赤煉瓦からはじまるレール秋彼岸 宙虫
○(アネモネ)いいですね。鉄道博物館にいるような気分。
廃鉱の列車賑わう秋祭 泉
彼岸会や原つぱに砂利積み上げて アネモネ
〇(春生)取り合わせがユニーク。
◯(あちゃこ)切れが効いています。日常の中の僅かなギャップを的確に表現していると思いました。
◎(宙虫)砂利からできるいろんなものを想像します。季語が味わい深い。
ぼかし描く後の彼岸の般若の画 幹夫
○(ちせい)季語は「後の彼岸」。般若の絵とはインパクトがあります。上5の表現にも惹かれました。
空高し終着駅は始発駅 仙翁
◯(ルカ)いい旅ですね。目的地は、何処なのでしょう。
○(敏)言われて見れば確かにそうですね。乗客のいない車内から的確に状況を把握したものと思われます。
◎(幹夫)巡り巡ってまた始発駅に・・・嗚呼秋空は高い!
○(泉)当たり前の事ですが、言われて納得、という感じです。
一人ずつ消えゆく車両冬隣 ルカ
○(藤三彩)「千と千尋」にもあったような列車の荒涼とした光景。
○(幹夫)ローカル線の光景・・・冬隣との取合せが絶妙!
花野行き女性ファーストA列車 藤三彩
◯(あちゃこ)標語めいて小気味よい。
◎(泉)女性専用の列車でしょうか。都民ファースト、小池都知事と連想しました。
◎(アネモネ)「ファースト」や「A列車」の固有名詞をいい具合に「花野」でまとめました。
(選外)(道人)熊本・三角間のA列車に小池知事が乗られたかどうかは知りませんが、彼岸花の群生を見る新しいA列車なのでしょうか。
降り立ちて巡る故里鰯雲 餡子
〇(春生)抒情があります。
◯ (アゼリア)忙しい日常では、お彼岸のような折にしか故里をゆっくり廻れません。
〇(仙翁)久しぶりのふるさとでしょうか、ゆっくりと歩きましょう。
◎(まきえっと)次の電車の来るまでの時間。楽しみですね。
〇 (多実生)故郷の駅に降り立つと新旧織りなす懐かしさです。
◯(道人)景全体を捉えて巧い写真吟行句。
〇(瞳人)遠くなってしまって、行かねば、という気持ちです。
○(アネモネ)「鰯雲」との取り合わせがなかなか。
〇(宙虫)鰯雲と故郷・・・・安定感ある取り合わせ。
(選外)(ちせい)季語は「鰯雲」。故郷恋し。
道づれは秋風とペン倉庫街 あちゃこ
○(餡子)吟行か、小説のネタ拾いか?どんな句ができたのだろうか。
◯(ルカ)いかにも、詩人。
◯(アゼリア)吟行ですね。
◎(仙翁)吟行でもしているのでしょうか。しっとり、爽やかな感じ。
○(まきえっと)ぺんってもちろん、俳句を詠むんですよね?倉庫街への転回がおもしろいです。
◯(道人)上五中七が素敵です。倉庫街は限定し過ぎかも。
○(藤三彩)写真の赤レンガが倉庫かどうかはともかく北の波止場の倉庫街へはひとり旅が似合う。
〇(宙虫)カタカナのペンがひときわ目に飛び込んでいい雰囲気。
御詠歌の流るる寺域鳥渡る アゼリア
○(ちせい)季語は「鳥渡る」。寺域にある歴史が御詠歌をさらに深いものに。
一徹の贔屓貧打の秋暮るる 瞳人
(選外)(藤三彩)お題写真のあまりの寂しさからか。「特急つばめ」への懐古と連想、ヤ軍最終戦の監督の別れの涙へ「巨人の星」のファンも悲し。
老いの脚引きずり出れば草は実に 多実生
〇(春生)季語「草は実に」で時の経過が分かります。
