小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第456回小麦句会結果発表(2)

2021年07月08日 13時36分46秒 | 1日句会

つづき

 

万緑や辺鄙な島の猫屋敷   幹夫

〇(ちせい)そんな噂の屋敷があるのかもしれません。無人であれば猶更。

 

空梅雨やつくづく湖の底あらは   アネモネ

○(泉)「湖の底あらは」という光景は、本当に悲しいものです。

〇(メイ)「つくづく」に作者の声が聞こえてくる。

○(敏)水の引いた湖底は「つくづく」露わなのでしょう。

 

帰省する度に抜け行く島言葉   餡子

◎(瞳人)都会の色に染まらないでねぇー

◎(楊子)成長する若者をたのもしげに、そして少し寂しく詠んであります。

○(泉)島に残る人、島を出て行く人、人生いろいろです。

◎(卯平)こうして島の少女は都会の女へと変貌するか。

◎(道人)山里育ちですが、「抜け行く島言葉」に共感。

◎(アダー女)故郷の言葉が次第に自分の中から薄れていく。淋しいような、自分はもうよそ者なんだという故郷への違和感。上手い表現だと思います。

◯ (アゼリア) こうして次第に都会の人になっていくのでしょうね。

○(幹夫)太田裕美のヒット曲「木綿のハンカチーフ」を口遊む。島言葉が抜け行くのは、成長でもあり寂しくもあり。

〇(宙虫)帰省してくる人から島言葉が消えていく・・・逆に作者が帰省すると、島の人たちが島言葉を話していない・・・。という読みもあるな。

 

河童忌やわが町箱庭波しづか    瞳人

◎(あちゃこ)箱庭の比喩と河童忌の取り合わせがなんとも言えない。

 

(選外)(藤三彩)芥川龍之介の忌日1927年(昭和2年)7月24日に「や」付くが夏の季語の「箱庭」との取り合わせがよくわからない

 

島つなぐ橋潜り抜け夏に逢う  まきえっと

○(アダー女)世界文化遺産になった「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」。五つの橋が本土とつながっている天草。その橋を抜けながら「あ〜夏だなあ。」と感じている味わい深い一句と読みました。

 

夏潮の寄する未来の遺品かな  卯平

○(泉)不思議な俳句だと思います。「未来の遺品」とは何でしょうか?

◎(まきえっと)「未来の遺品」と言われるとそうだなと思いました。  

 

夏干潟ぶりきのひとのねじ切れて  宙虫

◎(泉)「虹の彼方に」という古い名画に、ぶりきのひとが出て来ます。

〇(メイ)小劇場の舞台になりそう。

〇(めたもん)「ぶりきのひと」という表現がユニークだと思います。流れた時への哀しみが漂います。 

 

湧き出ずる山の一滴夏の海    アダー女

◎(仙翁)山と海は繋がっています。

◎(藤三彩)多摩川の源流の一滴は笠取山にある。水干の「水神様」の石碑から東京湾にたどり着く138キロの水の旅に思いを馳せる。そして、山と森の恵に生かされていることを知る。

◎(敏)山から滴った一滴一滴が「海」になってゆく、という壮大な時間の流れを背景に置いての作句でしょうか。

◯ (アゼリア) 上五中七の措辞が素敵です。色々なことを暗示していると思います。

〇(まきえっと)山の一滴がやがて大きな海になる。

 

沖待ちの船影夏至の潮満ちる   珠子

◯(アネモネ)涼しそうないい景だと思いました。

◯(道人)一連の写真は矢張り「夏潮」が主人公。こういうキチンとした写実句は中々詠めません。

〇(メイ)船の待機中の光景が、鮮明に描写されています。

 

遠小島振り返らずにボート漕ぐ   仙翁

〇(瞳人)地球の裏側まで行く勢い、でだ

〇(楊子)逃げなのかもしれない。そのようなこともあったかもしれないという記憶。

◯(ルカ)何かロマンを感じる一句です。

◎(餡子)藤田湘子の「愛されずして沖遠く泳ぐなり」を、思い出した。何か鬱屈した想いを持った作者なのだろう。  

〇(メイ)小島に何を残してきたのか、きっぱり前だけ見ている気持ちよさを感じます。

〇(ちせい)真摯な姿勢だと思いました。

◎(幹夫)ゆっくりとボート漕ぐ。明日への旅立ちが詠まれる。

◎(宙虫)ボートを漕ぐ主人公の気持ち、息遣いが届きそう。前向きに進むボートであるように祈る。

 

炎帝に送電塔の武者震い   メイ

○(泉)全国どこでも、送電塔があります。電気が「命」の世の中です。

〇(仙翁)送電塔の身震い、ありそうですね。

〇(藤三彩)これから溽暑の真夏日を迎える。ワクチン接種もコロナ感染も終わっていなくて身震いがする。水風呂に浸かってやり過ごそう。

○(あちゃこ)この夏の電力不足は?比喩が見事。

 

夏の山反射に苦悩が増加して   ちせい

 

今月の写真について

三枚とも熊本県上天草市の天草のしまのひとつ「永浦島」からの景色。

橋は天草五橋のうちの三号橋。

 

★★★

次回句会告知はまきえっとさんからです。

次回もたくさんの参加をお待ちしています。

 



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2021-07-10 16:49:18
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島はいよいよ暑くなって来ました。さらに大雨が降り、いよいよ梅雨も終わるようです。今年も熱海では土砂崩れが起こりました。今後も水害が起こる可能性があります。お互いに助け合うしかありません。
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