今年の桜はけっこう長く楽しめました。
それにしても、今年の花冷えはけっこうな寒さでした。
句会結果をお届けします。
皆さんのご協力でスムーズに整理が進みました。
結果発表
山々は霞みボートは釣り場所へ ちせい
(選外)(道人)現代連句の世界。
復興の夜明けは近し花は咲く 幹夫
〇 (多実生) 毎年花を忘れない桜に励まされるのは被災地同様私も同じです。
〇(藤三彩)あれは岡林信康であったろうか「夜明けは近い♪」と。
春の海のんき暮しに憧れて 泉
○(仙翁)そうできればいいのでしょうね。
〇(藤三彩)シンプルに生きたいな
○(ちせい)季語は「春の海」。呑気暮らしに憧れるとは何ともユーモラスで、季語とも合っていると思いました。
海を見下ろすベンチに花の影といる 宙虫
◯ (アゼリア) 毛虫が落ちてこないか心配ですが、気持ち良さそうです。
○(仙翁)花の影に、いいですね。
水脈に惹かれ遠き小島に桜散る 仙翁
みづうみに岬いくつも蝶の昼 アネモネ
○(餡子)明るい春の感じが溢れていて良いですね。
○(ルカ)岬がきいてます。蝶の飛び交う様が目に見えるよう。
◎(幹夫)安らぎの午後の景が詠まれている。
〇(宙虫)遠近感のある句。蝶がちらちらと飛ぶ姿がいい。
内海の静けさ桜五分となり まきえっと
〇 (多実生) 内海の静けさも五分咲きまでで、直に静けさを破り満開で賑わいそうです。
◎(ルカ)内海という言葉で、イメージがふくらみました。
桜散る海の青さに絆されて 多実生
○(敏)桜花は空の青よりも、海の青さにからめとられたのでしょう。牧水の白鳥とは違って、漂うだけでなく、海底に引き込まれていったことでしょう。
○(ちせい)季語「桜散る」。海の青さに惹かれました。
赴任地は島の分校遠霞 餡子
◎ (アゼリア) 二十四の瞳思い出しました。
◯(道人)写真の景のイメージ通り。「遠霞」が効いています。
○(あちゃこ)まさに二十四の瞳を連想させます。
○(アネモネ)分校ではありませんでしたが私の故郷はこんな感じです。
○(泉)「二十四の瞳」を思い出しました。
◎(藤三彩)二十四の瞳のようなノスタルジーですね
〇(宙虫)映画のプロローグ。
花嫁を乗せて舟来る島に春 藤三彩
〇 (多実生) 過疎の島に花嫁と春と一緒にとは、めでたしめでたし。
◎(餡子)あの3枚の写真からは、本当にこんな感じが浮かびます。瀬戸の花嫁ですね。
〇(幹夫)瀬戸は日暮れて夕波小波♪ですね。
〇(まきえっと)これからの生活、いろいろあるでしょうが、楽しみましょう。
孤島へと届けゆくなり花便り 敏
○(餡子)きっと、便りを心待ちにしている家族や友達・・・。ほっとさせられる句です。
○(あちゃこ)月に一度、週に一度?待ち遠しきは人の縁?
みはるかす海の稜線春の船 ルカ
瀬戸内に平家の裔か桜鯛 春生
◯ (アゼリア) 桜鯛の季語が新鮮です。
通い船に新任教師朝桜 アゼリア
〇(珠子)桜の時期の穏やかな春の海&船の映像から真っ先に思ったのは、島を離れる進学・就職ですが、これは着任。令和の時代となってもこういう景は続きます。
○(餡子)私も、同じような光景を句にしました。新任の頃を思い出します。胸がはち切れそうでした。
○(幹夫)初任地は瀬戸の小島!頑張れ先生!
〇(まきえっと)どんな気持ちなんでしょう。
〇(宙虫)通い船がいい。真新しいスーツ姿の先生の姿が。
異動の内示三月の海光る 珠子
○(敏)年度末のこの季節、異動の内示に心が騒ぎます。どうかこの明るく光る海のような職場であって欲しい……そんな思いが一句の裏にあるようです。
○(餡子)きっと、希望通りの転勤だったのでしょうね。海が前途を祝してくれているようです。
◯ (アゼリア) 期待と不安、でも海光るなので期待の方が大きそうです。
○(アネモネ)現役時代を懐かしく思い出しました。
○(泉)異動の内示には、胸がドキドキします。
〇(藤三彩)釣りバカに海光る島への赴任とはこのうえなき幸せ
○(幹夫)新しい職場でもきっと活躍!
