次々日本を襲う災害。
日本中いたるところに激甚災害指定された地域があります。
どこも復旧は簡単にいかない状態。
そんな中、今朝、全米オープンテニスの大坂なおみ選手が優勝の快挙。
日本人の歴史に大きな足跡を20歳の女性がやり遂げました。
勇気を与えられた人たちもたくさんいそうです。
おめでとう!
では、結果発表です。
★結果発表
嫁ぐ娘の机の花瓶おみなえし 瑠璃
(選外)(道人)「おみなえし」が佳いですね。
遠くから母の呼ぶ声秋夕焼 幹夫
◯(アネモネ)オーソドックスですけど懐かしい景。
○(餡子)同じような景を思い浮かべました。「ごはんようーーー」と呼ばれたものです。懐かしい。
〇 (多実生) 秋夕焼けと母の呼ぶ声。遠い昔が甦ります。
◎(瑠璃)子供の頃夕方になると「晩ご飯が出来たよ」と母が呼びに来たその情景が思い浮かびます。懐かしい情景です
○(ちせい)季語は「秋夕焼」。思い出は現在か、いずれにしても郷愁を感じます。
秋暑し逢魔が時の手毬唄 餡子
◯ (アゼリア) なにかが起こりそうです。金田一耕助が現れそうです。
○(泉)不気味ですね。「悪魔の手毬唄」を思い出しました。
○(敏)字面を見ていて、横溝正史の世界、例えば『悪魔が来たりて笛を吹く』などが思い浮かびました。「逢魔が時」と「手毬唄」との著しいイメージのギャップからかも知れません。
◯(あちゃこ)横溝正史ミステリの感覚が蘇ります。
〇(宙虫)魔と手毬唄でみんなの目線は一点に。
焼鳥になりそな烏炎天下 泉
○(ちせい)季語は「炎天」。愉快な表現ですね。
○(幹夫)視点に共感です。
秋色に鴉が鳴いた浅眠り 宙虫
鳴き交はす二百十日のかち鴉 アネモネ
◯ (アゼリア) 災害の予兆のような不気味さがあります。
〇(珠子)「かち鴉」は造語?かちは徒歩かなと思い「兵とすれば並の鴉」をイメージしましたが。鴉にも厄日無事はありがたいのです。
○(敏)「かち鴉」は鵲の異名でしたね。「二百十日」の頃は営巣シーズンとのこと。その異名となったという鳴き声「カチカチ」を、実際に耳にしたいものです。
◯(あちゃこ)鴉も寿命が縮まる夏だったでしょう。
〇(春生)「二百十日」という季語の斡旋が成功している。
〇(宙虫)何かが変わる。そんな空気がある。
電線のカラス固まる夏の夕焼け 仙翁
電線に音符の如き秋鴉 ルカ
◯ (アゼリア) 鴉つい目の敵にしてしまいますが、こんな風に考えたらなんか可愛いらしいですね。
〇(藤三彩)見た通りの感想
○(瑠璃)面白い着眼点です。
○(幹夫)景が佳く詠まれています。
(選外)(道人)烏の親子の別れの季語「秋烏」。中七の比喩が成功しているかどうか微妙ですが「七つの子」を口ずさみたくなる。
秋の空小型になった変圧器 多実生
○(泉)細かい所まで、良く観察していると思います。
残照や別れ烏のこゑとこゑ 道人
○(瑠璃)夕方の公園は烏がうるさいくらいに鳴いています。冬に向かい心寂しくなる様子が伝わります。
○(ルカ)ゑという字自体が鳥に見えます。いつまでもどこまでも鳥の声が響く空。
闇鴉舞うよな踊りまる子逝く 藤三彩
◎(卯平)9月2日の「チビまる子」を数十年ぶりに観た。以前と変わらない主題歌。二本とも追悼しだて。これから観ていきたい。
秋夕焼明日のいのちへ啼く鴉 あちゃこ
〇(道人)今では嫌われ者の鴉(ひいては生きとし生けるもの)への作者の情愛がにじみ出ていてホッとする句です。
〇(珠子)鴉も日々頭を使って精いっぱい頑張って生きています。
〇(藤三彩)明日のことは明日でなければわからない・・人も鳥も
〇 (多実生) 烏は秋夕焼けに、何を考えて鳴いているのでしょうか?
◎(幹夫)秋夕焼と啼く鴉との取合せに共感、郷愁を感じます。
〇(宙虫)夕焼け、明日、いのちとつきすぎた感もあるが、鴉の登場がいい。
秋の朝電線の鴉に意図があり ちせい
◎(仙翁)確かにあのカラス、不気味だが哲学的かも。
写真館鳥渡り来て首傾ぐ 敏
花嫁になる日の近し初月夜 春生
◯(卯平)父親としての心境。但し初月夜はどうか。甘いしそれに少々????
