■マーケット
ガソリン 7年ぶり安値も産油国は
9日、資源エネルギー庁が発表した7日時点におけるレギュラーガソリンの全国平均小売販売価格は1リットル当たり112円で、7年ぶりの安値となりました。調査を行った石油情報センターは「足元の原油価格上昇に伴い、来週は値上がりする」とみています。市場では、産油国の減産への期待感によって原油価格はおよそ2ヵ月ぶりの高値となっています。しかし、産油国のひとつである南米のベネズエラは長引く原油価格の低迷で景気が悪化しており、国民はマドゥロ政権への不満を高め、議会で過半数を得た野党が攻勢に出ていて、政情不安の懸念が出ています。こうした中、アメリカのエネルギー省は減産には時間がかかるとして、今年の原油価格の見通しを1バレル37.5ドルから34.0ドルに下方修正しました。産油国には厳しい状況が続きそうです。
米“トランプおろし”が本格化
米大統領選に向けた指名争いが中盤戦に入ってきましたが、共和党トランプ氏の快進撃が止まりません。トランプ氏は8日に行われた4つの党員集会・予備選挙のうち3つを制しました。共和党の主流派は指名獲得の阻止を目指し“トランプおろし”に動き始めました。しかし、トランプおろしが始まってから行われた共和党予備選・党員集会は9戦のうち、トランプ氏が5勝をあげ、2位のクルーズ氏との差は広がる一方です。共和党の主流派に不信感を抱いているトランプ支持層は彼らが信頼するトランプ氏が非難されればかえって結束が固まり、トランプおろしが逆効果に働いているのが原因です。次のヤマ場は15日のフロリダ州とオハイオ州で行われる予備選挙です。もしトランプ氏が連勝すれば指名獲得の阻止は難しくなります。
中継担当:丸紅米国会社 今村卓氏
■みずほ総研チーフエコノミスト/高田創(はじめ)氏
・土湯温泉“復旧”ではなく“復興”を
地域の資源を生かすことが一番。オンリーワン。多くが復旧でとどまっている(つまり元に戻す)が、人口減も含めて従来から過疎が進んでいたわけで、復旧にとどめることなく新しいビジネスモデルを作る、自律性のあるものを作るということが本当の意味での「復興」になります。
■震災5年必ず立ち上がる(1)
18000人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災から、今週の金曜日で5年となります。そこで今日からシリーズ企画をお伝えします。1夜目のきょうは福島市の温泉地です。震災と原発事故の影響で多くの旅館が廃業に追い込まれる中、温泉の新たな活用で復興を目指す人たちの取り組みを追いました。
福島駅から南西に20分ほど走ったところにある土湯温泉町。清流荒川の渓谷にある自然豊かな温泉地です。その歴史は古く、聖徳太子の時代に遡るとも言われています。東日本では初めての商用バイナリー発電所は、その建設は震災で存亡の危機に陥った土湯温泉町にとって生き残りをかけた挑戦だったのです。震災で多くの建物が被害を受けたうえ、福島第一原発の事故の影響で町から観光客が姿を消しました。震災直後の2011年度の入浴客の数は約11万2000人(-55%)と半分以下に落ち込んだのです。16件あった旅館のうち5件が廃業に追い込まれました。
福島市の土湯温泉町で去年2015年11月、バイナリー発電所が稼働しました。総工費約7億円、発電能力400kWで一般家庭750世帯分の使用電力量になります。土湯温泉の源泉からは、130度の熱水と蒸気が噴出されていて、この熱を利用しています。水より沸点が低い有機化合物を液体から気体に変え、その蒸気でタービンを回す仕組みです。バイナリーとは「二つの」という意味で、温泉と有機化合物は別々のまま、混ざらずに熱交換をするため、温泉の量や成分は影響を受けません。さらに再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入によって、発電事業が始めやすい環境が整いました。
土湯で30年間、旅館を経営していた加藤勝一さんの呼びかけで、「元気アップつちゆ」という会社が設立され、発電所の運営が行われています。現在、売電は順調で、年間で1億円の売電収入が見込まれています。さらに震災直後2011年度の入浴客は11万2000人でしたが、去年2015年度は約11万8000人にまで回復する見通しです。土湯温泉町はこの数を30万人にまで引き上げる目標を掲げています。震災によって存続の危機に直面していた温泉街は“復旧”にとどまらず、“復興”への動きを加速させています。
