シニア・ソレイケ

昭和生まれ専科

戦艦アイオワ

2013-04-07 | 思いつくまま

家に送られてくるジャンクメールの中に、偶々いろんな割引クーポンの入っている冊子が入っていたので、一杯やりながら目を通していると、家からさほど遠くない(と言っても35-6Kmはあるか)ロングビーチ市のサンペドロ港に、退役した戦艦アイオワが停泊していて中を見学できる割引券があった。

我々の年代だと、ハワイ真珠湾の記念碑となっている戦艦アリゾナ、日本の降伏調印式の舞台となった戦艦ミズーリと並んで、何故かこの名前に馴染みが深い。インターネットで調べてみると、あるわあるわ。米国が建造した最後の軍艦ということで、終戦1年前の1944年に戦艦部隊の旗艦としてサイパン、テニアン、グアム、ロタ、ルソン島、レイテ上陸支援など太平洋を転戦したそうだ。道理で馴染と思った。

しかし、これを読んでいて興味深かったのは、この戦艦アイオワが建造された時代背景と今日の状況だ。チョットWikipediaの記事を無断拝借しよう。

「1936年に第二次ロンドン海軍軍縮会議から日本が脱退した。これを受け、同条約を批准した英米仏の三国は対応を協議し、1938年3月末にエスカレータ条項を発効した。この結果、米英仏は第二次ロンドン海軍軍縮会議で定められていた戦艦の主砲口径と基準排水量の上限はそれぞれ14インチから16インチ、35,000トンから45,000トンへと拡大された。つまり、当時の日本は条約を批准しながら制限を上回る46,000トン型の16インチ砲搭載戦艦、もしくはそれ以上の18インチ砲搭載戦艦を秘密裏に建造していると考えられていた。そこで米英仏は、これに対抗できる性能を持つ新型戦艦を持つ必要があると思ったわけである。こうした観点から、エスカレータ条項で認められた45,000トン級新型戦艦で、27ノット中速戦艦案が採用され、その結果建造されたのが戦艦アイオワである」そうだ。

話は戻るが、第一次世界大戦後、戦勝国である日本を含む連合国側は軍拡に走り、海軍力(特に戦艦)の増強を進めた。代表的なもののひとつに日本の八八艦隊計画があるが、当時艦隊建造のためだけに日本は国家予算の1/3を使い、維持だけでも半分弱を使うことになる。

現在の日本の国家予算を94兆円として1/3 とくれば31兆円だ。今の防衛費が4兆円、東北復興予算が3兆円くらいだから如何にその規模が凄かったか分かる。そこで各国が一定の軍備の枠組みを決めたのが「海軍軍縮条約」で、各国の戦艦保有数などを決めたが、日本はその国際枠組みから脱退して戦艦大和など大鑑巨砲主義に突き進み、その結果国民を無残な結果に陥れた。

そこで現在に目を転じてみると、第2次世界大戦後、米ソの冷戦と核開発が行われ、現在では地球上の人類を何十回か殺すことが可能な15,000~16,000発の核弾頭があるといわれている。そこでこれじゃいかんと核ミサイルの制限交渉などが行われているが、これは先の海軍軍縮条約と同じ発想だ。そして核が少なくなった弱点を補うために、自分たちは核を持っていてもいいが、他の国は持っちゃいかんというようなことを言っている。

このような背景を念頭に置いてみると、国連での枠組みや周りの制止も聞かず、国民に何万という餓死者が出ても核開発に突っ走っている北朝鮮が将に当時の日本ではないだろうか。先ほどのWikipediaの記載のように、当時の日本は条約に背いて制限を超える戦艦を極秘に持っていたようだが、北朝鮮の核兵器やミサイル問題も将に似たようなものである。

丁度、この文章を書いている最中に、北朝鮮が核実験したというニュースが飛び込んできた。北朝鮮内部では金正雲が指導者としてスゴイと言っているようだが、往時の日本も大同小異だったはずだ。

北朝鮮は、世界の主要国相手に「オレは力があるぜ、ワイルドだろぅ」と言わんばかりだが、丁度子供が公衆の中でギャアギャア泣き喚いて、廻りが困っているのを自分の力が強いので手を出せないでいると錯覚しているのに似ている。国連の安保理事会でも、世界中が自分に注目していることだけに満足しているようにも見える。

小生の小学校時代の社会の教科書に、1933年(昭和8年)に満州国を否認した国際連盟の決議に対し、我が国が席を蹴って退場したとあり、そのときの新聞記事の見出しが掲載されていたが、「ばらさよ盟連」と書いてあったのを覚えている(当時横書きは右から左に読む)。今の北朝鮮も似たようなものか。

閑話休題。こうしてみると、北朝鮮の今後も行き着く先も見えてくるような気がする。しかし、同時に思うのは、今からそう遠くない6-70年前(皆さんには相当昔に思えるだろうが、小生には、ついこの間のことのように思える)、日本は当時の世界から見たら、特に西洋人の白人優越意識から見たら、全く当時の日本は今の北朝鮮と同じようなことをしていた。そう思うと、北朝鮮をバカだチョンだというのはチョット気が引ける。

しかし、それにしても落語の噺の中の世界でも、政治の世界でも鳩山家を見れば分かるように、3代マトモに続いた家はないように北朝鮮も3代目。そろそろ先が見えてきたような気がする。

それはそれとして、北朝鮮は資源がないのが一番の強みかも。これでレアメタルや石油、ダイアモンドなんかが出ようものなら、それこそ米国が一番先に攻撃しているか、中国が自国に取り込んでいるかだろう。今日日、ゴールドよりもレアメタルがの方が価値のある時代。「金」さんだけでは対抗できないだろう。