「んじゃ、行ってくる。」
朝から家内は、福岡へと出掛けて行った。
行ってらっしゃいませ。
私はと言えば、山へ芝刈り・・・じゃなかった、高良山へ山登りだ。
昼前に帰宅。
・・・腹減った。
そういや、ヤツはいないんだったな。
インスタントラーメンでも作るか。
ガサゴソと乾物類を置いている棚を探していると、
こんなのが・・・
おやまあ、どなたかと思えば、さんま蒲焼君じゃあーりませんか。
久々、これ食うか。
でも、どうせ蒲焼食うんなら、タレが焦げたあの香ばしさが欲しいよな。
そうだ!
あれだ。
ドピューン
タレの香ばしさを求め、キャンプ道具を置いている元の会社に、ドタバタと出かける私。
言いたかないが、たかがさんまの蒲焼き缶である。
我が事ながら、こんな面倒くさい暇人とは、関わりたくはないと思う。
さて、
1kmも離れた元会社に取りに行ったキャンプ道具とは・・・
火起こし用に使っているガスバーナーである。
ゴーーーー!
ね。
いい考えでしょ。
蒲焼のタレどころか、ご飯粒が焦げている気がするが、あれはきっと、幻を見ているに違いない。
自分の妄想を信じて、貫徹あるのみである。
でけた。
錦糸卵を作り、山椒を添える。
当然の事である。
さんまの蒲焼の為には、妥協の二文字などないのだ。
・・・長い道のりだった。
では、
私が思い描いた姿とは、少し違う気が・・・
モグ
ふむ。
なるほど。
肝心の味となると、
思い描いていたものとは、更に違っていた。
何たる事だ。
言ってみればこれは、ただの焦げたさんまである。
探し求めたあの香ばしさは何処に・・・
教訓。
さんまの蒲焼の為に、わざわざキャンプ道具を取りに行くのは止めておこう。