月岡芳年 月百姿
『つきのかつら』 呉剛(ごごう)
明治十九年届
中国では昔から月には桂があり、蟾蜍(ひきがえる)が住むといわれている。
月の桂の高さは五百丈。その下で一人の男が斧でこの桂を伐っている。
その男、姓を呉・名を剛という。
国立国会図書館デジタルコレクション 051
呉剛伐桂(ごごうさいけい)【呉剛桂を切る】 伝説其の二
呉剛は呉権とも言い、西河人でした。(陜西省東部)
炎帝の孫伯陵は呉剛が仙道を学ぶために
三年間家を離れている間に呉剛の妻と私通しており
三人の子供を儲けていました。
これを知った呉剛は激怒して伯陵を殺し
孫を殺された太陽神炎帝は呉剛を月へと追放して
不死の樹である月桂を伐採するように命じました。
月桂は高さ五百丈に達し、伐っても伐っても、
伐った先から枝がくっついてしまうため、
炎帝は懲罰として永遠に終わらない労働を呉剛に課したのです。
呉剛の妻は夫の境遇に心を痛めて三人の子を月に行かせ
呉剛を手伝うように命じました。一人はヒキガエルに、
もう一人は兎に、もう一人は蛇に変わったと言います。
プロメテウスブログより転載
桂の枝が刈り込まれると月が欠け、枝が茂ると月が満ちていくと言います。
また、桂というのは中国では木犀のことです。