おはようございます。
目まぐるしくさまざまな事が起きていますね。
春が待ち遠しいです。
兼題:入
吸入器母を見守る夜更けかな 泉
箱根細工の木端(こつぱ)の入れ子日脚伸ぶ アネモネ
◯ (アゼリア) 箱根細工というだけでワクワクと楽しいのに、入れ子、これも次々と開ける楽しみがあって、日脚伸ぶの季語がぴったりと思いました。
○(宙虫)日脚伸ぶと職人のてのぬくもりそして木のやさしさに。ほっとする。
〇(まきえっと)次々開けた後にサプライズがあったりして。
入籍に触れず冷雨の歩道橋 宙虫
◯(アネモネ)季語の「冷雨」に二人の複雑な心理状況がよく表れています。
○(餡子)あららあーー。小説の一くだりでしょうか?是は問題ですよ。
(選外)(道人)相手の方は触れるタイミングを見計らっているのでしょう。四温晴の日など。
(選外)(藤三彩)冷雨(れいう)とは冷え冷えと降る晩秋の雨のことだそう。
大寒さ入間にOI三階だ 吾郎
○(泉)見事な回文だと思います。「○Ⅰ」を「まるい」と読むわけですね。
◯ (アゼリア) 入間というローカルな場所に聞きなれない横文字の会社ーなんか怪しい雰囲気。ミステリアスで楽しいですね。
黒々と入江の番屋冬嵐 あちゃこ
○(敏)番屋といえば北海道の「鰊番屋」が有名だった。それを思い起こさせる作品。現在でもかつての賑わいがあれば、世界遺産かも?
◯ (アゼリア) 日没時に北海道の海辺の番屋を車窓から眺めたことを思い出しました。今は鰊漁でしょうか?
入口猫の日向ぼこ裏に回る 仙翁
○(泉)ホノボノとしか感覚が良いと思います。
夕虹の入り江の村を覆いけり 敏
人流の一人となりて四日かな アゼリア
〇(楊子)さらりと軽い詠みがおしゃれです。そういうふうにさらりと生きて行きたいと思わせます。
○(吾郎)そのまんまなんだけど、少しの悔恨が。
○(敏)新語?「人流」も近頃ではそんなにヘンテコではなくなりましたね。
◯(道人)コロナ感染第六波拡大最中での初出勤の感慨。
〇(あき子)正月休みが終わって、元の生活に戻る四日の心情が伝わってきます。
〇(ちせい)コロナ禍を思えば取りたくなります。
八十のみち踏み入る今朝の淑気満つ 瞳人
○(アダー女)一茶の「めでたさも中くらいなりおらが春」を連想しますが、その反対にこの句の作者は「いよいよ今年は八十代に入るぞ、気が引き締まる思いである。」という淑気に満ちたお元気な年の初めが感じられて「頑張って!」とエールを送りたくなります。
○(餡子)明鏡止水の境地ですね。私も直ぐ続きます。
〇(めたもん)八十歳を迎えた詠み手の凛とした姿勢。俳句と生き方に感服です。
入魂の書き初め一気深呼吸 アダー女
入る上る京の小路や片時雨 餡子
〇(藤三彩)片時雨(かたしぐれ)を調べたら「古都時雨」があ京都には片時雨が多いのだそう。
○(仙翁)しとしと、しみじみ、いい散歩ですね。
◯(ルカ)京都で暮らした事のある私は、下ルも入れてほしいくらいです。
◯ (アゼリア) JRの宣伝になりそう。京都へ飛んで行きたくなりました。
◎(あき子)情景を思い浮かべた時の心地よさ。音が軽快で季語も効果的。
入相の鐘の氷れる峡の村 道人
〇(藤三彩)入相の鐘(いりあいのかね)勉強させていただきました。
〇(春生)「鐘の氷れる」でいかにも寒そう。
〇(珠子)夕暮の鐘の音さえ凍てつく村。春が待たれます。
○(餡子)鐘の音が氷るような一村。東北のイメージですね。
音頭取り買って出るくせ寒の入 あき子
○(餡子)いますいます、こういう人。助かりますけどね。
冬夕焼入れて林檎は甘くなる 楊子
○(卯平)本当にそうかは知らない。しかし冬夕焼と林檎の景には共感する。この場合「林檎」はモノとして捉えて良い。
○(アダー女)この断定的表現が読む者を魅了しますね。本当に美味しそうな林檎で食べたい。
◎(仙翁)夕焼けの色とリンゴの色、似あっていますね。
◎(道人)「て」で切って場面展開できる詩的手法に感銘。
○(宙虫)急がないと腐ってしまう近頃のリンゴは。
〇(まきえっと)林檎の蜜が冬夕焼と重なりました。
入口も出口も見えぬ大枯野 ルカ
◎(春生)大きな景を「入口も出口も見えぬ」で言い止めた。
(選外)(道人)ただ枯野があるばかりの景。この「大枯野」は心象風景と読みたい。
