小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第484回小麦句会結果発表2

2022年09月08日 12時28分04秒 | 1日句会

つづき

 

たこ壺にたかるふじ壺ちちろ鳴く   アネモネ

〇(藤三彩)隅っこに置かれた壺にちちろが鳴く。季節感があるな。

○(仙翁)ふじ壺はいろいろな所に、よくたかっていますね。

 

大海を経廻り来たり秋の卓    仙翁

 

支払ひは現金のみや秋の宿   卯平

〇(瞳人)そういう店(宿)ふえたみたいですよ

◎(泉)最近、クレジットカードの不正が相次いでいます。社会問題ですね。

○(餡子)カード一枚で済ます方もいれば、現金のみという方も・・・。私は勿論現金派です。   

 

ひぐらしや恋を慰む酒一合   あちゃこ

〇(楊子)「慰む」までは言わなくてもいいと思いましたが、過去の思い出に浸る心地が表れています。

○(卯平)常套的。しかし「ひぐらし」と「酒一合」の間に流れる詩情は「おや?」と思わせる。

 

ジグザグに生きて海辺の秋の蝶   めたもん

◎(仙翁)ジグザグに生きる、面白い表現ですね。

○(敏)海辺の蝶のジグザグな生き様に己れを重ねているのでは……

◯(ルカ)独特の空気感があります。

◯(道人)この秋の蝶のイメージを一生に喩えれば還暦、一日に喩えれば午後四時頃であろうか。この「海辺」は分かりにくいが故郷かも。

○(宙虫)終末を感じる。さみしくても充足感もある。

 

定食やメニューの墨の踊り文字   ルカ

○(泉)「踊り文字」という表現が良いと思います。

 

熱燗があれば完璧御膳立て    敏

 

(選外)(藤三彩)熱燗は三冬。新走りとか新酒でいいのでは

 

水の秋酒の肴に鳥の肉    ちせい

 

木鶏や連勝記録を持つ力士    泉

◎(藤三彩)最強の闘鶏。動かない。秋場所が始まります。逸ノ城頑張れ!

〇(幹夫)「闘鶏(春季語)」における最強の状態が木鶏であるが、掲句は「相撲(秋季語)」の傍題「力士」として読んだ。大相撲の歴代連勝記録、言わずも知れた昭和の大横綱双葉山は69連勝で敗れた時恩師に「我いまだ木鶏たりえず」と電報を打ったと言う。

○(仙翁)双葉山は、連勝が止まった時、未だ木鶏に及ばず、と言ったのですね。

◎(ルカ)双葉山、われいまだ木鶏たりえず。偉大な横綱にリスペクトを込めて。

 

盆過ぎの浦風昭和へと戻る   珠子

◎(あちゃこ)東北の盆が終わると秋へ一直線。風も景色も一変します。私自身の実感と重なり、昭和への展開に納得。

◯ (アゼリア) 昭和っぽい懐かしい写真ですよね。

○(宙虫)一瞬タイムスリップすること確かにある。

 

秋暑し2分遅れる古時計   楊子

〇(藤三彩)ダリのよだれる時計のようなだるさ。2分ぐらい遅れても直すのも面倒くさい

◯(アネモネ)いいとこ見たなあと納得。

◯(ルカ)2分が微妙に効いてます。2は、出来れば漢数字に。

 

(選外)(道人)動詞ではなく「二分遅れの」ならいただきました。

 

沖へ向く水槽の魚涼新た   まきえっと

〇(楊子)「沖へ向く」と言い切ったところが季語を高めています。

○(餡子)「沖へ向く」が魚の心を表していて哀れ。海へ帰りたいでしょう。 

○(あちゃこ)以前沖に向く蔵の句があり大景を想像しましたが、掲句には哀愁が漂います。

○(敏)水槽に閉じ込められていても「母なる海の沖」の方角は分かるのでしょう

○(宙虫)生きるための習性。だが、そこにはない。季語が切ない。

 

(選外)(道人)魚にも望郷の心はある、そんな感じのする句。季語が微妙。

 

そぞろ寒まかない飯に磨く腕   あき子

〇(藤三彩)まかない飯は新人、見習いにはテストされる緊張感がある。

〇(楊子)日常の小さな積み重ねを良しといたしましょう。

 

釜飯の栗の小さしと亭主呼ぶ   幹夫

〇(瞳人)そこに目が行きましたか

○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。

○(ちせい)ユーモラスですね。亭主の顔が浮かんで来るようです。

 

新走も付けてレディースセット膳    餡子

〇(楊子)いいですねえ。レディースセットが軽みを出しています。

〇(まきえっと)レディースセットって結構お得なんですよね。「新走り」の選定がぴったり。

◯(道人)世相を詠うのも俳句の役割。

 

釜飯に秋の彩り山と海    藤三彩

 

空いているお席にどうぞ蚯蚓鳴く   宙虫

◎(瞳人)さみしいなあという感じ出てます

◯(道人)そっけないが(深読みすればコロナ禍の)日本のおもてなしとも思える。「蚯蚓鳴く」が閑散とした店の雰囲気を巧く捉えている。 

〇(珠子)よくある景です。どこからか昼の虫の声が。この季語は使ったことがありませんが、確かに「昼の虫」ではつまらない。  

○(あちゃこ)口語としみじみとした秋の季語との取り合わせに意外性を感じました。

○(ちせい)自然な口語体がいいと思いました。

〇(あき子)聞きなれたセリフが、季語によって秋の夜の淋しさの漂う空間になる不思議。

〇(めたもん)まばらな客の店。丁寧とは言えない客扱い。どこかから蚯蚓の鳴く声が聞こえます。

 

いつしかに生簀暮しの鱸かな     道人

◯(アネモネ)ほんとそうですよね。

〇(珠子)これを、水揚げされてすぐに市場へ出される仲間より「長生き」というのでしょうか? 「いつしかに」がとぼけていて面白い。

◎(まきえっと)「いつしかに」がぐっときました。生簀暮らしが待っているのかぁ。

 

 

 

今月の写真

熊本県上天草市のファミリーレストラン「ニュー入船」

写真のメニューは「たこ釜めし定食」1230円也


それでは次回15日句会まで。

告知は近日中にまきえっとさんが行います!



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2022-09-09 10:55:14
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島はやっと秋らしくなって来ました。しかし、今年の夏は暑いです。仕事の関係で、新型コロナの感染状況が常に気になります。ウクライナ戦争と同様に、終わりが見えません。
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