「あ～、載せるくらいならくれよ！」
家内がソファーに座り、天を仰いで嘆息している。
相変わらず言葉が少ないヤツである。
これで理解できるという人間にお目にかかりたいものだ。
いったい全体、何に何が載ったのだ。
いや載ったのか、あるいは乗ったのかすらわからないではないか。
そして誰に、何をくれと言っているのだ。
主語はおろか、目的語すら省く離れ業だ。
皆目わからん。
しかし、こういう謎の言葉を発することなど、ヤツにとっては日常茶飯事だ。
いちいち、相手などしてはいられぬ。完全スルーが一番だ。
・・・・・・・・無視
『今日の福岡県地方は6日連続の猛暑日となる模様・・・』（テレビの音声）
「あ～あ、ケチ。」（家内の一人言）
『さて、次のニュースです』（テレビ）
「・・・納得できーん。」（家内の一人言）
（・・・まだ言っとる。 私）
『当選後、初の登庁となった小池・・・」
「・・・・・・・・・」（家内）
・・・・・・・・・（私）
えーい、
なんか！なんのこつか！！
とうとう我慢しきれず、ヤツに訊いてしまう私。
「これ。」（家内）
ヤツが私に渡したのは商店街のフリーペーパーだった。
？
実はヤツはこてこての懸賞マニアなのだ。
商店街の抽選に例によって葉書で応募した家内。
その懸賞は、なんらかの商店街に対するコメントを書いて応募するのが決まりらしい。
結果、
ヤツのコメントだけが商店街のフリーペーパーに採用され、肝心の抽選には、
「外れた～～（泣）」（家内）
らしい。
やっぱ・・・相手しなければよかった。
まだまだ修行が足りぬと気を引き締める私であった。
余談だが、
フリーペーパーのコメント欄のヤツのハンドルネームは、
超うけた。
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