◯(あちゃこ)秋の魅力には勝てません。秋を引き寄せるより、やはり踏み出す方がいいですね。
○(餡子)老いの句は寂しくなるので、ちょうっと敬遠したくなりますが、とにかく頑張って故里の墓参りに出かけようと思ったのでしょう。とじこっもっている間に、季節は移ろい、驚いたのですね。歳をとればとるほど一年は速く過ぎ行く。
◯(ルカ)引きずれば、は大げさですが、季語がいいです。
ふるさとの無縁仏や蚯蚓鳴く 道人
◎(春生)厳しい現実ですね。
○(餡子)故郷の墓を世話する者もだんだんなくなり、荒れ放題の墓も増えていますね。彼岸供養もお寺任せ。はかないはなし。
〇(多実生)江戸時代末期か?寺跡と言われる場所に小さな石塔に会い苔むし石にお参りした事を思い出しました。
○(幹夫)本当は鳴かないのに「蚯蚓鳴く」・・・取合せに共感です。
〇(宙虫)無縁仏、どんどん増えていくんでしょうね。都会でも田舎でも・・・。
題目の大音響や穴惑ひ 春生
◯(あちゃこ)どこかユーモラスな一句に惹かれました。
○(泉)題目の大音響、正しくその様な感じです。
空っぽの花野へ迎え行く電車 まきえっと
◎(餡子)黄泉の国へ続くという花園があるそうですね。臨死経験のある方の話。
◎(ルカ)迎え行く、が詩情を感じます。
〇(仙翁)空っぽなのは、電車ですね、面白いと思います。
謂れある煉瓦倉庫や昼の虫 アゼリア
〇(春生)静かな雰囲気です。
○(泉)何だか曰くつきの倉庫の様に見えます。
遙かなり大将ごっこ秋時雨 敏
○(ちせい)季語は「秋時雨」。昔の思い出。秋時雨が掻き立てる。
〇(多実生)子供の頃の戦ごっこが浮かびました。
八千草に煉瓦倉庫の破れあらは アネモネ
宣伝の新酒を持つや男前 泉
秋彼岸悲願は自我の確立か ちせい
◎(藤三彩)「ひがん」のリフレインから惑いの問へ、至らぬ己のままでよいのだと
○(アネモネ)的確なボディブロー。ずしんと来ました。
豪雨などどう凌ぎしか虫時雨 多実生
○(ちせい)季語は「虫時雨」。虫などに対する気遣いが素直に俳句に。
◯(あちゃこ)今虫時雨の中にいます。生き抜いた虫達に感謝です。
〇(瞳人)まったく、いっそう、哀れを思わせます。
○(幹夫)豪雨の凌ぎ方は人・動物など各々。豪雨去りし後の虫時雨の景に共感です。
中吊りに廃刊の記事鰯雲 あちゃこ
◯(ルカ)どんな雑誌、新聞が廃刊になったのか。それを中吊りで、知るなんて。想像が膨らみました。
◎ (アゼリア)私も中吊りの句を作ろうと思いましたが、できませんでした。鰯雲の季語も効いていると思いました。廃刊もタイムリーと思いました。
○(まきえっと)廃刊と鰯雲の取り合わせが何とも絶妙。
○(藤三彩)紙文化のメディアは文字離れに苦戦しているという。憂いているのは俳句誌なのか
○(幹夫)湧き出るようなネタ・・・文春砲は凄い!
○(泉)雑誌も廃刊、創刊いろいろと有ることでしょう。
此処からは背筋伸ばして秋遍路 幹夫
◯(アゼリア)私もいつかお遍路になりたいです。でもきっと大変なのでしょうね。
〇(仙翁)気を取り直して、さあ、ひと踏ん張り。
○(敏)車窓から見える人物のこれからの行動を推理したのでしょう。
◎(多実生)目的の寺に近づくと気も引き締まるでしょうね。
◯(道人)電車を降りれば、長い遍路道ですね。順打ちでしょうか、逆打ちでしょうか?
