こんばんは。
大変お待たせいたしました。
宙虫さん、先にお題を出していただきありがとうございます。
兼題:降
大根の辛みこよなし走り蕎麦 アネモネ
◎(瑠璃)辛味大根おろし蕎麦大好きです。よく食べます(笑)大根は今正に旬ですね。
◯(吾郎)こよなしが食欲をそそる。旨そう。
〇 (多実生) 走り蕎麦の大根の辛みを添え、蕎麦好きには堪えられませんね。
〇(まきえっと)ちょっとむせりますね。こよなしが良い感じです。
些かも傷めぬやうに蓮根掘る 幹夫
◎ (多実生) 全く体験は有りませんが商品価値を下げない蓮根掘る作業の大変さが良く解ります。
○(泉)蓮根に傷がつくと、商品価値が下がります。大変な作業ですね。
○(ちせい)季語は「蓮根掘る」。その意気や良しと思いました。
ラグビーや化石となった根性論 泉
○(瑠璃)そうですよね。夏のクラブ活動のグランドで水を飲んではいけないとか…。うさぎ跳びとかありましたね。(笑)化石となって良かった。
踊る根菜学生の収穫祭 藤三彩
根の知れぬ擦れ違ひ也神無月 瞳人
根の国へ片手かざして日向ぼこ ルカ
○(アネモネ)ある年齢からのいい日向ぼこ。
◎(道人)今回の題で「根の国」とは味わい深い。ゆとりと達観がよく伝わって来る。
◎(あちゃこ)片手をかざす人物の表情と闇と光の対比が見事です。
根っからの色好き虫好き冬ごもり 敏
○(アネモネ)笑いました。「根」の使い方なかなか。
◯(宙虫)セクハラに注意。その反面、小さな虫が好きだとか、意外な一面をみんな持っている。
○(ちせい)季語は「冬ごもり」。好きの様々。
根の深い母娘の喧嘩花八手 道人
〇(春生)「根の深い母娘の喧嘩」、気になりますが、分かるような気がします。
かしわ真似餅切る機知も根回しか 吾郎
(選外)(藤三彩)柏餅ではない偽餅とは、苦しい根回し言い訳、隠し技が回文に織り込まれている。
追ひかけて大根持たせくれにけり アゼリア
○(瑠璃)暖かさが伝わります。追ひかけてが効いていますね。
〇(春生)田舎の雰囲気が出ています。人情味あふれる句です。
◯(吾郎)帰省帰り。ありがたいけど結構荷物。でも旨い。
〇(瞳人)輪切りにして、ことこと煮て、醤油を垂らして、これ、池波流ですね、相手は彦次郎とくれば、申し分なし。
◎(幹夫)故郷を出でし遠き懐かしき思ひ出、ありがたき母親だ。省略が佳く効いて共感。
○(餡子)散歩中に、畑にいる農家のかたとおしゃべりします。時々、「持っていきな!」と野菜をいただきます。今は大根が高いので、この句のようなことは有難い事です。
◎(宙虫)懐かしい田舎の景色。自分の畑でできたものを皆に配る。ひとのつながりはこんなところにあるのですね。下五がもたついた感があるし、情感を削いでしまう感もあるのがもったいないですが、大好きな句。
◯(あちゃこ)情の温かさに共感。
◎(まきえっと)幸せな気分にさせてくれます。
寒空を旅行く影や根なし草 仙翁
○(泉)「木枯し紋次郎」を思い出しました。懐かしいですね。
落葉の村で根を張るものとなる 宙虫
◯(吾郎)ある意味、覚悟。素晴らしい。
◯(ルカ)根付くひと、離れるひと、それぞれ。
○(敏)散文的ですが詩情を感じます。自分もまた帰省した地に根を下ろして完熟し、やがて落葉を降らせるのだという意気込みが見て取れます。
◎(餡子)落葉の村・・・わびしい感じがします。いつか消えゆく村のイメージです。でも、そこでしっかりと再生。復興。大変なことだと思いますが。
◯ (アゼリア) 何処かで根を張って暮したいですよね。
〇(まきえっと)言い切ったところが好きです。強さを感じます。
根拠ない噂気になる年の暮 多実生
根っからの楽天家にてかじけ猫 餡子
〇(珠子)楽天家は猫もご自分も。根っからと断定しながらも、猫はともかくも、私は周りから思われるほどの楽天家ではないのだがと思っているフシはあります。
◯(あちゃこ)季語が生きていて楽しい。
〇(仙翁)我が家の半野良の猫も、寒そうだが元気です。
楠の根に躓いて落葉踏む 瑠璃
◯(ルカ)楠の根に躓いて落葉踏む 大きな音が読んだ途端、聞こえました。
高原の大根短し夕日中 春生
