注染■工程(2)糊置き
糊置きを行う場所を「板場」といいます。型紙は木枠にしっかり留められていて、しかもこの木枠も奥が蝶番で止められているので、1回糊置きするごとに謄写版のように上げ下げしながら糊置きしてゆきます(写真の左側の職人さんが木枠をちょうど上げています)。白生地の上に木枠に固定された型紙を置き、その上から特別に調合された防染糊を大きなヘラで均一に糊置きしてゆきます。(写真右側の職人さんが、型紙の巾大のヘラで糊置きしています。)
糊を置いた生地は、型紙の大きさ通りにきっちりと屏風畳みして重ねてゆきます。特に細かい模様では連続模様が精緻につながるように細心の注意を払いながら白生地をきっちり折り返し、ヘラを動かし、同じように糊置きしてゆきます。型紙大に糊置きされた白生地は屏風折りに畳みながら、さらに防染糊を置いてゆきます。
防染糊は、糯粉(もちこ)と糠、石灰などを調合して作りますが、夏場は糯粉が腐りやすいので、代わりに海草などを混ぜて作るのだそうです。ベテランの職人さんは、1疋で約24~26回糊置きを繰り返しますが、その手はスッスッとためらいもなく動いてゆき、それは見事です。この糊置きの具合により、出来上がりの品質が左右されますので、熟練の高度な職人技が要求されます。糊置きした白生地には、おがくずを振るいかけます。糊が他にくっつかないようにするためと、糊が乾燥し、白生地が反らないようにするためです。