バイナリー発電は温泉の量や成分に与える影響が比較的少なく、温泉地ならではの再生可能エネルギーとして普及が期待されているのですが、課題となるのは他の温泉井戸に影響を与えないかという心配です。取材しました土湯温泉は地域のまとまりが良い上、ほとんどの旅館が共同組合から温泉の供給を受けていたため、計画を進めやすかったということです。
■ニュース
経営再建中の東芝は医療機器の子会社「東芝メディカルシステムズ」をキヤノンに売却する方針を発表しました。売却額は7,000億円規模とみられます。東芝は巨額な売却資金を得て不正会計問題で悪化した財務体質の改善を急ぎます。
東芝は先月発表した決算で今期2015年度の最終赤字が7100億円にのぼると明らかにしました。不正会計により露呈した財務状況の悪化は待ったなしの状態です。そのためグループの"虎の子"「東芝メディカルシステムズ」の倍局方針を表明していました。そして、今日「キャノンに対し独占凶証券をひよする。」とし、「東芝メディカルシステムズ」をキャノンに売却する方針を決定したのです。キャノンが提示した買収額は7000億円規模と見られています。東芝メディカルシステムズの2014年度の営業利益は260億円であり、割高な買収との声もあります。実は、最終入札にはキヤノンのほか、富士フイルム、コニカミノルタと投資ファンドの3陣営が参加。争奪戦は過熱し、買収金額に高値が付きました。各社ともカメラ市場が縮小する中、次の
成長産業を医療機器分野と位置づけていて、東芝の医療事業をのどから手が出るほど欲していたのです。直前まで交渉を有利に進めていたのは富士フィルムでした。しかし東芝に対し買収に伴ういくつかの条件を提示していたと見られ、手元資金が豊富なキャノンに形勢を逆転されたのです。

そのキャノンが手掛けるのは、目の検査に使う機器やX線検査装置が柱で、医療事業はさほど大きくありません。キャノンは東芝メディカルの買収で事業拡大を狙います。
東芝メディカルの主力製品は、CT=コンピューター断層撮影装置など大型の医療機器です。最上位機種「アクイリオン」は1台2億円です。従来のCT装置は患者の周りを何回転もしていたのに対し、この装置は1回転、わずか0.3秒で撮影が終わります。撮影時間の短縮と被ばくの低減(従来の4分の1)につながります。東芝は1978年に日本で初めて全身用CT装置を開発、画像解析やデータ処理の能力に磨きをかけ、性能を高めてきました。現在CT装置の世界シェアは2位で、GEヘルスケアやシーメンスなど欧米勢とトップの座を争っています。東芝メディカルの瀧口社長は5日、WBSの単独インタビューに応じ「医療現場との関係性に対して価値観を共有できる新しい株主と相乗効果を出せれば、それに越したことはない」と話しました。
《大浜キャスター》
電機業界は不振が続いていて、東芝とシャープが台風の目となって再編が始まっています。東芝は虎の子の医療事業をキャノンへ売却を検討している。パソコン事業を分社化してVAIOや富士通連合との統合を検討している。白物家電事業は一時シャープへの売却が考えられていたが、シャープが鴻海の傘下に入る道を選びましたので、東芝としては改めて売却先を探さなくてはいけない状況になっていて、現在トルコや中国の家電メーカーと交渉中です。それで残る事業はあまり多くないですが、「原発製造などの電力・インフラ事業」、「スマートフォンに欠かせない半導体メモリーなどの電子部品事業」などを軸にした会社に変わっていく。一方のシャープは今週中にも正式契約する予定だったのですが、鴻海とメインバンクとの調整がまだ終わっていないということで、関係者によると来週14日以降買収契約が結ばれるということです。
BCP支援の新施策相次ぐ
東日本大震災以降、大災害などの緊急時に備える手段などを決めておくBCP=事業継続計画に注目が集まっています。ソフトバンクは、携帯電話の通信基地局が壊れたときの代わりとなる臨時の衛星基地局を報道陣に公開しました。設置するのは技術者ではなく、一般社員です。現在、200台ある臨時基地局ですが、設置には90分以上かかります。新たに導入した基地局は、1人でも運べ、特別な技術がなくてもアンテナが通信衛星の方向に向くようにできています。三井不動産はコレド日本橋で、入居企業向けの防災訓練を行いました。特徴はオフィスから「逃げない」訓練だということです。簡易トイレの使い方を学んだり、エアクッションでオフィスの床に眠るなどしました。専門家は大都市の震災対策はこれまでの「逃げる」から「逃げない」に変わってきているといいます。
《工学院大学建築学部/久田嘉章教授》
