サマーセール上場予定馬の3頭目として紹介させていただくのが、エルトベーレの2017です。
本馬は、約2か月前からセリ馴致をお願いするためにエンパワーファームに預託に出しています。
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8月7日付(セール用に事前提出した際)の測尺は、以下のとおりです。
【体高】155cm 【胸囲】178cm 【管囲】20.5cm
なお、本馬の牝系解説文はこちらをご参照ください。
トゥザワールドにとってはこの世代が初年度産駒ですが、平均して体高があって骨格も含めて立派な馬体で父の特長を受け継いだ産駒が多い印象を受けます。
本馬もトゥザワールド産駒らしい立派な馬体をしていますが、特にトモなどはキングカメハメハ系らしい力強い張りのある筋肉をしています。
気性はこの兄弟らしい勝ち気な気性をしていて、セリ馴致の預託に出すまで過ごしていた当場の放牧地では本馬がボス格でした。
父トゥザワールドの血統はキングカメハメハ×サンデーサイレンス牝馬という現代日本の王道とも言うべき配合で、この配合からは様々なタイプの産駒が生まれています。
Nureyev5×3を持つトゥザワールドですが、欧州を代表する血脈であるNureyevに関しては、クロスさせると持続するスピードを伝える傾向にあるのではないかと個人的に考えていました。
例えば、今年のオークス馬アーモンドアイはNureyevクロスを持つ馬ですが、彼女は直線の長い東京競馬場で見事にG1を勝っていて、Nureyevの血がうまく働いたのかなと感じています。
ところがトゥザワールドに関しては、彼の現役時のレース振りを見る限り、持続するスピードというよりはパワーや機動力に秀でた馬という印象です。
実際、Nureyevクロス持ちながら、東京競馬場でのG1ダービーでは5着でした。
一方で、小回りで急坂の中山競馬場ではG2弥生賞を勝ちG1皐月賞で2着して、さらにG1有馬記念でも2着に好走しています。
パワーや機動力に優れているというのは米血脈によく見られる特長ですが、その意味でトゥザワールドの競走能力はNureyevクロス以外の米血脈のようなラインも影響している印象を受けます。
エルトベーレの2017において、Nureyevを継続クロスさせずに米血脈のMr.Prospectorをクロスさせる配合にしたのは、そのような理由もあってのことでした。
母のエルトベーレは米国からの輸入馬で、当場の所有馬として中央で出走しましたが、芝とダートの短距離で入着したものの勝ち星を挙げることはできませんでした。
彼女の血統は、当場生産馬で種牡馬入りしたG1馬ローレルゲレイロに合うと思っていたので、繁殖入り後は3年連続してローレルゲレイロを配合(2年目は不受胎)しました。
初年度産駒から中央の新馬戦勝ちの馬が出るなどしましたが、その後が続かなかったために異なる血統・馬体をしているトゥザワールドを配合した結果、本馬が生まれてくれました。
エルトベーレの2017の代でMr.Prospector4×5*4のクロスができることは前述しましたが、それ以外にHail to Reason5×5もあります。
そして、Mr.Prospectorの母Gold DiggerとHail to Reasonの血は、血統的に相性が良さそうな関係にあります。
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まず、それぞれの父祖であるNasrullahとRoyal Chargerが近親関係にあります。
そして、Gold DiggerとHail to Reasonそれぞれの母系はBull Dog=Sir GallahadとBlue Larkspurの血を持つ点で共通していて、Miss Dogwood(Mr.Prospectorの3代母)≒Nothirdchance(Hail to Reasonの母)という相似性も見えてきます。
これらの血はすべて米血脈に分類されるべきものですが、このような血を強く持つ馬は、しばしば力強いスピードに秀でた馬に成長する傾向にあります。
エルトベーレの2017も、父同様に力強いスピードで芝路線で活躍するか、あるいは米血脈を強く持つ馬らしくダート路線で頭角を現す可能性もあると考えています。
次回は、サマーセール上場予定馬の最後の紹介として№848ダンシングハートの2017を取り上げます。