寒に入る透明人間現れず めたもん
○(仙翁)透明人間が見えたら透明人間ではないですね。
寒稽古かんころ餅を差し入れに 春生
○(泉)「かんころ餅」は美味しそうです。
〇(めたもん)「かんころ餅」ってあるんですね。少年少女剣士たちの表情が浮かびます。
(選外)(道人)こういう言葉遊びも寒の時季の心の潤いになる。
秒針の動きなめらか寒に入る まきえっと
◯(ルカ) するりと寒に突入。
〇(ちせい)柱時計か腕時計かと空想してみました。
頂上に入魂の犬芝枯れる ちせい
紅茶葉のまどかなジャンプ寒に入る 珠子
◎(吾郎)美味しい紅茶におなんなさい。まどかな…が絶品。
○(あちゃこ)長閑さと紅茶の香りが漂う一句。まどかなは、少し違和感あるものの、作者の感性は素敵です。
〇(めたもん)紅茶の色と香り、サーバーの茶葉の動き。中七「まどかなジャンプ」がいいですね。
○(宙虫)つんつんとした季節に曲線が見えるだけでも救われる気持ち。
〇(まきえっと)寒に入るとの対比がいいですね。寒くても穏やかな気持ちになります。
湯治湯に入る作法や奥の雪 藤三彩
○(卯平)どんな作法が湯治湯にあるのかは知らない。しかし温泉治療する場合の手順は明確のようだ。この湯治湯、北国にあるのだろう。南国育ちでは憧れる景。
〇(あき子)奥の雪の「奥」から、湯治場の様子が目に浮かびます。
テーマ:色
置き場所に迷う一文字息白し まきえっと
カセットコンロの炎むらさき闇夜鍋 アネモネ
〇(楊子)チープなカセットコンロをあえていれると、背景や暮らしが伝わります。
○(アダー女)むらさきの炎が怪しい雰囲気。一体何が入っていた鍋だったんでしょうね。
とんど火の熱と炎に祓はれて 瞳人
〇(藤三彩)しめ縄などの縁起物を積み上げて燃やすどんと焼き小正月(1月15日)のニュースで見ました。
〇(珠子)確かに火の粉をあびるほどご利益がありそうです。買ったばかりのお気に入りのダウンにいくつもの穴をあけた友人がいます。お気をつけて。
◎(敏)昭和の頃はあちこちで見られた小正月の行事「左義長」も、令和の御世では珍しい民俗となってしまったのではないでしょうか。こうした作品で後世に遺す意味は充分にあると思います。
◎(ちせい)「熱と炎」と言う分解が妥当だと思いました。
ポインセチア笑顔のままで逝きしひと あき子
◎(卯平)長寿で逝くひとには廻りの者は悲しみより何処か拍手を送りたくなる。ポインセチアで逝くひとへの思いが託されている。
○(あちゃこ)ポインセチアで救われる。クリスマスの頃亡くなられた句友を思い浮かべました。
(選外)(道人)心に響き過ぎるのが難点かも。
暗がりへ春着よぎるは縁が楽 吾郎
○(宙虫)どこか不穏な雰囲気もある。縁がいいところにはいった。
雲無き冬空飛行機雲が真っ二つ 敏
鉛色の空血の色の寒椿 仙翁
〇(春生)対句が効果的。
寒晴れの海を押し行く大漁旗 餡子
◯(アネモネ)「海を押し行く」が上手い。
○(吾郎)こいつぁ春から縁起がいいや。
◎(藤三彩)大漁旗の翻る勇壮な景色が目に浮かぶようです。
○(泉)いかにも威風堂々、という感じです。
○(敏)「海を押し行く」に魅かれました。温暖化のせいでもあるのでしょうか、一句のような情景は銚子あたりでも滅多に見られなくなったようです。
◯(道人)「押し行く」が気持ち良い比喩。
◯ (アゼリア) スケールの大きな句と思います。不漁のニュースが多いですが、豊漁だといいですね。
鏡開き五色の黴を削る祖母 アダー女
○(吾郎)あははは、これぞ金メダル。
鍵あける白山茶花の母の家 道人
○(瞳人)どなたもいないのでしょうね。
◎(珠子)もうお母さまが住んでおられない家なのか、臥しているお母さまを気遣ったのか。白山茶花が静かにいろいろ想像させてくれます。
〇(あき子)母の不在の哀しみが漂っているけれど、どこか明るさも感じられて。
(選外)(アダー女)白山茶花が寂しくも品格ある雰囲気を感じさせます。亡きお母様宅の整理か介護の為の訪問か、いずれにしてもちょっと切ない美しい雰囲気です。
紺碧を破る飛行機雲大寒 珠子
○(泉)いかにも「大寒」という感じが良く出ています。
○(あちゃこ)空と雲の色の対比がくっきりと。破るを裂くとすると、より鮮烈かな?
