おはようございます。
瀬尾まいこ『その扉をたたく音』(集英社)を読み終えました。
こちらは、今年の「青少年読書感想文コンクール」、
「高等学校」の課題図書です。
ここ最近、重い内容の小説ばかり読んでいたせいもあり、
サクサクと読め、幸せな気分で本を閉じることができました。
本日は、感想文に、どうぞおつきあいくださいませ。
まずは、ざっくりと、あらすじを。
29歳の宮路は、裕福な実家から仕送りを受けながら、
ミュージシャンになる夢を捨てられず、
ギターをかきならす日々を送っている。
演奏の機会がほしくて、老人ホームで演奏するも、
結果はさんたんたるもの・・・
だが、そこで、「神様」と出会う。
介護士・渡部のサックスは、胸のそのまた奥へ浸透したのだ。
もう一度、「神様」、渡部の音楽を聴きたい・・・
宮路は、いつしか、老人ホームへ通うようになり・・・
入居者とも、不思議なつながりができるのだが・・・
「課題図書」のHPによると・・・
「人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、
人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編」
とのこと。
全く、その通りw
宮路が、言葉を尽くし、渡部のサックスを褒めても、
当の本人は、謙遜からではなく、淡々としたもの・・・
その様子を歯がゆく感じていた宮路が
やがて、彼のサックスが「神様」の如く響いた理由に気づきます。
ここがよかったなぁ・・・
ネタバレなので・・こっそりと・・・
・・・結末につながります。
少なくとも、わたしは・・・
年齢と共に、人との関わりを、より大事にしたくなっているのに
相変わらず、コミュニケーションの難しさを感じています。
アラカンだろうと、中高生だろうと、
それぞれに、コミュニケーションの悩みを抱えているのは
同じではないかしら?
だから、うなずける部分も大!
作中では、宮路と渡部が、現在に至るまでの人生も
丁寧に描かれていて・・・
だからこそ、二人を応援したくなるのでしょう♫
一方・・・
ホームに入居するシニアが抱く、家族への気遣いも、
ある、ある・・・と感じています。
母や、その周囲の人たちと重ねてしまうのは、
アラカンの今だからで・・・
(この感覚は、高齢者が身近に居ないと、難しいかもねw)
そのあたりも、さらりと書き込まれていて、
好感が持てました。
瀬尾まいこさんは、
本屋大賞受賞作「そして、バトンは渡された」など
映像化作品も多く、読書好きの中高生にも人気の作家さん。
本書は「課題図書」ですから、
きっと、たくさんの若い人に読まれるはず。
夢を追うことに不安を抱いたり、やりたいことがわからなかったり
進路に悩む中高生の
何かのきっかけになってくれると、いいなぁ・・・
それでも、そんな祈りにも似た気分が、
しあわせな読後感をもたらしてくれたのかもしれません。
さて・・・
先週、相次いで読み終えた二冊は
ルーシー・アドリントン『アウシュヴィッツのお針子』(河出書房新社)と
朽木祥『パンに書かれた言葉』(小学館)。
ともに、第二次世界大戦を扱っています。
それも、戦う兵士や弾丸が飛び交う戦場は、全く登場せず・・・
女性や子どもといった一般人が戦争に巻き込まれた悲劇が
描かれていて・・・
まさに、連日の報道と重なるのです・・・
それでなくとも、本の内容が重すぎて
ど~んと、気持ちが沈んでしまうのに・・・
いつか、感想文をアップできた暁には、
どうぞ、またお立ち寄りくださいませ。
本日も、おつきあいいだき、どうもありがとうございました。
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先日の能登半島の地震に続き、今度は熊本・・・
お見舞い申し上げます。
大過なきよう祈るばかりです。
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