むらさめ

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インドネシアの潜水艦

2021-04-28 00:00:00 | 日記

インドネシアの潜水艦、4月21日に痛ましい事故が発生してしまいました、乗員の方々の御冥福を祈ります。

 

もう、20年以上前に専門家の方に伺った話なのですが、潜水艦は事故や沈没のような状態となってしまうと、水深が浅い海でも救助が難しいそうです。

というのも、海底の地形が平坦であるとは限らず、潜水艦自体艦の特性上円形をしているので、事故で海底に着底した場合、傾いた状態になることが予想されます。

傾き過ぎて着底すると、救助に向かったDSRVも潜水艦に接続できなくなり、助けようがない事になります。

そのため、事故発生の際は乗員の方々は最悪の事態に備えるように覚悟(具体的には判らないです)するそうです。

潜水艦乗りは、死と隣り合わせの辛い任務だと思うのですが、それ故、潜水艦乗りは普通の国では海軍の中でもエリートで、乗員間の雰囲気が古来とても良いと聞きます。

帝国海軍でも、戦記や回想録にある士官から兵への八つ当たり制裁は、潜水艦ではなかったといいます。

 

溶接は20世紀中盤になって漸く造船の技術として確立したものですが、WW2頃までは、船がポッキリ折れたりと、どの国も技術開発に苦労しています。

破壊の教科書には、米国の戦時標準船スケネクタディ号の例が殆ど例外なく出ていますね。

私が冶金屋の学生だった40年近い昔、日本の潜水艦は超高張力鋼で建造されており、日本の冶金屋は、潜水艦の材料は世界一だと誇っていました。

高張力鋼は溶接が非常に難しく、技術・ノウハウが高くないと溶接による熱により材料が脆化し破壊しやすくなります。

高張力鋼という材料は出来ても、何かの形(今回は潜水艦)にするまでの付随する細かい技術が多く難しく、見よう見まねで溶接出来るようなものではありません。

今は更に鋼材の強度が上がっていますし、それ故に、よりピーキーな製造(溶接・熱処理 その他諸々)条件になっていると考えられます。

 

沈没したインドネシアの潜水艦は、かつて潜水艦王国だったドイツで建造したものなので、建造時はそれなりに強度的に安全が保証されていたと考えます。

それを別の韓国の会社が船体をぶった切ったりして改装したというのですが、十分なシミュレーションや材料特性の変化を見込んでおこなったのか甚だ疑問です。

長くなってきたので、今回はこれで終わりにします。

 

沈没したインドネシアの潜水艦は、私が学生時代に竣工した船のようですね。