宮下英樹『センゴク権兵衛』20巻(講談社)・・・
小田原合戦篇が、ついに完結です。
北条家・代々は「禄寿応穏(ろくじゅおうおん)」の虎朱印を受け継いできました。
すなわち民の命と財産を守る・・・との姿勢を貫いたのです。
その北条家が、いよいよ滅び去る・・・
わかっちゃいたけど・・・
読んでいて、涙、涙、涙がとまりませんでした・・・
(以下、ネタバレ気味です。)
作中、四代・北条氏政と五代・氏直が親子で語り合います。
「銭の病」はびこる京の都を去り、伊勢宗瑞(北条早雲)は東に国を創る・・・
「法の国 北条」です。
「『銭の病』は、『法一文』の隙に付け入るもの・・・
それをさせまいと北条家は代々法を積み上げたのでございます」・・・
つまり、法の隙があると、身勝手な解釈をして、
私腹を肥やす者が跡を絶たない・・・
北条は、それを防ぐため、営々と法を築き上げてきたのだと・・・
・・・コロナ禍の今も、オカミのお触れは、いかようにも解釈されておりまする・・・
今巻で登場してきた若き日の伊達政宗。
(そうです、表紙も政宗ですっ)
彼が、豊臣秀吉に対し、遅参の申し開きをする場面での熱弁が・・・
「富(銭)=豊臣」と「法=北条」についてであり・・・
この巻ではW(以上かも)で、富と法との問題が取り上げられているのです。
これって、経済か、感染対策かってことと重なるのでは・・・?
一方で、小田原城内では、民の間に、行きすぎた正義がはびこり・・・
敵方の内通者と見なせば、証拠もなく私刑・・・
暴力がまかりとおるようになります。
まさに「自粛警察」ですね・・・
こちらが、その渦中にいるせいか・・・
コロナ禍を反映しての作品となったように思えてなりません。
小田原北条家の滅亡により、小田原合戦は終了、
戦国時代も、終わりを告げます。
これ以後、豊臣秀吉による、新しい時代が始まるものの・・・
はたして・・・というところから、
新章にして、「最終章 桃山波濤篇開帳」となるのだそうです。
(石垣山城方面を望む)
ここで、忘れちゃならないのが、徳川家康。
豊臣政権の後、天下を統一するわけですが・・・
徳川政権は、北条家を手本にしたと、講演会や御著作で
戦国史の専門家の先生方がおっしゃいます。
本巻では、それを象徴するシーンがありまして・・・また涙。
もともと幕末史が好きで、絶対に佐幕派なアタクシですが、
北条の意識を継いでくれたと、徳川家康も、リスペクトでございます・・・w
(「麒麟がくる」では、風間俊介さんが家康役で嬉しい♥)
とにかく・・・声を大にして申し上げたいっ!
小田原北条家、素晴らしすぎっ!
「センゴク」20巻、最高ですっ!!
(小田原の街と海を眺める)
あ゛~っ
やっと戦国史に開眼したのに、その舞台である城歩きができないなんて・・・
残念無念。
いやいや・・・わたしの周りでは、お盆のお里帰りをあきらめた方・多数。
高齢の親御さんのことが、どんなに気になったとしても、リスクを考えると・・・
とおっしゃいます。
その想いと比べたら・・・旅に出られない愚痴なんて申せません・・・
どなた様も、我が家も、どうか、今日の日が無事に過ごせますように・・・
◆本日の小田原の画像は、2019年5月に撮影しました。
書影は、版元ドットコム使わせていただいております。