○(アダー女)シャキッと引き締まった大寒の句。美しいです。
○(仙翁)このような景色、よく見ることがあります。
彩雲の枯野消えゆく巡礼者 あちゃこ
◎ (アゼリア) 色々なことを示唆している句と思いました。
○(宙虫)モノクロの世界に彩雲。いろいろと巡礼者について考える。
〇(ちせい)夕暮れだったのだろうかと思いました。
〇(まきえっと)絵のようですね。巡礼の先に幸せがありますように。
(選外)(道人)遠近法の手法が巧い。巡礼者はやや付き過ぎかも。
新雪に足跡白し街鴉 めたもん
〇(楊子)足跡が白いとは、あらためて気づきです。
神妙に眺めるばかり冬桜 泉
声なき声のカラー革命冬萌ゆる アゼリア
雪催ひ空色に乱入する鴉 ちせい
鳥総松赤き灯りの駐在所 春生
◯(アネモネ)鳥総松の「緑」と灯りの「赤」の色合いが鮮烈です。
〇(藤三彩)鳥総松(とぶさまつ)を知りませんでした。新年の習をひとつ覚えました。
〇(めたもん)季語・鳥総松を初めて知りました。伝統を守り続ける村の駐在所です。
◯(道人)青と赤の対比に加えて庶民的な「駐在所」が中々。
冬薔薇滅びの色を極めけり ルカ
◎(楊子)極めつくして朽ちてゆく冬薔薇の退廃を詠んでいて秀逸。この「色」は「姿」ともいえます。「花の色は移りにけりないたづらに・・・小野小町」をイメージしました。
〇(春生)「滅びの色を」がうまい。
○(アダー女)確かに冬の薔薇には朽ちていくものの独特の美がありますね。「極めけり」がこれ以上ない「滅びの美学」を感じさせます。
乳白も硫黄湯色々冬療治 藤三彩
母に似る姉の横顔寒茜 楊子
◯(アネモネ)パターン句ですが「寒茜」がなかなかです。
○(瞳人)そういう気持ちで見る弟妹の気持ち…
○(卯平)この兄弟(ここでは姉妹ではと思うが)はけして若くないだろう。既に黄泉にいる妣と似ている姉の横顔。寒茜で妣への思いが伝わる。
墨がぽとぽと初夢を語れない 宙虫
○(吾郎)白黒はっきりつける年かと(笑)
◎(めたもん)漏れて残るのはモノクロの夢の残骸。まだ形にならない悲しみでしょうか。
雑詠
おしゃべりの止まらない子や年の豆 あき子
◎(アネモネ))年の豆を食べる子どもの嬉しさが伝わってきます。
大根干す家族の足と同じ数 敏
○(卯平)大家族の景。この家族穏やかな人間関係が続いているのだろう。面白い句。
◯(ルカ)目の付け所が面白い。
タブレット載せて雪野の一両車 アゼリア
◎(あちゃこ)車内でタブレットを膝に作業?している姿をよく見かけます。雪野との取り合わせがいいですね。
◎(ルカ)人を乗せてるのかタブレット達を運んでいるのか。
冬木の芽一面窓の理髪店 まきえっと
〇(楊子) 景が浮びます。床屋の椅子に坐っていると大きな窓の外の春のおとずれに気づきます。
〇(春生)情景が良く見えます。
○(あちゃこ)一読で景が浮かんできました。冬木の芽が効いています。
〇(あき子)こんな大きな窓の理髪店に座って、冬木の芽を眺めたい。
ポケットティッシュ七つゲットと初日記 アネモネ
○(瞳人)こんなことでも、書けばこころ安らみます…
またひとり家をはなれる鏡割 宙虫
○(卯平)帰省していた我が子。その子が次から次へと還っていく。母親目線の句。吾子への愛情を感じる。
○(餡子)ご結婚?栄転?嬉しいような寂しいような・・・。
○(敏)正月休みに実家に帰っていた子ども達が、三が日を過ぎたあたりから一人二人と自宅に戻って行く。最後まで残っていた一人には鏡餅を振る舞おうとしよう……といった心でしょうか。
〇(めたもん)家族の一員が離れていくことへの感慨は深い。季語が絶妙です。
