つづき
初恋のうた菜の花の黄に揺らぎ 道人
◯ (アゼリア) 揺らぎに初恋の初々しさが出ていて懐かしい気持ちになりました。
○(あちゃこ)初恋のうたとは?春の喜びと別れが交差します。
〇(珠子)一面の菜の花に揺らぎ、遠い日の思い出に揺らぐ。歌は、藤村?啄木?いやサザン?ユーミン?いやいやもっと現代?
〇(まきえっと)「初恋のうた」と黄色の取り合せがいいですね。
胸中のざわめきに鍵涅槃西風 まきえっと
◯ (アゼリア) 何かと心のざわめくことが多いですが鍵をかけ目の前の仕事をしなければと思っています。
〇(珠子)ざわめきに鍵をかけるのも開けるのも吾。そこが難しいところ。風はまだ冷たい。
春夕焼け来し方映る男の背 藤三彩
○(あちゃこ)一枚の写真にドラマの味付けが巧みです。
◎(餡子)どんな来し方だったのでしょうか?男の方の背中には寂しさが見えます。
〇(アネモネ)ほんと男の背中は来し方を映します。
◎(瞳人)ちょっと、気障(きざ)だけれど、この年になると、こういう句がすっと胸に落ちてくるのですね、自分の背を見たくても見られないから
引越しの荷の納まりて薄暮かな 春生
○(卯平)「薄暑かな」のこの句での収まりは理が先行して納得していない。しかし、上五中七に詠み手の離任する思い、そして新天地への微かな思い等々を伺う。別の季語の斡旋も十分検討出来る。
花咲くや失意の夫を励まして 泉
〇(カンナ)明るい季語と、陰りのある中七、下五の取り合わせがよいと思います。
〇(瞳人)いいですね、ほんとにいいですね、こうでなくちゃあ、
破れ庭の初音に寸志包みけり 瞳人
◎(ちせい)寸志に大志ありと見ました。
マジシャンの見よう見まねや初桜 卯平
〇(アネモネ)桜の下の麻雀でしょうか笑
渇きゆく人間の闇遠ざくら あちゃこ
◎ (アゼリア) ロシアやイスラエルの指導者などなど人間の闇の恐ろしさを考えさせられる昨今です。遠ざくらに悲しみが込められているように思いました。
〇(まきえっと)取り合せがいいですね。「渇き」と言いながらドロドロしている感じ。
〇(仙翁)今確かに、人の世は、乾ききっていますね。
クレーンのつかむ鉄骨花吹雪 あき子
○(楊子)重機と花吹雪の取り合わせがいいです。
〇(珠子)近所でマンション建設中。鉄骨を吊る巨大クレーンが見えます。ゆっくりと確実に。足踏みをしていた桜があっという間に満開です。
〇(まきえっと)「クレーン」の硬さと花吹雪の柔らかさの対比がいいですね。情景が目に浮かびます。
(選外)(卯平)類似感はある。花吹雪ではテレビ俳句の範囲を出ていないのでは。
五線譜を飛び出す鳥語花の雲 珠子
○(楊子)囀りは五線譜には乗らないでしょう。春のぼんやり感があります。
◎(藤三彩)色んな鳴き声の鳥たちが囀り合っている。春の季節ですね
○(あちゃこ)飛び出す鳥語でいただきました。季語との取り合わせがいいですね。
○(餡子)鳥の声を音符で表すとどうなるのでしょうか。
〇(仙翁)鳥の声は、人の感覚を越えていますね。
◯(道人)上五中七の囀の描写がとてもいい。
〇(春生)雰囲気が出ました。鳥のさまざまな声が聞こえてくるようです。
○(宙虫)季語が少しでき過ぎのように思うが、解放感にあふれている。
まだ恋も挫折も知らずチューリップ アゼリア
〇(カンナ)上手い句だと思います。
◯(道人)チューリップのもつ思春期の特性をうまく捉えている。
◎(アネモネ)こんな時代が懐かしい!