返り花あの地震からの屋根の石 珠子
○(敏)「あの地震」によって揺り落とされた屋根石。返り花を見ていると、繰り返し、あんな災害に遭うのはごめんだ、という感懐が生じたのでしょう。
根を張れば冬の蛹を固定する ちせい
稜線のあけぼの葱の根を洗う あちゃこ
〇 (多実生) 野菜の高値の裏で、堀などで早朝からの作業がある。
○(幹夫)黎明、葱の根を洗う手が悴む。
〇(道人)冬の早朝の透明感と緊張感のある景が目に見える。橙と白の取り合せや「葱の根を洗う」が佳い。?
◯(宙虫)朝の光と色合いそして水の冷たさ。五感に届く。
○(ちせい)季語は「葱」。あけぼのに太陽のくっきりとした存在感を思いました。
◎ (アゼリア) 自然の中での清々しい暮しが窺えます。
〇(道人)冬の早朝の透明感と緊張感のある景が目に見える。橙と白の取り合せや「葱の根を洗う」が佳い。
〇(まきえっと)凛とした感じがします。
野良猫の屋根跳びまわる小六月 まきえっと
テーマ:思いがけないこと
ロヒンギャも居り鄙のモスクの冬灯 アゼリア
(選外)(道人)「ロヒンギャ」が意外性あり。破調であるが「冬灯」が効いている。?
ひたひたと野良と夜寒の付いて来る あちゃこ
○(瑠璃)夜寒も付いて来るというのがいいですね。野良がついて来たら連れて帰っちゃうかも(笑)
〇(珠子)夜の公民館へ出かける私、共感いたします。
〇(道人)この野良は作者が実質的に飼っている野良であろうか。夜寒の中、外出先から帰宅する作者を見つけて、いつもの野良が付いて来た時のちょっとした感動がよく詠まれている。「ひたひた」に臨場感あり。???
○(敏)余寒の道を従いてくる野良猫。われもまたその思いがけない邂逅を噛みしめているのかも知れません。
◎(仙翁)いいですね。とても面白い。
うらなりといふ冬瓜を二つ三つ アネモネ
〇(瞳人)うらなりだって、いいんだ、育ってくれりゃあ。
〇(珠子)さらりと爽やか。うらなりといえどこんなに大きなもの、一個で十分ですともいえず。とりあえず玄関に転がしておきますかってところでしょう。切らなければ日持ちはします。
〇(仙翁)うらなりという語感の面白さですね。
落葉して気付く樹相の裏表 餡子
(選外)(道人)なるほど。「樹相」が巧み。
(選外)(ちせい)季語は「落葉」。気付きが句に。
寅さんのような口上秋祭 泉
○(瑠璃)寅さんのような口上聞いてみたい。テレビで放送されると必ず見ます。飽きません。
火事もらう磨かぬ鏡裏文字か 吾郎
○(敏)もらい火に遭った鏡に、思いがけない文字が浮かびあがったのでしょう。兼題と回文が生んだ謎を孕んだ作品。
◯(宙虫)何が書かれてあったのか?怨念めいたものかもしれない。ミステリアス。
(選外)(道人)鏡文字しかも裏文字とは。磨かないとぼやけて「小火」のように見えるのかも知れません。
冬眠やリュックサックの鈴鳴らす まきえっと
○(ちせい)季語は「冬眠」。リュックサックから鈴の音が漏れて抒情。
顔面にぷふぁっと蜘蛛の残り罠 敏
○(アネモネ)ありますあります。いいリズムです。
〇(春生)これを本当に思いがけないとびっくりすること。うまくまとまっています。
◎(吾郎)あるある。おのまとぺとリズム感◎。
○(幹夫)テーマ「思いがけないこと」が佳く詠まれている。「ぷふぁっと」に納得。
旧き友とたまさか出会う新酒かな 仙翁
〇 (多実生) 数少なくなった友、新酒が良く効いています。
〇(瞳人)旧友だからうまいのですね。
根性論ばかり口つく十一月 宙虫
認知機能検査の三桁小六月 珠子
○(藤三彩)絵を見てください、さて何の絵(果物や)だったでしょう。それが数字だと自信がないな。
○(泉)今後、認知機能検査を受ける人の数は、急増してゆきます。
○(餡子)まだやったことありませんが、おそろしい!!結果を知りたくないですね。3ケタならまだしも、5ケタとか記憶するらしい。
気が付けばわが家庭先返り花 多実生
バイク過ぎZARD聞く吾に冬の夜 ちせい
秋天の黒ヘリ我が上大統領 藤三彩
○(餡子)黒へりは見損ないました。大変な装備できたらしいですね。その結果は?