◎(敏)「初月」は覚えがありますが、「初月夜」は初見。「花嫁」からの連想で、「初夜」が頭をかすめました。いずれにしても初々しい作品。
(選外)(道人)夕焼けのスタジオを見ると娘の嫁いだ頃を思い出します。
暮れなずむ秋刀魚を焼いてプチ家出 アゼリア
〇(道人)上五がやや感傷的過ぎるけれど「プチ家出」が程よい孤独感です。
○(ちせい)季語は「秋刀魚」。ちょっと不穏ですが、準備万端。
色褪せし「黄色いからす」暮の秋 卯平
虫の音や火星煌めく空となる 珠子
〇(仙翁)声だけの虫、遠すぎる火星、いい取り合わせです。
◎ (多実生) 次回は望めない火星接近。猛暑の夜を慰めてくれ、ようやく虫の音の季節となりました。
○(敏)今年の夏には15年ぶりのスーパーマーズが見られました。虫の音の聞こえる頃になっても、赤い火星の煌めきはさほど衰えてはいないはずです。
◯(ルカ)火星が本当にきらりと光りそう。
二百十日椋鳥街に寝静まる 珠子
〇(藤三彩)台風来襲の夜は鳥も早く寝ましょうと
〇(春生)なんとなく、不安感の漂う句です。
八月や人それぞれの消去法 あちゃこ
◯(卯平)八月と言う月は様々な思いを人それぞれに与える。先ずは鎮魂の月、そして盛夏から晩夏への季節の移ろい。だからそれぞれの思いに浸る。そして折り返しの月日に向かって歩いて行く。消去の方法は人それぞれだ。
◎(道人)「人それぞれの」八月には、消去してはならない日本人としての八月が隠されており、逆説的に味わい深い句となっている。
◎(珠子)かなり抽象的ですが、それゆえ勝手な感情移入ができます。私などは無難な方への消去法で生きてきた気がします。
〇(藤三彩)それぞれの息の引き取り方とも・・
○(餡子)意味の深い句です。
〇(仙翁)消去法とは、連立方程式の解法ですか。
◎(ルカ)八月の切なさ、倍増の句です。
水没の家建つまでの秋夕焼 幹夫
○(泉)今年は豪雨災害が多い年ですね。再建は大変です。
◯(あちゃこ)日本各地の被災に胸が痛みます。
バス降りる夏バテ気味に焼肉屋 藤三彩
〇 (多実生) 夏バテ対策は食で対抗するに限ります。
ウインドーに花嫁衣裳鳥渡る 春生
〇(珠子)6月の花嫁より秋の花嫁の方が爽やかです。この時代、嫁いで海外へということも珍しくありませんし。
◯(アネモネ)鳥渡るに意外性がありました。
〇(仙翁)花嫁と渡り鳥、いいですね。
○(幹夫)分かる気がする。
秋風が痛い映画のあとの街 宙虫
◎ (アゼリア) 秋風が痛いーに秋の寂しさが表現されていると思います。
〇(道人)秋風が身に沁みるのではなく痛く感じるほどの映画とは、どんな映画だったのでしょうか。
◎(藤三彩)観終わった後の感傷ですね。『万引き家族』なども
◯(アネモネ)どんな映画だったんでしょう。
◎(餡子)どんな映画を見た後なのでしょうか?心象を語る方法にこういう表現もあるのですね。
○(敏)秋風を痛いと感じる映画って、どんなものがありましたっけ? あれこれ想像していると、写真の中の街に自分がいるような気がしてきました。
○(ルカ)どんな映画か、想像が膨らみます。私なら、ドランの映画。
◎(あちゃこ)触感を上手く一句に生かしている。映画の内容が様々に想像されます。
○(幹夫)想像が広がる。
暮るるにつれて血を吐く夏の雲 仙翁
父の魂夏の終わりを告げに来る 瑠璃
◯(卯平)まだ逝かれて月日はたっていないのであろう。父との思い出の夏の日々に浸っている作者。父は「もう前を向いて行くんだよ」。作者の未来に幸あれ!
