お待たせいたしました。
急に暑くなりました。
体調を崩さぬようにお過ごしください。
兼題:切
麦秋や切腹役の太鼓腹 泉
◎(吾郎)リズムといい景といい季語といいグッジョブ!
○(餡子)筋肉の締まったお腹であってほしいですね。メタボでは喜劇になってしまいそうです。「切」からのイメージが独創的です。
⚪(とっきー)太鼓腹で笑ってしまった。堂々としているようで、ユーモアたっぷりのキャラクター。良いですね。
信じ切ることの幸せアマリリス とっきー
◯(吾郎)アマリリスが絶妙
(選外)(道人)大輪のアマリリスなのでしょう。シンプルな佳句。
葭切の声に明けゆく白みゆく アネモネ
月涼し御馬が通る切通し 幹夫
◯ (アゼリア) 子供の頃見た時代劇を思い出しました。タイトルが残念ながら思い出せません。
○(ちせい)季語は「月涼し」。鎌倉でしょうかね。「御馬」に実在感がありました。
蛙鳴く菩薩の並ぶ石切り屋 藤三彩
○(幹夫)作者には蛙の鳴き声が読経に聞こえたのでしょうか。景も佳いですね。
○(瓦すずめ)夜。静かな石切り屋さん。ぼんやりとした月明かり。蛙の声。みじろぎしない菩薩たち…。すごく良い雰囲気の光景を着ろっていると思いました。
指切りの淡い約束蛍の夜 多実生
⚪(とっきー)指切りに時効はあるのでしょうか。まして淡い約束ではその約束を忘れても仕方がないかも。蛍だけが知っている真実かしら。
○(瓦すずめ)淡い約束と蛍の夜があっていると思います。
○(仙翁)きれいですね。僕にはそんな経験はない。
○(敏)幼い恋の物語の、オープニングの一シーンといったところでしょうか。小指を絡ませ合う場面がズームアップで見えてくるようです。
〇(宙虫)指切りで約束、幼く淡いもの。蛍のはかなさとあいまっていい感じ。ただ、中七は必要かどうか疑問も残る・・・。
○(春生)「淡い約束」が「蛍の夜」に合っている。
胡蝶来る縁切り寺の門くぐり 瓦すずめ
○ (多実生) 花があれば舞い降りる蝶、寺の門くぐりが面白い。
夏の夜爪切る音の響きけり 仙翁
◯(吾郎)ぷっちんぱっちんツメ切れば♬
○(餡子)夜爪を切ると叱られましたね。理由はいろいろとあるようですが、どれも決定的ではないので、この頃は時々切ってしまいます。
○(瓦すずめ)暑苦しさがつたわってきそうです。
口数に合わせ初物西瓜切る 敏
○(春生)家族団らんの声までが聞こえてきそう。「初物西瓜」はいい。
切々と連ねし言葉紙魚笑う 呆夢
○(珠子)小説の紙魚でしょうか。「紙魚笑う」という収め方の面白いこと。
夕若葉切手に残る炭鉱夫 あちゃこ
◎(泉)炭坑夫が活躍した時代は、遠い昔になりました。
◎(餡子)切手の絵柄に注目したところが、卓抜。そういえばあったような。
◎ (アゼリア) 炭鉱の閉山が続き炭鉱夫も切手にしか残らなくなってしまったのでしょうか?高校時代に夕張から、父親の転職で転校してきた生徒を懐かしく思い出しました。
◎(宙虫)日本の炭鉱は消えてしまって、炭鉱夫という人たちに出くわすことはなくなった。切手と夕若葉といい取り合わせかなと思う。ノスタルジイ充分。
◎(まきえっと)思わずどんな切手だったのか調べてしまいました。朝ドラでも炭鉱のシーンがありましたね。
◯(吾郎)炭坑夫の絵柄インパクト大!何銭切手だろ
○(藤三彩)筑豊の炭鉱で生きた人々を描いた画家山本作兵衛の絵がユネスコ世界記憶遺産に登録された。そんなことをふと思い浮かべる。
○(道人)「夕若葉」と「炭鉱夫」との取合せが巧い。色んな読み方が出来る。
新茶汲む祖母遠州弁歯切れよし 瞳人
⚪(とっきー)歯切れの良い訛りと言うより、おばあさんの人柄が浮かんでくる。さばさばとしていて、御世話焼きのあたたかい人。
青梅を落とし踏ん切りつける家 宙虫
◎(アネモネ)「踏ん切りつける家」が重い。
○ (多実生) 青梅が実る頃の農家は極めて多忙な季節。梅落しも終われば一つ解決。
○(あちゃこ)踏ん切りとは、強い決断。青梅と響きあっていると思います。
〇(まきえっと)「落ちる」のではなくて「落とす」から強い意志を感じます。
(選外)(道人)止むを得ず住み慣れた家を売ることになった。実梅になる前に!一抹の寂しさは禁じ得ない。
コピーなる紙が切符よ初夏の旅 ひなこ
〇(瞳人)昨夏、成田からテキサスへ行くときに、まさにこれでした。懐かしい昔の切符はもうないの。
切り貼りの多き青春聖五月 餡子
○(敏)挫折の繰り返しだったような、遠い日の私自身を思い起こしました。