〇(春生)清純さが出ました。「チューリップ」が効果的です。
(選外)(卯平)若い詠み手であればこのような句も許されるか。「まだ」「知らず」、少なくともこの二つのコトバを推敲すればより詩情に近づくかも知れない。
大欠伸五限物理の花盛り めたもん
○(卯平)高校生の句として実感がある。昼食後の物理ではテンションも下がるだろう。高校生の学校生活を描き切っている。しがつ
〇(ちせい)大あくびで却って正気に返ったのかもしれません。
空っぽの自転車置き場鳥雲に まきえっと
○(楊子)ぎっしりと空っぽをくり返す自転車置き場ですね。またもうすぐ新学期が始まります。
〇(めたもん)季語「鳥雲に」が上五・中七の措辞に合っていると思います。
○(幹夫)春には帰って行く鳥に例えて、3学期を終えてから新年度が始まるまでの間の学校の閑散となった様子を上手く詠んでいる。
〇(仙翁)何となく、切なく感じましたね。
◎(道人)そこはかとない空虚感を二つの具象の取合せでうまく言い止めた。
〇(アネモネ)自転車置き場の春休みの景。
(選外)(卯平)このような句は五万とあるだろう。
花遍路はたちの父の跡を追う 道人
○(泉)ミステリアスな俳句だと思います。
○(藤三彩)多分、亡父の後を追って遍路に出る。しかし二十歳で遍路とは苦節の青年ですね。
◎(あちゃこ)四国遍路を思い出します。誰かに導かれるというより、何かを追い求める旅でした。掲句は具体の中に心情が込められており、惹かれました。
◎(めたもん)年齢を重ねる毎に分かり、また、より分かりたい父の内面があります。
〇(あき子)「跡を追う」から足跡を辿りながらの心情が見えてきます。
〇(春生)父と子の遍路ですね。若々しさが出ました。
○(宙虫)父親のあとを追う、父に近づく旅なのだろう。
チューリップ畑満開四温晴れ アネモネ
約束を見失う路地春夕焼け 宙虫
◎(カンナ)写真から物語の世界を展開させる力量に感服。
〇(まきえっと)約束を見失うってどんな?と思いましたが春夕焼ならそういうこともあるのかなと思いました。
〇(めたもん)路地で見失う約束とは。「約束」と「春夕焼」が響き合い想像が広がりますね。
〇(仙翁)何か見失いそうな、路地ですね。
〇(ちせい)春夕焼けのせいで忘れてしまったような長閑な、漢字を抱きました。
新社員社長がとなり喫煙所 楊子
○(泉)現実にありそうな光景ですね。
〇(カンナ)緊張感が伝わります。
○(卯平)面白い句。川柳としても成り立つだろう。
○(幹夫)社長の覚えめでたきのチャンスですね。
○(餡子)今や、喫煙所はどこも無くなっていますね。喫煙所では上下関係は無し!なのですね。お互いにやや肩身の狭い思いで喫煙なさっているのでしょう。
〇(アネモネ)笑いました。四コマ漫画のようです。
〇(瞳人)トイレでないところが一句となりました
戦場の夕陽たけなは花菜畑 幹夫
〇(あき子)戦場でも、夕陽や花菜は変わらずに。
味付けに塩を選びぬ花見かな ちせい
花見上ぐ人とぶつかり蹴躓く 仙翁
○(泉)花見も混雑すると大変です。
何もかも新入生を待つ構え 餡子
○(藤三彩)静岡の県知事さんが入社式でとん馬な話をしたとか。日本のトップも清廉潔白だといいのだが・・
〇(珠子)「何もかも」ですので「待つ」のは学校でしょうか。教室も式場の体育館もグランドの満開の桜も。上級生や職員も気持ちを引き締めてあたたかに。
〇(あき子)「待つ構え」から、手間をかけて新入生を迎える心の張りが感じられました。
◎(幹夫)新年度の学校の様子が佳く詠まれています。
「記憶にございません」連発花霞 カンナ
写真説明・・・一枚目
大分県豊後大野市の原尻の滝
春は「チューリップフェスタ」
その準備段階の写真。つぼみのチューリップがずらり。
チューリップフェスタ2024について | 豊後大野市 (bungo-ohno.jp)
次回の句会はまきえっとさんの当番です。
告知をお待ちください。
この雨があがれば少しは晴天が続きそうです・・・。
広島は最近、雨の日が続いています。桜は満開となり、もうすっかり春です。季節の変わり目は体調管理が難しい。それにしても、大リーグばかり見ているような感じですね。大谷選手の様なスーパースターになると、いろいろあるでしょう。打つしかない、と思います。