冬満月電車に傘を置き忘れ 道人
捨てられて蜜柑は寺へ転げ落つ 春生
◎(ちせい)季語は「蜜柑」。未完の運命という事が思い浮かびました。
〇(仙翁)捨てられて、誰が捨てた?
蹴つまずき四つん這ひなる神の留守 瞳人
○(幹夫)寄る年波にはなかなか勝てぬもの、まあ物事ついていない時はそんなもの。
むささびの目玉巣箱に夜のとばり 幹夫
〇(瞳人)じっと見ている目玉、だれかさんのようです。
○(泉)これは驚くことでしょう。ギョツとしますね。
ここもまた地図になき場所返り花 ルカ
◯(あちゃこ)今年は、返り花を良く見ます。地図になき場所に詩情をくすぐられました。
ダリの髭完全主義の子猫かな 瑠璃
〇(春生)「ダリの髭」見たいものです。「子猫」も意外ですね。
(選外)(藤三彩)どう見ても無季語前衛主義者の作。「髭」も「子猫」も温かそうだから冬の季語にしてしまえはダメね
雑詠
しあわせはたった四文字冬桜 ルカ
◎(春生)やさしさ、温かさが伝わってくる作品。
○(藤三彩)「幸」とすれば今年の漢字ひと文字にもなります
◎(珠子)なるほどそう言われてみれば。冬桜がぴたりと決まっています。
◯ (アゼリア) たった十七文字でこんなに温かい気持ちにさせることができるのですね。
(選外)(道人)小さな「しあわせ」と冬桜の距離感が丁度良い塩梅。 ??????
(選外)(ちせい)季語は「冬桜」。「しあわせ」の四文字にふと立ち止まった。
冬の噴水すとんと沈みそれっきり 敏
◎(アネモネ)「すとんと沈み」が上手い。
〇 (多実生) そとんとそれっきり、が冬の噴水に適格。
〇(まきえっと)あっけらかんとした感じが冬の乾きにも似ています。
トルコライス食えば真鴨が浮いている 宙虫
(選外)(ちせい)季語は「鴨」。食い気と鴨。
運勢を手相に任せ蘆を刈る まきえっと
〇(道人)運命線はどうだったんでしょうか。「蘆を刈る」との取り合せの妙味。
べろりんと塩舐る牛小六月 春生
〇(珠子)最後まで「べろりん」が気になりましたが、確かにあの大きな牛の舌は「べろりん」です。
◯ (アゼリア) べろりんー可愛らしいです。
冬霧の静寂貫く夜汽車かな 幹夫
○(泉)映画のワンシーンを見ている様です。
◯ (アゼリア) 何故か夜汽車には郷愁を覚えます。
ポインセチア真っ赤鈍痛飼いならす 珠子
○(藤三彩)どこが痛いって、頭痛じゃなくて、ばね指なのよ。庭仕事のし過ぎ。
冬夜聴く報道犯罪といふ新語 瞳人
玉葱の苗はゆるりと背を伸ばす 仙翁
〇(春生)しっかり観察し、的確な表現の句。
◯(吾郎)この実感は田舎ならではかな。
◯(ルカ)苗に着目されたところが秀逸。
○(餡子)ほっておくと、こんな感じ。背を伸ばしている状態なのですか。なるほど。
○(ちせい)ちょっと迷いました。いいと思った句なのですが、「玉葱」が夏の季語なのでちょっとどうかとも思いました。
◯(あちゃこ)なるほど。優しい眼ざし。
〇(まきえっと)実感。
(選外)(道人)写生眼が玉葱への愛情が詠み込まれている。