○(呆夢)入学式を終え、落ち着いてきたころでしょうか。一番いい季節ですね。
〇(宙虫)青春は確かにつぎはぎだらけでした。いま振り返ってみると。
葭切やダンプカー来て砂を採る 春生
遠ければ薫風濾過され来るごとし ちせい
葛切やDNA濃き耳ふたつ 珠子
◎(瓦すずめ)耳二つ。この耳は一人の人物の左右二つの耳ではなく、二人の人物の耳だととらえました。親子なのでしょうね。クズきりを一生懸命食べている顔と耳。面白い組み合わせだと思います。
○(アネモネ)なるほど。「耳ふたつ」がなかなかです。
釈明は紋切り型や破れ傘 アゼリア
○(ひなこ)桝添さんのこと?
○(餡子)テレビでよく見かけます。3人が揃って頭をさげて、中央の人が「紋切型」で、謝罪して。破れ傘がいい取り合せ。
⚪(とっきー)禿げ頭を中途半端に下げて「申し訳ありません」という図を何回見ただろうか、でも、ほら傘が破れていますよ。そんな景でしょうか。
○(藤三彩)都知事や、JOCや最後には泣き出す議員もいて、どうも清々しない世の中だ。
適切な管理不倫か夏急きて 吾郎
○(泉)不倫騒動の報道は、大変でした。芸能人は辛いですね。
鎌倉の立夏をひらく切通し 道人
◎(春生)鎌倉という歴史ある土地をうまく表現している。新緑のさわやかさが目に
染みる。?
○(ひなこ)もう一度行きたくなります。
○(あちゃこ)鎌倉の夏は暑い。覚悟せねばなりません。
〇(まきえっと)立夏をひらくがよいですね。
(選外)(藤三彩)鎌倉石の採掘は今は禁止されているそうだ。切通しの石は、凝灰質砂岩で柔らかく火に強く加工しやすい特徴がある材なのに残念。
切り売りの西瓜小さな家に住む まきえっと
◎(幹夫)好きな見立て方です。
◎(敏)これこそ、つましい私の明け暮れそのものです。
○(泉)慎ましい生活の様子が、良く表現されています。
〇(瞳人)年寄り二人のくらしですか。
テーマ:彩り
霊園のつつじ広げる折弁当 藤三彩
墨色の街の駄菓子屋薄暑光 あちゃこ
◯(吾郎)淡い色合いは懐かしい昭和
○(珠子)保存されている古い町並みは確かに「墨色」だと納得しました。
○(道人)「昭和」をテーマに描いた俳画があるとすれば掲句のような世界。色んな街の昭和が目に浮かぶ。
風まとふ余花に逢はむと峠越ゆ 道人
◯ (アゼリア) 一年に一度のことですもの峠を越しても見に行きたいですよね。
○(ちせい)季語は「余花」。峠を越えようとする情熱からくる句作でしょう。
麦秋の輝きのない地震の村 宙虫
○(餡子)辛い句ですね。すべてが、輝きが無くなったことでしょう。「そこから、少しでも前を向いて」・・・・と語る被災地の方。自分だったら、と思うと切り替えができるか自信がありません。
○(幹夫)刈り入れは目出度い時季なのに・・・痛ましき熊本地震から1ヶ月が経ちました。
添え物の青紫蘇生きる小鉢かな 呆夢
天使舞うステンド・グラス聖五月 敏
○(藤三彩)カトリック教会の荘厳さに目を引き付けるのは、やはりステンド・グラスの光の彩であることは間違いない。
○(春生)彩色の鮮やかさでこの句をいただいた。
ナイターの声が彩る外野席 幹夫
○(アネモネ)神宮球場を思い出しました。しばらく行ってないなあ。
○(泉)セ・リーグは混戦模様ですね。応援にも熱が入ります。
○ (多実生) 最近内野席、外野席共観戦を経験しましたが、私には喧しい限りです。でも参加すれば、鬱憤は晴らせます。満員の外野席まで捕手のミットの音が遅れて聞えた昔が懐かしい。
赤い靴捨てて道あり夏の月 瞳人
○(あちゃこ)赤い靴をこれまでの自分と解釈しました。眼前のスッキリした月が浮かびます。
写生会若葉の色をいろいろに 春生
○(幹夫)小学校の頃の図画の時間を思い出します。
雑草の花を住処と蝶の舞う 仙翁
○ (多実生) 人間と蝶とは物差しが違いますね。
菜花また化してうす紫の蝶 アネモネ
○(仙翁)黄が薄紫になるとは、面白い。
○(敏)この蝶は蜆蝶でしょうね。黄いっぱいの中から生まれ出た小さな生命の讃歌です。
彩りを添えて食欲夏料理 多実生
○(泉)夏料理には、いろいろな工夫が必要です。
限られた行動範囲熱帯魚 まきえっと
◯(吾郎)この捉え方は意外と新鮮
○(藤三彩)地下鉄水天宮駅に熱帯魚が泳いでいる。四季に合わせて水槽の中の飾りとお魚が変わる。通勤人の行動も行ったり来たり。
薫風や紅一点のマネージャー 泉
○(アネモネ)これはこれは。シンプルさがいいですね。
〇(瞳人)眼に浮かびます。なにの部活だろ、野球?