〇(ちせい)一人を許容する自我を思いました。
愛犬の鼻先の向き探梅行 楊子
〇(珠子)急ぐわけでもなし。愛犬にまかせてみよう…。「鼻先の向き」がいい。
(選外)(アダー女)愛犬を連れての探梅は足の向くまま気の向くままではなく、わんちゃんの鼻先の向くままという長閑さが良いですね。
演劇界岩波ホール休す罅 藤三彩
寒の水巌となりて鯉は生く 春生
○(仙翁)鯉は、真冬、池の下にじっとしていますね。
空の雪見上げればほら無重力 めたもん
〇(珠子)幼いころ歌っていました。「うえみればむしこ~ながみればわだこ~したみればゆぎこ~」鈍色の空から降って来る雪は、本当に無数の虫がふわふわ降ってくるように見えます。
◎(アダー女)降っている雪を見上げていると自分がふわりと空に昇っていくような不思議な感覚になりますよね。「ほら」に作者の不思議な体感がよ~く伝わってきて上手い!
○(仙翁)ふわふわの雪、まるで無重力にいるように。
手拍子の確とニュウイヤ・ラデツキイ 瞳人
○(吾郎)北イタリアの独立運動を鎮圧したヨーゼフ・ラデツキー将軍を称えて作曲された──のか…う~~む。
〇(あき子)コンサートホールに響く、楽し気な手拍子が聞こえてきます。
カレンダーの樹氷にまぶし朝日かな アダー女
女正月湯気あるうちのスパゲティ 珠子
◎(瞳人)いままで、食べるのはいつも最後、湯気はありませんでした…
◎(泉)年末年始、女性は多忙ですね。「湯気あるうちの」という表現にグッと来ました。
○(敏)女正月とスパゲティの取り合わせに驚きました。きっとスパゲティは御主人が茹でたのでしょうね。
〇(ちせい)愉快だと思いました。実際は覚ましてから食べたのかもしれません。
松過ぎのつれづれの旅富士は雲 道人
真夜の雪土を隠して猶も降る ちせい
人日の誰も知らない誘導灯 あちゃこ
◎(餡子)幼い頃、田んぼの拡がる農村にいました。田んぼの近くに誘蛾灯があって、不思議な光を見つめたことがあります。誰も知らない私だけのあの光景。鼻がつんとなります。
◯(道人)ホテルかビルか。「誘導灯」は確かに盲点。作者しか知らないところが「人日」と合っている。
大寒の針の重なる柱時計 ルカ
〇(楊子)柱時計の針も寒さに身を重ねているようです。視点がおもしろいです。
提督は退き行く息の吐くと凍て 吾郎
〇(藤三彩)黒船の提督だろうか。退き行く(のきゆく)と読まところが渋い回文。
〇(珠子)凍てつく時期の退官なのでしょうか。この世情では洋々たるとはいえないかもしれませんが、第二の人生が待っています。
◯(道人)真冬の海戦。古来戦いは退却が一番難しいという。凍り付くような白息が目に浮かぶ。映画詠か写真詠?
〇(まきえっと)マシュー・ペリー氏が目に浮かびました。
冬めくや眠りの早き漁師町 餡子
〇(春生)朝が早いですからね。
◯(ルカ)当たり前の事なのですが、冬の朝は布団から出るのが実につらい。朝早い漁師さん、早寝早起き尊敬します。
◎(宙虫)漁師町の時間は、陸上生活をする者たちの時間とは全然違う。日の出が遅くなって、暗いうちから町は本格的に動き出すのだから。
◎(まきえっと)漁師町の夜に焦点を当てたところがいいですね。しかも「眠り」としました。
煤逃げや家内は端から当てにせず 泉
○(瞳人)困った人です、わたくし同様
流されて流されてまた冬の宿 仙翁
☆次回をお楽しみに。。
広島は随分と寒くなってきました。しかし、日が長くなり、春が近いと感じています。オミクロン株の感染は広島でも爆発的な状況です。そろそろ収束するか、と期待していたのですが、難しい様子です。未だ当分の間、辛抱ですね。