春本番。
うきうきする感覚にブレーキがかかる。
そういえば、この二年間、人ごみの中を避けながら(半分無意識に)過ごしてきた感じ。
マスク越しでの会話が辛いのは相変わらず。
ウクライナの件もあり、霞のかかったような日々は続く。
★結果発表
予報士の舌なめらかにさくら咲く 楊子
○(泉)順調に桜が咲いて、予報士も自分の予想通りなのでしょう。
◎(瞳人)さくらを咲かせる人、そうか、知らなかった、饒舌なんだ
○(卯平)予報士の予報が的中したのか。「舌なめらか」がそれを暗示している。下五は「さくら咲く」まで言わなくて良いのでは。例えば「飛花落花」で押さえて「予報士の舌なめらかや飛花落花」でも良いのではと観賞した。句材構成は好感が持てる。
○(あちゃこ)予報士にとっても春の訪れは特別なのでしょう。中七が効いています。
◯(道人)「予報士」の発見が佳い。明るい「さくら」の句。
○(アダー女)天気予報士の話しっぷりは実に上手だし、最近はよく的中しますね。桜前線もほぼ間違いなく当たります。いや、当たるのではなく気象学が格段に進歩したというべきか!予報士の言ったとおりにその地区の桜は開花、満開へと進みますね。
○(敏)予報通りに開花日を迎えられた喜びが「舌なめらか」に表れていますね。
◎(ルカ)中七がいいですね。
〇(宙虫)気象予報士があふれていますね。桜咲く外での中継。
花散るや一旗あげると豪語して 泉
○(ちせい)豪語した人の事や、豪語の内容に対しても興味が湧いて来ました。
血の味の雨が桜を咲かす町 宙虫
◎(仙翁)ウクライナですね。血の味がする雨、怖いですね。
◯(道人)どきりとする「血の味の雨」。桜には平和な情緒と戦争の匂いが共存している。
(選外)(卯平)これは熊本地元の方の実感か。「西南の役」が下敷きだろうか。「血の味の雨」をどう観賞するかであろう。少々時代劇的で詩情からは遠いと観賞した。
ポニーテール影かろやかに青き踏む アゼリア
〇(楊子)影までかろやかなのがいいです。
〇(仙翁)影が踏む、面白いですね。
○(敏)セーラー服にポニーテール、「かろやか」な若さが印象的。
花と咲くセーラー服の卒業す 藤三彩
指す方に探す母校よ山桜 めたもん
〇(まきえっと)目に浮かびます。高台から眺める風景もいいですね。
〇(瞳人)どんどん、学校が消えているんですね、少子化で
○(卯平)城跡から母校を探しているのだろうか。山桜から、例えばその母校は分校ではと観賞した。「母校よ」に詠み手の思いが委ねられている。
◯ (ルカ)自分の立ち位置が見えます。
学生や桜が咲けば海を見に ちせい
○(アダー女)学生に限らず、桜が咲く頃は「ひねもすのたりのたり」の春の海を見に行きたくなります。
〇(あき子)桜が咲いても咲かなくても、なぜか海を見に行きたくなる。そんな学生時代の心情がなつかしい。
若芝や地に落ちるもの空を欲り ちせい
同窓会たとへば初戀ひ老い櫻 瞳人
○(泉)学生時代の初恋の人。今は老いて、どの様に変わったことでしょう。
プールてふ防火用水桜まじ 卯平
◎(泉)プールを防火用水と判断したのには驚きました。確かにその通りです。
○(アネモネ)「防火用水」いかにもです。
○(敏)防火用水を兼ねたプールに、春風に吹かれた花びらが散っているのでしょうね。
○(ちせい)プールの水が防火用水。合理的なようですが、昔はそうじゃなかったような。
◯ (アゼリア) 火災の多いこの季節プールにはもう一つの大切な役割のあること改めて認識しました。
日の午後の花をたははに紫木蓮 アネモネ
城跡の苔むす石に花の雨 仙翁
〇(めたもん)「城跡」「苔むす石」「花の雨」渋い取り合わせがさりげなく自然に詠まれています。
○(泉)まるで絵葉書のような俳句だと思います。
○(敏)「苔むす」石に歴史が刻まれています。
石積みの石の拮抗残花かな あき子
○(卯平)上五中七の景は、今回の写真だけの情報ではなく、お城をそれなりに日常的に慣れ親しんでいる結果としての叙。だから「石の拮抗」を発見出来た。「残花かな」では上五中七に対する少々の緩みは感じる。写生的俳句として好感が持てる。
