
EP盤なのに、4曲入りだったんだよ。
探したら、どっかにある筈なんだけどねえ。
「赤牛丼お待たせしました。」
そう言えば、飯食いに来てたんだった。
コレクション眺めるのに夢中で、昼飯の事忘れてたぜ。
「味噌とワサビを絡めてお召し上がりください。」
了解。
では、頂きまーす。
あ"っ!!
撮影に気を取られて、ご飯落下!
口への搬入失敗である。
再度、リフトアップ。
モグ
赤牛ならではの噛み応えと旨味が、我が口中に広がる。
何となく丼の中が荒れているが、気にしてはいけない。
店のオバサンの言う通り、赤牛一枚一枚に、味噌とワサビを等分に付けていたらこうなったのだ。
仕上げは温泉玉子を潰し、
美味くてどうも、すみませーーーん。
食事の後、店主が厨房から挨拶にやってきた。
守備範囲があまりに広く見えたのは、
「舟木一夫とか演歌は親父の物で、あと、寄付で貰ったりってのもあります。」(店主)
全てのジャケットには、ちゃんとレコード盤が入っているとの事。
それにつけても、コロナ禍で店の売り上げが減って大変らしい。
「そいでん、熊本地震の時に比べたら。あん時は2年間、店ば閉めてたですもん。」
元気な返事が返ってきた。
がんばれ熊本!
がんばれ白水乃蔵!