◯ (アゼリア) さばさばして面倒見の良い可愛い子が目に浮かびます。
○(瓦すずめ)野球部でしょうか。マネージャーに励まされて、頑張っている選手たちがみえるようです。
○(珠子)高校生の部活でしょうか。今でも男性ばかりの部活に女性マネージャーが存在するのでしょうね。こういうシンプルな明るい句はいいですね。
○(呆夢)まさしく私の青春でした。はたして彩を添えていたかどうか…疑問ですが。
○(春生)「紅一点」がいい。生き生きした雰囲気がある。
汗流し仮設湯たてる迷彩服 アゼリア
○(敏)迷彩服の方々の活動場所が、常にこうした災害地にかぎられますようにと、願わずにはいられません。
回り行く記憶の不思議夏に入る ちせい
◎(仙翁)記憶があいまいに、とんでもない記憶違いというものがありますね。
◎(呆夢)記憶はあっちにとびこっちに飛びしますが、「夏に入る」という季語で、すっきりまとまったようです。
〇(宙虫)少々理屈っぽいかなと思うが、夏に入るという季語で動き出した感じがする。
やりかけの大人のぬり絵風薫る 餡子
○(呆夢)ぬり絵は、時間がたつのを忘れるほど熱中しますよね。風薫るのが効いています。
彩ふかき紫陽花日々は雨がちに とっきー
また来たよ遥か光るは夜焚玉 吾郎
◎(藤三彩)夜焚き(よたき)の集魚灯を句材にもってきて回文成功。海に広がる夜光の群れを宇宙衛星からの映像で観ると漁船の逞しさに驚く。
◯ (アゼリア) 輪島で見た烏賊釣り船を思い出させる美しい句と思いました。回文と気が付き感心致しました。
○(珠子)遥か遠くに夜釣の光。「また来たよ」ってだれがどこになんのために?とは思いますが、中学時代の同級生の部屋にふらりと現れた男ととってイメージしました。独りで暮らすおじいちゃんを訪ねてきた孫でもいいのですが。
フェンスに這はす蔓薔薇の色いろいろ ひなこ
ビー玉のひかり転げて麦の秋 珠子
◎(ひなこ)この明るさ、いいです。
◎(ちせい)季語は「麦の秋」。光の交響曲にビー玉のかち合う音まで聞こえて来そうでした。
○(呆夢)我が家の周りの現風景です。ビー玉が言いえて妙だと思いました。
〇(宙虫)色の集中具合が見事。麦秋の色が最後にビー玉を支配する。
いなりずし曽婆様のほほに艶 瓦すずめ
自由
夏蝶のおほきな影の横切れり ひなこ
○(仙翁)蝶の陰、そのようなときもありますね。
からくりの茅の輪永久の地乗鞍か 吾郎
◎(とっきー)回文とは気付かぬままに説得されてしまった。
○(ひなこ)回文くさくないところが、いい。
○(道人)修験道の世界に入ったみたいな気分です。乗鞍開通式に因んだ回文句とは参りました。
〇(宙虫)乗鞍が出てきたことで、地に足がついた感じ。
〇(まきえっと)良い感じです。
サングラス掛けて変身血の騒ぐ 道人
○(泉)サングラスを掛けると、本当に変身という感じになりますね。
○(ちせい)季語は「サングラス」。変身譚は数あれどやはり自分の変身こそ句作の原動力でしょう。
ドローンの影がすり寄る紅薔薇 敏
夏蜂に逃げれば笑ふ道祖神 アゼリア
柿若葉こわれた家を診て歩く 宙虫
◎(道人)震災詠。半壊なのか、全壊なのか、「見て」ではなく「診て」歩く家と柿若葉の対比が見事。
桐の花遠くに母の下駄の音 多実生
◎(瞳人)桐の下駄って、懐かしい、もう、そういうものって、ないのでしょうか。
○(あちゃこ)私自身の母の姿に重なりました。桐の花の色の着物を愛した母でした。