『高層ビルは基本的に耐震性がすごく高い。原則としては逃げない、避難しない。そのためにはビルと室内の安全対策を併せてやらなければならない。但し、とどまれと言ったって、火事が起きたら絶対に逃げないといけない。「とどまれ」と言っても被害が出たら避難すべき。』
東京都が震災後に出した条例でも、大地震発生時に安全を確認したうえで、従業員をオフィス内にとどまらせることを事業者に求めています。災害時にいかに事業継続するかという企業の取り組みは、震災から5年経ち、着実に進化を遂げています。
大津地裁 高浜原発 運転差し止めを決定
大津地裁は9日、関西電力高浜原発3号機と4号機の運転差し止めを命じる仮処分を決定しました。申し立ては、高浜原発がある福井県に隣接する滋賀県住民によるものです。事故が起きれば琵琶湖一帯の飲み水に影響が出るとして3号機と4号機の運転差し止めを求めていました。きょうの決定で大津地裁は、「危惧すべき点があるのに安全性の確保について関西電力は説明を尽くしていない」という判断を示しました。決定に対して関西電力は記者会見を開き、運転中の3号機について、10日午後8時ごろに停止させる方針を明らかにしました。そのうえで、仮処分の決定を不服として、異議と執行停止を申し立てる方針です。
保育制度の充実訴える 塩崎厚労大臣に署名提出
「保育園落ちた…」などと保育園に子供を預けられない状況をつづったブログに賛同した母親たちが、塩崎厚生労働大臣に保育制度の充実を訴える署名を提出しました。これは、ネット上で呼びかけられたもので2万7,000人分を超える署名が集まっています。塩崎大臣は、「しっかり受け止めて、実態調査もやりたい」と母親たちに答えました。
野球賭博問題 巨人 高木京介投手が謝罪
「野球賭博に関与してしまい、関係者の皆さん、本当に申し訳ありませんでした」野球賭博に関与していたことが新たに発覚したプロ野球巨人の高木京介選手が9日、球団事務所で会見し、一連の騒動について謝罪しました。またプロ野球の熊崎勝彦コミッショナーは巨人からの告発を受けたあと、調査委員会を召集し全容解明へ努める意向を示しました。
ビートルズのプロデューサー死去
ビートルズを世に送り出し、ほとんどすべての楽曲を制作するなど「5人目のビートルズ・メンバー」と呼ばれたプロデューサーのジョージ・マーティンさんが亡くなりました。90歳でした。ビートルズの元メンバーリンゴ・スターさんがツイッターで明らかにしました。イギリスの大手新聞「ガーディアン」によりますとマーティンさんは8日、自宅で安らかに息を引き取ったということです。
三越伊勢丹 国内初の中型店をオープン
三越伊勢丹ホールディングスは9日、名古屋駅前の商業施設に初めて中型店「イセタンハウス」を出店しました。売り場面積は伊勢丹新宿本店の20分の1ほどでのセレクトショップで、衣類や雑貨を中心としたファッション重視の売り場になっています。三越伊勢丹は、大型の商業施設の開発が増えていく中、従来型の百貨店の出店がしずらくなるとして、中小型店舗の出店を加速させる方針です。一方、東京・銀座のプランタン銀座では、9日に本館4階をリニューアル・オープンしました。狙うのは「おしゃれママ」です。子供との外出時や学校の行事などの際、おしゃれを楽しめる服を多く揃えました。プランタン銀座では、これまで25歳から35歳までの「働く女性」を主なターゲットとしていましたが、最近、子供を連れた「ママ」が多く来店するようになりました。来年3月には、全館を改装する予定で、今回のリニューアルは、その一歩だとしています。
サッポロビール 6年ぶり「エビス」の新商品
サッポロビールは9日、新商品「エビス マイスター」を発表しました。エビス マイスターは、サッポロのプレミアムビール「エビス」の最高級品として開発され、ふくよかな香りと研ぎ澄まされたコクが特長だということです。1年を通して販売し、期間限定ではないエビスビールの発売は、6年ぶりです。価格は一缶およそ290円。5月に発売します。ビール市場は、第3のビールの売り上げが落ち込む中、ビールの人気が再燃していて、サッポロは、エビス マイスターの発売でプレミアム市場のさらなる強化を狙います。また、贈答用としてギフト市場でも積極展開していく方針です。
■【トレたま】葉っぱにメッセージ
【商品名】 ルミリーフ
【商品の特徴】植物の葉にメッセージを書き込んだ商品で、暗くなるとメッセージが浮かび上がる。
【企業名】 東北電子産業
【住所】 宮城県仙台市太白区向山2-14-1
【価格】 5,000円~(税別)
【発売日】 発売中
【トレたまキャスター】大澤亜季子