減りしもの残る今年と吊るし柿 多実生
○(瑠璃)先週平泉に行きました。家々の軒に吊るし柿が吊るしてありました。確かになかなかお目にかかれない新鮮な風景だと思いました。
○(藤三彩)柿すだれからできたものをどんどん食べてしまう。それも冬の光景。
〇(道人)本当に今年も残りわずか。諸事雑事、焦り気味の毎日です。大都会周辺に限らず干し柿を眼にすることも減って来ましたね。
生まるる不思議死にゆく不思議冬桜 アゼリア
○(藤三彩)北風に吹き溜まった枯葉を手で集めたりすると空蝉がそこに。
○(敏)いわれてみれば、生も死も摩訶不思議。冬桜を仰いでの哲学的な思考でしょう。
かりがねや脳内にある羅針盤 泉
〇 (多実生) 気流に乗って渡り鳥など移動する様ですが遠回りはしても良く間違わないものです。
○(ルカ)私にも欲しいです。ユーモア、ペーソスを感じました。
〇(道人)渡り鳥と同様、人間にも備わっていた脳内羅針盤は、スマホやカーナビの普及で衰える一方。
大欅剪り枝落とし冬茜 藤三彩
◯(ルカ)大欅越しの冬の夕焼、眼前に鮮やかな色が広がりました。
冬の虫換気扇消し聞いて居る ちせい
髪置よスワ起きおわす良き臣か 吾郎
岬立つ夫のマフラー韓流風 瑠璃
○(幹夫)福岡から釜山港へはJR九州高速船ビートルでたった3時間、ちょっとした国内旅行より海外旅行の方が格安の時代。夫の気分は既にチマチョゴリ!
木枯の故郷に帰る術のなし 道人
○(アネモネ)ほんとそう。「帰る術なし」です。
◎(瞳人)なぜ帰れないのか、帰りたくても、そういう人って、いるのです。
○(餡子)かの有名な「海に出た木枯し」も帰るところなしでしたね。こちらは、故郷。本歌取りの妙。
〇(仙翁)友人も、故郷の家を処分したりしています。
シャンソンの溜め息満ちて神の留守 あちゃこ
◯(宙虫)重すぎもせず、軽すぎもせず、シャンソンの溜息はいい。神の留守も面白い。
冷まじや国芳くぢら退治の絵 アネモネ
◎(藤三彩)浮世絵師、歌川国芳は破天荒。鯨だけではなく猫でも金魚でも自家薬籠中の戯画になる。
〇(珠子)季語との斡旋がうまくいけば何だって句材になるのだなあと感心いたしました。
芒原揺れて地球の呼気吸気 餡子
○(アネモネ)視点と感覚いいですねえ。なるほどと思いました。
◯(吾郎)定番フレーズなれど、組み合わせの妙。
◎(泉)地球も呼吸をするのでしょうか?恐らくは、するのでしょう。
◎(ルカ)壮大な景。とらえ方が斬新です。
○(幹夫)リズム佳し、芒原の揺れる芒の様子が佳く詠まれている。
◎(敏)壮大で、深い感覚的な世界。揺れる芒がもたらした瞑想。
◯(宙虫)すすきから地球へつながる。さらに大きな景となった。
◯ (アゼリア) 芒原から地球へと景の大きい気持ちの良い句と思いました。
〇(仙翁)大きな景で、いいですね。
ここのところ、暖かい日が続いています。気付いてみれば、11月ももう終わります。今年一年の成果は?と考えても、何も思い浮かびません。しかし健康で一年が過ぎる。これに感謝です。