「祈りの手」Albrecht Dürer (German artist,)
今、水彩画に凝っている。
と言っても、最近気まぐれで急にやりたくなって始めただけで、週末の気が向いた時に描くくらいだが、始めた理由に少し伏線がある。
ある宗教関係の機関から、何時も丁寧に冊子が送られてくるが、先今号に「ハンスの手と白い鳥」と題して、アルベルト・デューラーの「祈りの手」にまつわる童話が載っていた。不勉強でデューラーという15世紀のドイツの画家を知らなかったのだが、この絵だけは知っていた。
と言うといかにも他の絵は知っているみたいだが、そうではない。実は、この絵はアメリカのアートの店(日本の店は知らない)に行くと必ずといっていいほど見かける絵や彫刻で、20数年前、偶々入ったロスアンゼルスの工芸品店で見たとき、キリスト教でも仏教のように指を組まず合掌する祈り方があるのかと思った程度である。それにしても、この単純な素描は(例えプリントものでも)かなり心に訴えものがあった。
小生もそれなりにルネッサンス期の有名画家も含めて素描を見ているが、これほど心に残る絵はない。そして最近送られてきた冊子の中に、このデューラーと「祈りの手」のモデルになった友人の逸話が載っていて、その内容を改めてネットで調べて始めて分かった次第だ。
小生も中学2年の頃まで漫画家になりたいと思っていたクチで、その後、中学卒業とともに、いろんな夢を捨てたが(夢が夢と分かっただけ)、絵もそのひとつだった。それが、この絵を観て何故か急に描きたくなったというわけだ。
そこで早速、アート関係の店に行き、鉛筆、スケッチブック、水彩絵の具などを買い込み、その足で日本の本屋さんにも行って「水彩画の描き方」というようなタイトルの本を数冊買い込んで目下練習中というわけだ。日本の水彩画は「淡彩」というのか、絵の具をそれほど使わない経済的なので大変気に入っている。
ま、そんなわけで、今月末にはスケッチのために、わざわざ東京経由で京都まで行く予定である。それを知人に話したら、日本の夏は信じられないほど蒸し暑く、特に京都は東京より暑い上に、今は節電でクーラーもなく、ロスの涼しい気候に慣れている者には無理無理と鼻で笑われた。
それでも既に航空券、新幹線、ホテルの予約まで一気呵成にしてしまった今では後戻りできず「エエイ、ままよ」と行くことにした。
7月末に、大原近辺で熱中症で倒れているベッカムに似た男が居たら小生に間違いない。