むすんで ひらいて

YouTubeの童話朗読と、旅。悲しみの養生。
ひっそり..はかなく..無意識に..あるものを掬っていたい。

今はたんたんと歩いています

2018年05月05日 | 日記

おげんきですか。

気持ちのいい新緑の季節ですね。

 

わたしは今、人生の激動期というか、おどろくこと、幸せを実感すること、

ほんとうにたくさんのことと向き合っていて、それらをひとつひとつ越えていくのに精一杯です。

いつかこの経験を実にして、少しでも周りの人の力になれたらと思っています。

そして表現できる余裕を持てたら、また何かを物語りたいと思います。

 

しばらく空けてしまっていますが、訪ねてくださってありがとうございます。

書いていない時でも、読んでいただいた方と心のどこかでつながっていることは

いつも気にかけています。

たのしく、しあわせな時を過ごしていてください。

また

 

先日歩いた長野県白馬、姫川源流のフクジュソウ(福寿草) 

 

 

 

 

 

 

 

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ささやかな、おいしいやりとり

2017年12月16日 | 日記

ふつうに、しあわせ

買ってきたみたらし団子に網の焼き目がついてるのを見てそう思った

 

毎週木曜日の習い事の先生が、家に来るたび手作りの

あんぱんやウインナーパン、蓬おはぎやマンゴーケーキなんかを持ってきてくださるので、

わたしも作り方をおそわってラムレーズンケーキを焼き、友達の家を訪ねる時の手土産にした

 

昨日はお布団をベランダいっぱいに干していたら、お隣の奥さんが

蜜柑農家に嫁いだ友達からたくさんもらったから。と、ぷっくり大きな蜜柑をおすそ分けしてくれた

来年引っ越すことになるかもと話したら、何度かありがとうねと言われ

そうか、わたしの生まれた年に両親もお隣さんもここへ越してきて

わたしにとっては海外にいる時も東京にいる時も、いつも最後に帰ってくる場所だったなと想い返した

 

生きるって出会いと別れとわかっていても、愛着を持ったものから離れるのはいつも切ないな

部屋に戻ってきてから、なんだか急に涙が出そうになったので

そわそわ階段を上って父の使っていた衣類を片づけて、パタパタお布団をはたいた

 

終わりがあるから尊さに気づく

今年もあと2週間ばかり

ささやかな、おいしいやりとりを続けていこうっと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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閉まってたけど

2017年11月15日 | 日記

バリ島に住む友人のヴィラに滞在したのは2年8か月ぶりだった

部屋には友人の描いた絵が飾られたり、窓に網戸が取り付けられたりして前より快適になり、

チェコやオーストラリアからの長期滞在者たちが寛いで暮らしていた

 

耳と笑顔の大きな白い犬プトゥ、風のように動く猫のプスパ、顔なじみの人たちとの懐かしい再会、そして変わらない風景

一方で、17年前から15回ほど行き来してきた思い出の場所に新しいお店やホテルが建ち、初めて知り合う人たちもいて、

離れている間に流れていたもう一つの時間とつながる想いがした

 

昨日、幼稚園から子供を連れて帰る途中の友達から電話をもらった

「わたしも代わって」と受話器の向こうで話し始めた女の子は、

「明日クッキー焼くから家に遊びに来たら

おもちゃもたくさんあるよ

電車にいくつ乗ったらこられる?

 

虫が入ってくるからドアは閉めとくけど

鍵は開けとくから」

と、ちいさなしっとりした声で言った

 

わたしは先週父の一周忌を終えたところで、

それまで父から遠ざかっていくように感じていた時間が

つかの間の一年を境に、また会える時へ少しだけ向きを変えた気がした

閉まっているドアに鍵がかかっていないことを知らされたみたいに

 

 

 

 

バリの一日は以前の滞在と同じく鶏の目覚ましで始まった

体調をくずした一日を除いて友人と朝、旅行者や海外からの移住者と気さくにおしゃべりできるカフェに出かけた

いくつかのメニューを試してお気に入りになったのはフラットホワイトという珈琲

 

 

