今年のローレルクラブ当歳馬募集には、当場からアメージングムーンの2022(牝、父ドゥラメンテ)を提供させていただきました。
通常ならば、募集前に紹介記事を当ブログにアップするのですが、9月からここに至るまで忙しくしていたためにこのタイミングでの記事更新になることをお詫びいたします。
例年、当場の出産はアメージングムーンから始まることが多いのですが、本年も例年同様に彼女の出産が第1号でした。
それが本馬、アメージングムーンの2022になります。
10月21日時点での本馬の測尺は、以下のとおりです。
【体高】146cm 【胸囲】159cm 【管囲】18.9cm 【馬体重】357kg
1月生まれということもあり、牡牝含めた当場生産の当歳馬のなかでも大きな馬体の部類に入ります。
全兄の2歳牡馬タッチウッドも、離乳後に中期育成部門に移動した当時は大きな馬体をしていたので、予想通りの成長過程と捉えています。
本馬の馬体は立ち姿からも感じ取れますが、この牝系らしい緩さのある馬体で、見た目の雰囲気はやはり全兄の2歳牡馬タッチウッドが一番似ている印象です。
一方で、1歳の半姉アメージングムーンの2021(牝、父キズナ)も、離乳後の当歳時から冬期を迎える頃にはこのような丸みを帯びた馬体をしていました。
その意味では、現時点ではこのきょうだいらしい成長曲線を描いているとも言えます。
特に、この時期に馬体重が350kgに達しているのは順調な証拠です。
全兄タッチウッドがセレクションセールに上場した際に490kg前後あったことを考えると、本馬もこのまま順調に行けば馬体重の面で心配する必要はないほどの成長を遂げると考えています。
気性面に関しては、お客様に他の当歳馬を見せるために屋外に出して見てもらっているときに、本馬が馬房内でソワソワする面があるなど、まだ幼い面を垣間見せています。
ただ、成長するなかでそういう幼さは自然と消えていきますし、本馬に関してはドゥラメンテ産駒らしいどっしりとした面も見受けられるのでこの先の成長も楽しみです。
ここからは、本馬の血統的特徴に焦点を当てたいと思います。
母のアメージングムーンは本馬と同じくローレルクラブ募集馬でしたが、彼女は札幌の2歳未勝利(芝1200)のレコードホルダー(1:09.5)でした。
そして、その初仔で同クラブ募集馬のアメージングサン(父ロードカナロア)が初勝利を飾ったのが、母と同条件の札幌2歳未勝利(芝1200)でした。
そして、そのときのタイムが1:09.1であり、結果として親仔によるレコードタイムの更新となりました。
また、2番仔のノースブリッジ(牡、父モーリス)はG3エプソムCを勝つなど10戦5勝の成績を挙げており、現時点ではG1天皇賞(秋)の出走予定馬にも名を連ねています。
本馬の牝系に目を向けると、2代母ビッグテンビー(G1勝ち馬ローレルゲレイロの母)の血統傾向に大きな特徴があります。
この牝馬は「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」に該当する血脈を3本(モガミポイント、テンビー、その父Caerleon)持っています。
この傾向を持つ血は多く、有名どころではStorm Catやダンシングブレーヴなど、多くの血脈がこのカテゴリーに該当します。
そして、本馬の父ドゥラメンテの血統においてはラストタイクーンが同様の血統傾向を持っているので、本馬の血統ではラストタイクーン≒テンビー≒Caerleon≒モガミポイントといった相似クロスの関係が成り立ちます。
「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」を多く持つ馬には柔軟性に富んだ馬が多い印象を受けますが、本馬の体質にもそのような特徴が見受けられます。
ちなみに、本馬の叔父ローレルゲレイロ(G1高松宮記念、G1スプリンターズS)はキングヘイロー産駒ですが、彼の2代父は「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」に該当するダンシングブレーヴです。
また、本馬と同牝系で国内外の重賞4勝のディープボンドも、父がStorm Cat持ちのキズナで母方にはダンシングブレーヴやモガミポイントの血が入っています。