◯(あちゃこ)写真が無ければややイメージしにくいかもしれませんが、夕焼けを上手く捉えていると思います。
明日も晴れカリフォルニアのゆやけかな 泉
○(餡子)なるほど、外国とは全く想像しませんでした。行ったことないからなあ。
◎(春生)カリフォルニアまで、イメージを飛ばしたのは見事。
〇 (多実生) 大陸の夕焼けは見事と言われますが、感動の涙を流すのはもう無理です。
○(瑠璃)カリフォルニアの青い空、青い海のそばでカリフォルニアロールが食べたくなりました(笑)なんて… カリフォルニアの夕焼け見たいです。 のびやかさがあります。
○(幹夫)カリフォルニアが似合ってる。
〇(宙虫)明日の景色が楽しみになる楽しさ。
朝焼やヌードスタジオ開店中 卯平
〇(仙翁)早くから開店しているのですね。面白い。
○(ちせい)季語は「朝焼」。インパクト抜群ですが、客観写生ともとれる。
スタジオの白き人形西鶴忌 ルカ
◯(卯平)文楽のデグ人形。明け方のスタジオの窓に浮かんでいる。写生がよく効いている。
〇(珠子)白き人形なのでフランス人形かなと思ったり、西鶴忌だから顔の白い市松人形かと思ったり。肝心の人形のイメージが決まらない危うさはありますが。
〇(春生)季語「西鶴忌」が効いています。
○(敏)ROYAL STUDIOの出口?のショウウインドウ?に掛けられた人物像に、西鶴の好色モノに出て来る人たちを重ねているのでしょうか。なぜか「白き」が意味ありげに思えます。
旧姓は今宵限りよ鰯雲 道人
◯(卯平)まずはおめでとうと言いたい。しかし、期待するほどではありませんよ、人生の墓場をその内実感することでしょう、と言っては身も蓋もないか(笑)。鰯雲に作者の思いがこもっている。
○(泉)結婚は目出度い事です。しかし、夫婦別姓も議論されていますね。
〇(春生)しんみりとした抒情の句です。
○(瑠璃)幸せになって欲しいですね。
◎(ちせい)季語は「鰯雲」。男性の養子入りか、女性の嫁入りか、いずれにしても、潔い感じがします。
加速して追いつかんかな秋没日 敏
◯ (アゼリア) 同じ事を考えましたが上手く表現出来ませんでした。共感の一句です。
〇(道人)どこまでも追いかけて行きたくなる没日は秋だけです。
◯(ルカ)加速できたらどんなにいいでしょう。追いつけないから美しい。
(選外)(藤三彩)秋の日は釣瓶落とし
盆踊り遠くに聞きて夜勤へと アゼリア
◎(泉)現代社会の一断面を、うまく切り取っています。
〇(藤三彩)毎回の夜勤の句。お疲れさまです
◯(アネモネ)ちょっと切ないですね。
○(餡子)看護婦をしていた母は、3交代制でした。日勤,準夜勤、深夜勤でした。深夜勤の日は、この句のような感じだったんだろうなとおもいました。母の後ろ姿から学んだことがいっぱいありましたが、果たして私はどうだったかと反省しきりの日々です。
〇 (多実生) 夜勤の経験は有りませんが、子供の運動会などで休日出勤や出張で後ろ髪を引かれたのも思い出です。
◯(あちゃこ)そうですね。人それぞれの日常がありますね。3枚の写真からの発想がすばらしい。
◎(宙虫)いろいろなイベントの裏側を見せてくれている。
秋暁や監視カメラを過ぎる影 餡子
〇(道人)不気味な「影」ですが、写真映像からして交代勤務など働き者の「影」が見えるようです。
〇(珠子)深夜であれ早朝であれ、いたるところで監視カメラ作動。現代を切り取った句。
◯ (アゼリア) 逃亡犯早く逮捕できるといいですね。
◯(アネモネ)今を切り取っていて上手い。
〇(春生)こういうことも、十分ある社会ですね。想像力逞しい句です。
〇(仙翁)街には、監視カメラが至る所にありますね。
○(ルカ)自分の影かもしれません。一瞬のドラマ。
○(ちせい)季語は「秋暁」。客観写生に心情をも詠み込んだようなそんな感じがしました。
〇(宙虫)これからまだまだ監視カメラの句は登場してきそう。
行き合ひの空暮れてゆくRoyalHost(ロイホ)の灯 アネモネ
○(餡子)夕暮れは嫌いです。「日暮れになると涙が出るのよ〜〜」です。
○(瑠璃)故郷に一軒あるファミレスはロイホでした。亡くなった父がお昼を食べに行こうとよく行きました。父が元気な頃の小さな幸せでした。
震災忌道路のゴミは掃除され ちせい
○(泉)道路は掃除されても、復興はほど遠い。自然災害は大変です。
(選外)(藤三彩)何でも「忌」を使えばいいというものでもなし。関東大震災(大正12年)で復興の陣頭指揮を執った後藤新平やら明治の偉人は流石。
街の灯や意外に長い秋夕焼 多実生
◎(アネモネ)「意外に長い」が効いています。
おまとめお疲れ様です
西の関空浸水・タンカー破壊、北の震度7・ブラックアウト(全系停電)などなど九月初めのこの一週間に起こったこと。東日本大震災、阪神淡路震災また熊本の地震被災を経て俳句の世界で元気を取り戻せれば・・と願います
広島は毎日のように雨が続いています。
そして、やっと涼しくなって来ました。
いよいよ夏も終わりですが、正に災害列島ですね。この近辺に災害がないのが、不思議な気持ちです。