もともと高校の素人バンド程度の力量しかなく ひょんなことから
プロの道に入った自分だったが「東京」と云う所は違った。
まず発声の方は「城」にお越しになるシャンソンの大御所がいて、歌がイマイチだから
習いに行け。と云う事になった。そのプロの先生は自分で歌唱教室を経営もしており
昼にそちらへ行き、歌唱ベットに横になり手を当てられて腹式呼吸からみっちり歌唱の基礎を学んだ。
ロック、ポップスは誰にも負けない自負があったが、シャンソン、日本歌謡で聞く方に感動を与えて
歌える様になるには各フレーズ後半のバイブレーションで、人々の「泣」を誘う必要があり、
喉だけで歌うのではなく身体全体・特に腹式呼吸はとても大事で、そこでプロ級の
発声方法を学んだ。
さらに赤坂の「コパカバーナ」と云う大きな劇場の観客が流れて入る花街の母経営の
店では、大企業の経営者が、この人・昔の早い曲は聞いていられるが、ギターがその程度では
プロの世界でやって行くのは無理だろうと・ママに対して自分が教育費用を出すからこの子に
学ばせて見てはどうかねと、「マック弾語り教室」と云う大きな組織に通う羽目になって
しまったのだ。
おそらく裏で色々あると思うが、ママも北海道出の人で、叶姉妹の様な感じでかなり体も
大きく美人だった。
妹さんのほうも美人で「営業」と言い、店へ来る前にどこか 一緒にお風呂でも行って二人で
同伴入店するパターンだった。
その金持ちの社長は一万から多い時で2万円を店の人全員にチップで撒き散らす事が
多かった。
当時一万円のチップを受け取ってもさほど嬉しくないほど金銭感覚が麻痺していた。
◇
所で、そのマック弾語り教室は本格的で、サンバ・ボサノバ・ワルツ・フォーク・に
簡単なジャズギターも含めて全て譜面読みで基礎から各教師が付いて個人指導で行う所で、
そこで耳で曲をコピーする事なく対象曲のイントロ、間奏、オブリガード、エンディング等を
音符を通し教わり、初見ができる様になりそれ以降何処の店に配置されても
譜面が読めるので、ほぼ完璧なプロとしてのギターワークができる様になった。
客からもクレームが来る事は全くなくなり弾語り業最後の店まで、何処へ行っても
重宝された。
・・・
東京は素人もプロへ強引に変える力がある所。
各世界の本物が当たり前に集まり、東京ライフを楽しむ所なんだと思う。
一皮抜け、この世界で何年も第一線でやって来られたのは自分「ホッカイドウ」に対して
この東京と云う環境が、そうさせたと思う。
◇
高校の時の思惑・・ビートルズとしての環境構築の様にただの不良グループだった彼らを
ブライアンエプスタインさらにジョージマーチンが付き、そしてファションクルーが付き・彼らを磨き
世界的なスターに作り変えて行く様に世界に飛び出すには、まず東京だ・との思いは
間違っていなかった。ここは世界的な
「本物」が集まるメガシティ
そう感じた・・。