ローレルゲレイロやディープボンド、さらには半兄ノースブリッジのようにモガミヒメの牝系出身の馬で「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」の影響を強く持つ馬は、総じて活躍傾向にあります。
一方、本馬の父ドゥラメンテの視点から考察してみると、彼の産駒のなかでも獲得賞金順の上位50頭(10月21日現在)を対象にして調べてみました。
そのなかでは、以下のような血統傾向が見受けられます。
①産駒がMr.Prospectorまたはその息子Kingmamboのクロスを持つ 30頭 / 50頭
②産駒がHaloまたはその息子サンデーサイレンスのクロスを持つ 20頭 / 50頭
③産駒がNureyevクロスまたはNureyev≒Sadler's WellsなどSpecialに絡むクロスを持つ 12頭 / 50頭
④産駒が「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」による組み合わせを持つ 27頭 / 50頭
⑤産駒がHail to Reasonのクロスを持つ(②とも脈絡する傾向) 36頭 / 50頭
日本においては、現在の血統傾向としてサンデーサイレンス~Hail to Reasonに遡る系統が繁栄しているので、②と⑤に該当する馬はある程度多くなると見なせます。
実際、本馬もサンデー3×4を持っていることから②と⑤に該当します。
①のドゥラメンテ産駒の活躍馬にMr.Prospectorクロスが多いという点、それから⑤のHail to Reasonクロスを持つ産駒が多い点には注目すべきかと思います。
この2つの血脈はGold Digger(Mr.Prospectorの母)≒Hail to Reasonという相似クロスができる関係だからです。
2つの父系にはNasrullah≒Royal Chargerという関係があり、Miss Dogwood≒Nothirdchanceという相似クロスを形成する関係もあります。
Mr.ProspectorとHail to Reasonの関係は、その血統背景から北米血脈らしいスピードをパワーを伝える組み合わせと考えています。
④の「Northern Dancer+Nearco/Prince Roseのニックスから成る血」による組み合わせについては、前述したように本馬の母アメージングムーンが豊富に持つ血脈です。
全体として見れば、本馬の血統は5つ挙げた項目のうち①、②、④、⑤を満たしていることになります。
全兄の2歳牡馬タッチウッドは現在入厩しているようで、入厩翌日には坂路53秒台を馬なりで出しているように、この全きょうだいの配合に対して期待が持てる動きを見せているようです。
本馬は生まれた当初から好馬体で、預託をお願いした調教師の先生が視察に訪れた際も、その馬体を高く評価してくださっていました。
当場としては、彼女が冬期の昼夜放牧も含めて順調に成長していけるように、この先もしっかりと飼養管理していきます。
ローレル会員の皆さまには、是非本馬への出資をご検討くださいますようお願い申し上げます。
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【血統・配合】アメージングムーンの2021(ローレルクラブ募集馬 牝 父キズナ)
アメージングムーン22募集開始と同時に出資させて頂きました!
アメージングムーン21レーヴスレアリーズ共に順調そうでこの先とても楽しみです!
お忙しい中ブログの更新ありがとうございます!
いつもコメントありがとうございます!
また、このたびはアメージングムーンの2022にご出資いただきありがとうございます。
本馬は牝馬のなかでも堂々たる馬体の持ち主で、私としても半姉アメージングムーンの2021同様に大きな期待を寄せている馬です。
その半姉も初期馴致を終えて集団調教に入るなど、育成場で順調にメニューを消化しているようです。
また、レーヴスレアリーズのほうも軌道に乗ってきたようで、早めのところをやるとメニューが進んでいる僚馬を煽るほどの動きを見せるようで、育成場からは「やはり相当動く馬」と最近も報告を受けています。
今後とも、当場生産馬をよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます!
非常にいい形で重賞を勝ってくれました。
これからもノースブリッジの走る姿を応援してくれたらと思います。