海光へしだるる桜ちる桜 道人
○(敏)さまざまな桜の様態をリズミカルに言い止めて印象的。
〇(珠子)海の「海の光へ・しだれる」としたところに 惹かれました。
○(ルカ)リズムがいいですね。
○(あちゃこ)特別なことは語っていないけれど、さくらの姿と心映えが見えます。
〇(まきえっと)それぞれですね。
○(ちせい)季語は「桜」。海光の眩しさ。枝垂れた桜が散って行く。
岩壁に桜踏ん張る湊町 あちゃこ
○(敏)小さな湊町が海に呑まれないようにと踏ん張っている老桜木のこころいきでもありましょうか。
○(幹夫)中句「踏ん張る」が佳いですね。
〇(まきえっと)頑張れ。
春の海君がいそうな遠小島 仙翁
真っ直ぐに霞抜け来る白き波 まきえっと
○(敏)印象的な桜には目もくれず、霞の中をいっしんに寄せ来る白波をクローズアップにとらえて剛速球のような一句。
○(泉)良く描写された俳句だと思います。
春眠の海のとろみを持つおんな 宙虫
◎(仙翁)とろみを持つおんな、いいですね。
満開の花が見送る船出かな 泉
○(餡子)これは、島からの出発でしょうか。島の中学を出て本土の高校へ。見送る親たちも、心配でしょう。
○(アネモネ)同級生の三分の一はこうしてマグロを捕りに出ていきました。
◎(まきえっと)万歳、万歳の声が聞こえてきそうです。
◎(ちせい)季語は「花」。花を擬人化したような表現が好もしいと思いました。
くれなゐに海の暮れゆく初桜 幹夫
〇(珠子)取り合わせが美しい。
○(アネモネ)まさにシャッターチャンスの景。
海鳴りは栄枯の調べ大桜 あちゃこ
〇(珠子)海鳴りは繰り返す栄枯の調べだという感覚に共感、桜とのとりあわせもぴったり。
◎ (多実生) 海なし県に生まれ住んで、海鳴りさえよく知りませんが“栄枯の調べ”と大櫻が絶品です。
◎(道人)上五中七に味わいあり。「初桜」なら付き過ぎでしょうか。「大桜」は難しい季語ですね。
◎(アネモネ)上五中七の措辞の調べに感心しました。
〇(藤三彩)大きな景です。春の海鳴りはどんな音なのかなあ
○(ちせい)季語は「桜」。栄枯の調べに心震える。眼前には大桜が。
子を産みに桜吹雪を本島へ 餡子
◯ (アゼリア) 帰りは二人ですね。
海おぼろ空ゆく鳥の名は知らず 道人
〇(珠子)空をゆく鳥の名を識別するのは私にはとても難しい。「海おぼろ」とした気持ちの奥は量りかねますが、このさりげなさが好きです。
○(仙翁)鳥の名は、あまり知りません。
○(ルカ)雄大な景。
○(あちゃこ)ゆったりとした時間の流れ。写真そのもの。
○(アネモネ)句の奥から波のうねりを感じます。
〇(まきえっと)自分のことのようです。
◎(宙虫)静かなうねりを感じます。
さくらさくら溶けゆく海のあおさかな ルカ
◎(敏)一読、さくらの花びらが、五線譜の海に漂っていくような、気持ち良さがありますね。
○(仙翁)平仮名のさくらさくら、いいように思います。あおさも。
◯(道人)桜と海が一体となった調べが好きです。
孤高なる桜は海に向かうべし 敏
◯(道人)この言い切りが佳いですね。孤高の桜は山よりは海が似合います。
◎(あちゃこ)海の彼方に思いを馳せ、飛躍せよ若者達!たくましさと勇気を!
○(泉)何となく納得、という感じです。
〇(藤三彩)若くして海に散った兵隊さんの孤高の散華に重複する映像。「べし」は言い過ぎのよう
〇(宙虫)海に伸びる枝、やがて海へと花を散らす。
たちまちに滿ちては潮干狩の海 アネモネ
紺碧の海への奈落山桜 珠子
〇 (多実生) 山桜にしてみれば、海は奈落です。
○(仙翁)いかにも、そんな感じの桜ですね。
◯(道人)「奈落」が言い得て妙です。
○(あちゃこ)心象と現実が上手く表現されています。海にも桜にもどこか死の気配がつきまとうような気がします。
標準の嫌いな桜海へ咲く 藤三彩
◎(泉)桜の擬人化でしょうか。「標準」は誰が決めるのでしょう。
肥後椿隠れ切支丹住みし島 アゼリア
◎(珠子)ネットで調べた肥後椿は雄蕊が豊かで重厚。隠れ切支丹の悲話との対比が効いています。
◯(道人)天草は懐かしい。
○(ルカ)隠れ切支丹の島、訪れてみたいものです。季語もいいですね。
○(泉)言われてみれば、隠れ切支丹が住んでいる様な島です。
○(ちせい)季語は「椿」。舶来物はハードルが高いのだと思います。歴史を感じました。
〇(宙虫)ちょっと言葉を詰込みすぎのようには思うが、椿と切支丹はドラマを生む。
(選外)(藤三彩)肥後椿が付きすぎの感が否めない
高速艇とばす快感春の海 多実生
◯ (アゼリア) 本当に快感でしょうね!
花冷の川辺を舟の旋回す 春生
○(ルカ)季語がいいですね。
○(幹夫)爽快に詠まれています。
水鏡桜は心も映しけり ちせい
〇 ( 多実生 ) 無風でしょうか?水鏡の桜に心も休まります。
(選外)(道人)日本人です。雪月花は心を映しますね。
★★★
それでは、まきえっとさんの次回告知をお待ちください。
広島は、最近は寒くて着る服に困っています。風邪をひく人も多いですね。
それにしても、広島カープの凋落ぶりは、目を覆うばかり。丸選手の存在が、いかに大きかったか。それにしても、これからカープの意地を見せて欲しいものです。