おはようございます。
本日は、読書についてのアレコレ、哀しい想い出話も含め、
どうぞ聞いてやって下さいませ。
年明け早々、同僚に、読み終えたばかりの
小野寺史宜『ミニシアターの六人』(小学館)をオススメしました。
ある映画を観る、老若男女六人を主人公にした連作短編集です。
わたしが、小野寺史宜・小説を読み始めたのは、
この同僚が『ひと』(祥伝社)を紹介してくれたから。
その後、『ひと』を超える小説がないなぁと、言い合っていました。
でも、ついに、『ひと』と並ぶ小説が現われたかもしれないと、
彼女に報告したのでした。
・・・いや・・・『ミニシアターの六人』の感想文が
本日の主題ではありませんが・・・(ごめんなさい!)
この作品は好きすぎて、
ちょっと整理できていないので、またいずれ・・・。
作中にジュゼッペ・トルナトーレ監督の
「ニュー・シネマ・パラダイス」(1988)が出てきます。
「ミニシアター系の代名詞」とも言える、この作品を、
「無念」の主人公・沢田英知は、かつて、恋人こだまと観ました。
ーー「これまでで一番」と、こだまは僕に言った...
この映画は九ヶ月も上映されたので、ぼくらも二回観た...
二回観ても一番、とこだまは答えた。
一番の地位がより強固になった、とーー(171頁)
わたしも、この映画でトルナトーレ監督を知り、
以後、監督の作品を見続けました。(最近はご無沙汰w)
後にイタリア語を勉強した、きっかけの一つともなっています。
・・・ところがっ!
30代の頃、参加していた読書会。
その席で、「ニュー・シネマ・パラダイス」が大好きだというと・・・
非難囂々(ゴウゴウ)。
詳しいことは忘れましたが、
「あんな映画に感動しているようではダメ。もっと勉強せよ」と
お歴々に叱られたことだけは忘れられません。
ちょっとアカデミックな会で、
諸先輩方にしてみれば、若輩者への叱咤激励のおつもりだったのでしょう。
肝心の若輩は、あまりの剣幕に恐れをなし、小さくなるばかりでした。
会が終わってから、同世代の仲間が
「わたしも、大好きな映画だよ。でも、ごめんね、怖くて言えなかった」
と、口々に言うほどの雰囲気でした。
以来・・・読書会に恐怖を感じるようになってしまいました。
それどころか、本の話をするときは、相手の出方をうかがうのが
習いになってしまった気がします。
映画「ジェインオースティンの読書会」や、
皆様の読書会のご様子を伺うと、うらやましいなぁと思いますが・・・
『ミニシアターの六人』で「思念」の主人公・山下春子が、
学生時代に、学食で同級生とこんな風に話していました。
ーー「サークルは、入っていないよ。初めは日文研究会に入ろうかと
思ったんだけど...やめた。..何か、文学を真剣に語る、
みたいな感じだったから。これはマズいなと思って」
わかる。それはマズい。わたしも文学は好きだが、語りたくはない。
せめて、あれよかったね~、としゃべる程度にとどめたいーー
(51、52頁)
わかります!
本を読んだら、その感想を誰かに伝えたくなるのは当たり前。
それも、「あれ、よかったね~」で、今のわたしには十分なんです。
まさに、職場のおしゃべりは、「あれ、よかったね~」で、
わたしの理想でした。
何度か綴っていますが、読書好きが揃っていますので、
本に関するおしゃべりは、しょっちゅう・・・
新しい本の紹介も、押しつけがましくなく、してくれました。
その職場も、今月末で退職。
パートなので、毎日出勤するわけではなく、
もう残りの出勤日は数えられるくらいになりました。
自分で望んだこととは言え、
仕事を辞めると、本のおしゃべりができなくなって、
寂しくなりそうです。
本日も、おつきあいいただき、どうもありがとうございました。