◎(あちゃこ)同じ石垣を詠んだのですが、観察眼と鋭い感性で拮抗を見出した所に惹かれました。
◎(めたもん)上五・中七の緊張感ある措辞と季語がうまく響きあっています。
◯(ルカ)石積みは本当にうまく積んでありますよね。
〇(宙虫)長い時間がそこにある。桜のはかなさとの対比がいい。
城山の石垣高し八重桜 春生
石垣の語る興亡花の影 あちゃこ
〇(藤三彩)攻防があり興亡でもある城址。
◎(アネモネ)「石垣の語る興亡」に得心です。
〇(楊子)「兵どもが夢の跡」を連想しました。さくらのさびしさが表現されています。
〇(めたもん)語らない「石垣」に語らせたところが上手いと思います。季語もきまっています。
〇(まきえっと)どんな興亡があったのだろう。興味津々。
〇(宙虫)国盗りの記憶がそこにある。
(選外)(道人)予定調和のきらいはあるが好きなテーマ。「影」が微妙。
花満ちて心の隙間広ごりぬ 道人
◎(卯平)満開の花に囲まれているとどこか不安な気持ちが突然湧いてくる。「心の隙間」が言い得て妙。春愁を花に託している。「満ち」て「広がり」の関係は整理できるだろう。句が伝える景には共鳴できる。
〇(仙翁)花の華やかさと心の隙間の対比がいいですね。
〇(めたもん)花の季節はアンニュイな季節だということに気づかされる句ですね。
◎(アダー女)桜が満開になるとその圧倒的な美しさを愛でる反面、自分の中の苦悩が一層悲劇的要素に感じられ、増幅されてくることがあります。
◎(ちせい)何か心の葛藤があったのかもしれません。
◯ (アゼリア) 何故か満開の桜には人を不安な気持ちにさせるものがありますよね。
◯(ルカ)心情に共感。
攻めあぐむ堀の石垣鳥帰る まきえっと
〇(瞳人)城の方がわたくしには、いいんですけど
もののふの夢の石垣花は葉に 敏
〇(まきえっと)佐和山城を思い出してしまいました。
〇(藤三彩)兵どもが夢の跡と芭蕉が詠んだ季節を花は葉にした本歌取り。
〇(楊子)戦を連想させる石垣に侘しさが漂います。くり返す歴史は花とともにあります。
鬨の声幾度聞きしか城桜 アゼリア
〇(珠子)どの城跡からも戦の声・死んでゆくおびただしい人の苦しみが聞こえます。
〇(あき子)歴史ドラマの映像が見えて、かつ、情感豊か。
(選外)(卯平)上五、中七の答えを下五で出している点が勿体ない。
城跡は第二グランド初燕 珠子
〇(まきえっと)なんかありそうですね。
○(泉)城跡をグラントとして利用する所も多いことでしょう。
〇(楊子)現代をよんでいて明るいのがいいです。「第二グランド」の措辞が、少しの角度でずれているところが俳味があります。
○(卯平)この句は下五を「桜」関連の季語で納めなかった事が成功した。初燕の季語で上五中七の景が生きている。詠み手の推敲が伺える。
○(あちゃこ)景とそこで過ごした大切な時間を想像させます。
◎(道人)この緩い感覚が心地よい。忙しい時勢を離れて人と自然の営みに共感。
〇(めたもん)上五の「は」が季語「初燕」との響きあいを際立たせています。
〇(あき子)過去と現在の若者の姿が、城跡の初燕でつながった空間がそこにある。
◎ (アゼリア) 城跡の有効利用ですね。我が街では図書館、文化ホールなどがあります。初燕の季語が明るい気持ちにさせてくれます。
◎(宙虫)第二グランドがグッとくる。
千鳥ヶ淵その咲きっぷり枝っぷり アダー女
○(アネモネ)桜時の千鳥ヶ淵の景が目に見えます。
◎(敏)千鳥ヶ淵の桜の形容に「咲きっぷり枝っぷり」は見事な詠みっぷりです。
風光るセーラー服の束ね髪 ルカ
◎(藤三彩)季節を先取りした「風光る」とセーラー服がマッチした。
○(あちゃこ)爽やかな春。季語がいいですね。
〇(珠子)セーラー服とも束ね髪とも卒業して、セミロングのサラサラヘアーに。
〇(仙翁)女学生の純情が見えます。
(選外)(卯平)類似類句はあるのでは。今一つこの奥の景が欲しい。
つづく
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