父母、息子さん三人で営む屋台は、彼らの調和した動きが心地よく、テーブルはいつ行ってもほぼ満席だった

夕食時、野菜炒めと炒めご飯にしようと考えながら、屋台の集まる市場に入った

 

 

 

 

 

 

 

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すまなかったね。

2017年09月28日 | 日記

それは42年前のこと。

70才の叔母さんがこんな話を聞かせてくれた。

当時同居していたお姑さんと馬が合わなくて、ある朝ここを出ていきなさいと言われてびっくりし、

「そうはいってもお義母さん、わたしがいなかったら老後誰が面倒看るんです?」

と答えたら、嫁いだ娘と長男のお嫁さんの名前をあげて、彼女たちがいるからそんなこといいわ。と、あしらわれた。

同じ部屋にいてそれを聞いたお舅さんが、お姑さんになにを言ってるんだ!と怒ったところ、寝間着から長いパンツに穿き替えようとしていたお姑さんがとたんに倒れ、脳卒中でそれから24年間、介護をしてもらう生活が始まった。

この叔母さんのえらいのは、デイサービスのない時代に子育てと自営のお店を手伝いながら、お姑さんが亡くなるまでその介護を一手に引き受けてこられたところ。

 

叔母さんと彼女の次男のお嫁さん、わたしの三人は買い物を済ませてお花屋さんの隣に並んだカフェテラスでいろんな味のマフィンを分け合っていた

叔母さんは残っていた珈琲を飲み干して、店内から届くBGMにかき消されてしまいそうな声で、でもね、と続ける

「倒れた次の日に、入院した病室に息子が一人でお見舞いに行ったのよ。そしたら、あんたのお母さんにわたしがいじわる言ったからおばあちゃん罰が当たってこうなったんだよ。って言ったって言うの。

それでね、オムツ換えたりお風呂場までおんぶしてって身体洗ったりしても、ずーっと澄ましてるだけだったのに、ある時お父さん(ご主人)と車で病院に連れてってたら、後ろの座席から急にしんなりして言うのよ。

今まであんたにはいじわるばっか言ってきたのに、よう長いこと文句も言わずに世話してくれたね。ありがとうね。すまなかったね。って。わぁー、思い出したら寒気がしてきた~」

と、叔母さんは半袖の上から両腕をゴシゴシさすった。

わたしもお父さんもびーっくりして、もう死ぬんじゃないのなんて冗談言ってたら半年後に亡くなったの。あの時代に女学校出て、お茶点てたり日本舞踊教えてたりしてプライド高かったからねー。それまでエゴが抜けんかったんだわ」

「あーー」

子育てでもそんなに続かないのに、24年は長いですよねー」 

24歳の次男のお嫁さんが言う。

「あー長かったよー、でももう何にも後悔ないね。やれるだけやったねってお父さんと言ってるの。わたしになんかあったらお父さん、後はオレが面倒看るって言ってくれてるし、一緒に死ねるのが一番いいけど、どっちか先逝ったらもう早よ迎えに来てねって言い合ってるの。ははは」

と、叔母さんはさっきより力強い声で笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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夏を越えて

2017年09月19日 | 日記

台風一過の昼下がり

開け放した窓から吹き抜けるそよ風

ヒグラシの鳴き止んだ静寂に

裏の家から響くかすかな食器の音

 

5月に一月、シンガポールとマレーシアに滞在し

出会い別れに心揺れ、

戻ると庭の隅に蝉の抜け穴がいくつも開いた

冷やし中華熱が高まって

11年前のアメリカ映画「イルマーレ」を繰り返し観た

 

台風の夜が明けて

温かいお風呂や食事がほしくなり

来年には引っ越すだろうこの家と

生まれ育った時間に想いを馳せて

いつもの軒下に揺れる洗濯物が愛しくなった

 

次に行くのは安らぎとおだやかさのある場所

ここから持って行くものは

これまであったいいこともイヤなことも

まとめてゆるした物語

 

夕方の蟻が昼間の残像のように歩いている

もうすぐ虫たちの謳歌がはじまる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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