○(道人)お母様の桐下駄の音がしみじみと響いて来ます。
夏きざす帽子ゆらゆら影ゆらら 呆夢
○(瓦すずめ)帽子と影が揺れている光景も、ゆらゆら、ゆらら、という擬音も好きです
空落ちる軽い錯覚桐の花 珠子
○(ひなこ)そうそう、この感じ。
○ (多実生) 桐は成長が極めて早く、材料としての特性は有名です。木の下は掲句の様で良く詠われています。
○(仙翁)空が落ちる、それを杞憂と言う。軽い錯覚、よくあります。
○(呆夢)無駄な言葉がなく、すっきりしていて良いですね。
〇(まきえっと)こういう感じよくあります。俳句にしてしまうところがすごいです。
(選外)(瓦すずめ)見ている自分が空におちるような錯覚を覚える花、なるほど、と納得しました。
五人目が来るか来ないか百物語 瓦すずめ
○(幹夫)百物語の季語が気に入りました。
更衣して男ぶり女ぶり 幹夫
◎(珠子)いつまでもこうありたいものです。シンプルでさわやか。
○(アネモネ)いやあオシャレな句です。
○(敏)地味な冬服から、明るい身なりに変わった時の、新鮮な驚きが感じられます。
〇(まきえっと)おしゃですね。
指切って心の鍵を掛ける夏 あちゃこ
〇(瞳人)ええ、これ、何だろうって、想わせられて、頂きました。
昭和歌謡そが沁み来るも羽抜鳥 瞳人
川小さく跳んで草矢の射程外 アネモネ
◎(あちゃこ)草矢の射程はどこに?的に当たらずとも満足せねば。様々な思いが浮かびます。
○うまく距離感をつかみ、見事な表現。「草矢の射程外」がいい。
草笛やひとりひとりに故郷あり 春生
○(アネモネ)なるほどなるほど。泣かせどころが五木ひろし。
〇(瞳人)そうなんですね、たれか故郷を思わぁざる、です。
(選外)(道人)草笛が蘇って来る。思い出す草笛の音色も人夫々微妙に違う。
大汗の苛めたる身に風ぬける 仙翁
○(ちせい)季語は「汗」。心地よき風に。句作する気も起きる。
筑波嶺を袈裟切りにして夏燕 とっきー
◎ (多実生) 筑波山は876mですが独立峰で聳え立っています。燕は普段は時速50km位だそうですが、最速は200kmまで飛べるそうです。袈裟切りの描写が見事です。
○(ひなこ)筑波嶺に刀傷があるような。
◯ (アゼリア) スケールの大きな清々しい句と思いました。
○(あちゃこ)燕が袈裟切りにしては既視感がありますが、景の大きな一句ですね。
○(仙翁)雄大であり、面白いです。
○(藤三彩)都会からつかず離れずの距離感がつくばにはある。今夏も親燕が元気に子育てにきたのかという季節観に安堵。茨城の地震は不安だけど。
(選外)(道人)縦横無尽に飛翔する夏燕、雄大な句です。
土に居る蟻の挨拶聞こへさう ちせい
(選外)(瓦すずめ)すれちがう蟻をみて、声が聞こえた気がしたのですね。素直に心に入ってくる句です。
二百六十二字の呪文や余花の寺 餡子
○(珠子)確かに般若心経は呪文なのかもしれません。季語がいいですね。
○(道人)「般若心経」を唱え続けると確かに「呪文」のようです。下五も巧い。
富士山の「農鳥」吉に田水張る 藤三彩
母の日を子供ら祝い黙す父 泉
⚪(とっきー)「父の日の話題は母のことばかり」と言う俳句を作ったことがある。父は可哀想。てなところでしょうか。
余花白し首輪の鈴を鳴らす猫 まきえっと
○(幹夫)好感の取合せです。
広島は急に暑くなって来ました。しかし、まだ五月です。爽やかですね。オバマ大統領が広島に来るらしいのですが、いろいろと大変でしょう。