またもや九重である。
九重ったら九重なのだ。
誰が何と言おうと九重なのだ。
だって、
紅葉ではないか。天気最高ではないか。気温もベストではないか。
と、
考える事はみんな一緒のようで、牧ノ戸に着いた時は、駐車場には車の置き場など既に無くなっていた。
路上駐車の車が、下の大曲登山口辺りから、ずっと続いていた程だ。
幸い、老夫婦から駐車スペースを譲って貰う幸運があり、すんなり駐車する事が出来た。
牧ノ戸レストハウス脇では、大分県警が出張してきて登山届の受付をしている。
ついでに登山の心得を拡声器で放送し、注意喚起をしていた。
ドウダンツツジが色鮮やかに、登山口で挨拶してくれている。
今回、私たち夫婦と義兄、友人夫婦の5人のパーティである。
んじゃ、出発しようか。
「隊長、道案内よろしくお願いします!」
いつのまにやら、私がリーダーとなってるらしい。
この中では、私だけしか今回の目的地である中岳に登った人間はいないのだ。
仕方あるまい。
頼りないリーダーではあるが、取り敢えず、賑やかにいこうぜ。
と言っていた端から、沓掛山下りの岩場で、いきなりの大渋滞である。
日曜日という事もあり、小学生以下の子供が多く、仕方ない事なのだ。
ゆっくりでいいよ。滑り落ちないように降りるんだぞ。
紅葉に染まる山の向こうには、三俣と星生の山容が。
今回の九重登山の目的は、冒頭に書いたように、
九州本土最高峰の中岳から天狗ヶ城を登り、九重を象徴する景色と言っていい御池の絶景を見る事である。
星生山を横目に見ながら西千里ヶ浜を行く。
相変わらず、登山者の途切れ目が無い。
まるで大名行列である。
季節を忘れたミヤマキリシマがここにも。
何となく得した気分である。
肥前が城。
ススキの原が広がる。
星生崎の奇岩を横に見て岩場を降りて行くと、
避難小屋前の広場である。
たまには、隊長らしく指示をした方がよかろう。
「えーっと、ここで小休止しようぜ。トイレに行きたい人はここで済ませといて。」
阿蘇の五岳をハッキリと目に収める事が出来る。
明日はあの辺りに俺はいるんだな。
そう、明日も別グループと山なのだ。
連チャンの山登りである。
この件は次回に。
久住別れから中岳方面へ。
この日の九重は、ガスが覆ったと思うと、瞬く間に晴れたりと、実に目まぐるしい気候である。
「リンドウ見っけ!」(家内)
相変わらず、花に関しては、目ざといやつである。
あれだけ咲き誇っていた九重のリンドウも、これを含め、あと数本のみしか確認できなかった。
硫黄山が僅かに噴煙を上げている。
コケモモの大群落を過ぎ、
今日のメインイベントと言っていい御池到着。
「わー、素晴らしか!」(隊員)
「 ね、良かろうが。奥に見えるのが中岳たい。」(隊長)
若干、中岳方向が靄ってると思ったら、
一分後。
瞬く間に、対岸すら見通せなくなる。
山の天気の移ろいやすさを実感。
だがすぐに晴れるのもこの日の九重だ。
中岳に取り掛かる。
山頂には多くの人の姿が見える。
中岳山頂では人が多すぎて、食事をするのが憚れるほど。
早々に降りる。
「ここの岩場は、ストックを畳んで、両手を使って降りる様に。」(私)
隊長は、誠に親切なのだ。
「ふん、自分がすぐ転ぶくせに。」(家内)
やかましか!
中岳を降り、天狗ヶ城との鞍部で食事を済ませる。
この後は、最後の天狗ヶ城だ。
天狗ヶ城に登る途中から見える御池が好きである。
池の青さが、より際立って見えるのは、私だけであろうか。
天狗ヶ城山頂。
中岳とは違い、ひっそりとしている。
なんで爆笑しているのかって?
そんなヤツなのだ。
仕方なかろう。
中岳と大船の競演。
大船は若干薄紅色に染まって見える。
天狗ヶ城を降りる。
この頃になると、時折かかっていたガスもとれ、青く高い秋空となった。
これから、
九重の冬は駆け足でやって来る。
次回は、凍る御池かな。