(選外)(ちせい)季語は「秋遍路」。殊勝な心掛け。
山を背にコの字に咲ける彼岸花 仙翁
○(幹夫)毎年決まって同じ場所に咲き続ける彼岸花には逞しさを感じています。佳き景が詠まれています。
回送の運行秋日の濃きところ ちせい
◯(ルカ)回送、の着眼点がいいですね。
○(敏)車内に誰も見えないところから、回送電車と見たのでしょう。
砂利を積み秋の空との距離詰める まきえっと
◎(ちせい)季語は「秋の空」。「距離詰める」。この措辞がいいですね。「砂利を積み」と言う行為や、その結果の解釈もいいです。
この代で終わりし家系秋彼岸 餡子
〇(春生)なんとなく寂しいですね。
〇(まきえっと)心はつなっがています。
○(敏)彼岸の墓参に詣った折りの感懐かも知れません。
〇(多実生)過疎の村の次は家系の絶えで侘しい限りです。
〇(瞳人)いやあ、つらい一句ですね。
○(泉)未婚の人が増える中、この様な家系も多いことでしょう。
秋分の始発電車で行く古郷 道人
○(餡子)始発と言ってもそんなに遠くはない近郊でしょうか。お墓参りに日帰りでと言う感じがよく出ています。
〇(まきえっと)始発で行くから古郷を思う気持ちが表れています。
○(アネモネ)「始発電車で行く故郷」泣かせます。
鵙猛る俺のことなら放つといて 瞳人
○(ちせい)季語は「鵙猛る」。自恃の精神が強いと思いました。句にも現れて居る。
〇(宙虫)少し季語(猛る)と下五が近すぎる感もあるが、口語体の投げやり感がいい。
乗り継いで銀河ただいま分譲中 宙虫
〇(まきえっと)銀河まで分譲ですか。びっくり。
○(敏)乗り継ぎ駅からの大胆な飛躍。思い切りの良い想像が一句を生みました。
◎(道人)空き家分譲ではなく、銀河分譲とは発想のスケールが大きい。乗り継ぐ鉄路は銀河鉄道?
さやけしや吊り公告の漢の目 敏
〇(多実生)手ぶらで乗った電車の吊り広告、週刊誌等結構時間を潰せます。
(選外)(道人)よく見ると佳い男ですね。
色なき風や奪衣婆の旗頒布 藤三彩
◯(道人)物心つかない頃に聞いたような。おー怖!
死に近き齢となれり鶏頭花 春生
◯(アゼリア)淋しいけれど現実です。鶏頭花が効いていると思います。
〇(仙翁)無常の世の中です。ひしひしと、老化を感じます。
○(藤三彩)買った鶏頭が3日ともたない。友人の手術の報あり、余後を生きる齢が怖くまた近い。
〇(宙虫)子規からはじまって、鶏頭には死期がついてくる。駄洒落じゃないけど、なんか面白いつながりだった。
人形の棲む蔵の鍵十三夜 ルカ
◎(あちゃこ)妖しく怖くて哀しい。発想が凄いですね。
◯(アゼリア)本当に人形が棲んでいそうな蔵ですね
〇(仙翁)何となく、不気味そうで、面白いです。
◎(敏)上五中七から的確に3枚目の写真を読み取って暗いイメージを描いていますが、一転して蔵を開ければ煌々と明るい十三夜。見事な物語性に感銘しきり。
○(藤三彩)人形は飾らないと化けて出ると怪談噺になる。不気味。
◯(道人)この蔵が醸し出す心象風景の広がりに吃驚しました。人形はいつの時代のどんな人形とか...
○(アネモネ)写真からよくここまで発想が飛んだなと感心しました。
(選外)(ちせい)季語は「十三夜」。ふとイプセンの戯曲ノラを思い出しました。
♪♪
お待たせしました。
今回の句会も無事に終わりました。
明日から選挙ですね。
ばたばたとした選挙です。
皆さんの賢明な選択を。
広島はようやく秋らしくなって来ました。しかし、今年はいつまでも暑いです。秋祭も近くなって来るし、今年もいよいよ終盤だな、という気持ちになります。
お疲れ様でした 秋の陽は釣瓶落とし、俳句の月の締切があったり気ぜわしい十月。快晴なのにフリーマーケットにも行かないと新鮮野菜や出来立てパンが売り切れてしまう (^^ゞ