本馬は、約2か月前からセリ馴致をお願いするためにエンパワーファームに預託に出しています。
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8月7日付(セール用に事前提出した際)の測尺は、以下のとおりです。
【体高】155cm 【胸囲】178cm 【管囲】20.5cm
なお、本馬の牝系解説文はこちらをご参照ください。
トゥザワールドにとってはこの世代が初年度産駒ですが、平均して体高があって骨格も含めて立派な馬体で父の特長を受け継いだ産駒が多い印象を受けます。
本馬もトゥザワールド産駒らしい立派な馬体をしていますが、特にトモなどはキングカメハメハ系らしい力強い張りのある筋肉をしています。
気性はこの兄弟らしい勝ち気な気性をしていて、セリ馴致の預託に出すまで過ごしていた当場の放牧地では本馬がボス格でした。
父トゥザワールドの血統はキングカメハメハ×サンデーサイレンス牝馬という現代日本の王道とも言うべき配合で、この配合からは様々なタイプの産駒が生まれています。
Nureyev5×3を持つトゥザワールドですが、欧州を代表する血脈であるNureyevに関しては、クロスさせると持続するスピードを伝える傾向にあるのではないかと個人的に考えていました。
例えば、今年のオークス馬アーモンドアイはNureyevクロスを持つ馬ですが、彼女は直線の長い東京競馬場で見事にG1を勝っていて、Nureyevの血がうまく働いたのかなと感じています。
ところがトゥザワールドに関しては、彼の現役時のレース振りを見る限り、持続するスピードというよりはパワーや機動力に秀でた馬という印象です。
実際、Nureyevクロス持ちながら、東京競馬場でのG1ダービーでは5着でした。
一方で、小回りで急坂の中山競馬場ではG2弥生賞を勝ちG1皐月賞で2着して、さらにG1有馬記念でも2着に好走しています。
パワーや機動力に優れているというのは米血脈によく見られる特長ですが、その意味でトゥザワールドの競走能力はNureyevクロス以外の米血脈のようなラインも影響している印象を受けます。
エルトベーレの2017において、Nureyevを継続クロスさせずに米血脈のMr.Prospectorをクロスさせる配合にしたのは、そのような理由もあってのことでした。
母のエルトベーレは米国からの輸入馬で、当場の所有馬として中央で出走しましたが、芝とダートの短距離で入着したものの勝ち星を挙げることはできませんでした。
彼女の血統は、当場生産馬で種牡馬入りしたG1馬ローレルゲレイロに合うと思っていたので、繁殖入り後は3年連続してローレルゲレイロを配合(2年目は不受胎)しました。
初年度産駒から中央の新馬戦勝ちの馬が出るなどしましたが、その後が続かなかったために異なる血統・馬体をしているトゥザワールドを配合した結果、本馬が生まれてくれました。
エルトベーレの2017の代でMr.Prospector4×5*4のクロスができることは前述しましたが、それ以外にHail to Reason5×5もあります。
そして、Mr.Prospectorの母Gold DiggerとHail to Reasonの血は、血統的に相性が良さそうな関係にあります。
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まず、それぞれの父祖であるNasrullahとRoyal Chargerが近親関係にあります。
そして、Gold DiggerとHail to Reasonそれぞれの母系はBull Dog=Sir GallahadとBlue Larkspurの血を持つ点で共通していて、Miss Dogwood(Mr.Prospectorの3代母)≒Nothirdchance(Hail to Reasonの母)という相似性も見えてきます。
これらの血はすべて米血脈に分類されるべきものですが、このような血を強く持つ馬は、しばしば力強いスピードに秀でた馬に成長する傾向にあります。
エルトベーレの2017も、父同様に力強いスピードで芝路線で活躍するか、あるいは米血脈を強く持つ馬らしくダート路線で頭角を現す可能性もあると考えています。
次回は、サマーセール上場予定馬の最後の紹介として№848ダンシングハートの2017を取り上げます。