小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第488回小麦句会結果発表1

2022年11月08日 08時55分25秒 | 1日句会

立冬を過ぎた。

何ひとつ進展が見えない混沌を抱えたまま地球は回り続けている。

今夜は月食。

天王星食も同時にという。

あとは400年以上先と言う。

自分たちが姿を消しても時は刻まれていく。

馬鹿なごたごたを人類は繰り返しているばかり。

 

結果発表・・・・今回も二回に分けて

★結果発表

 

前を向け試験に落ちた夜学生 泉  

○(幹夫)9月27日、安倍晋三元総理国葬儀の際、菅義偉前総理の弔事は感動的だった。菅前総理は法政大学二部卒業である。

〇(瞳人)夜学生にはかわいそう

 

天高しピサの斜塔のようなビル  カンナ

○(泉)「ピサの斜塔」は新しい発見です。

○(幹夫)秋の空にぐらついて、倒れそうだが倒れない都会の高層ビルだ。14世紀イタリアのピサの斜塔が建設されるまでには200年の年月を要した。

〇(瞳人)怖くて、どうしても上る気にならなかったなあ

◯(アネモネ)平衡感覚が麻痺しそう笑。

 

歳時記に送り狼しかと在り   瞳人

 

(選外)(藤三彩)「マスク」は季節感を失ってしまったかのようだ。山犬の「送り狼」、日本狼は伝説を遺して絶滅したが「狼」に冬の存在感は未だしもある。

 

着膨れてエレベーターの右左    藤三彩

〇(楊子)どちらかに寄るようなったのはいつからでしょうかね。着膨れて遠慮がちに寄ってしまいます。

◯(アネモネ)これからの朝の光景横溢です。

◯(ルカ)季語がいいですね。

○(あちゃこ)無機質な都会の日常が浮かぶ。

〇(めたもん)「着膨れて」乗るエレベーター。右左に少し離れて乗る姿にクスッときます。

○(ちせい)着ているものの重みなのかもしれません

 

角張りし街を色なき風つつむ   幹夫

○(仙翁)無季でしょうか、角張りし街、上手い表現ですね。

〇(めたもん)街を「角張りし」と捉えた上五がいいですね。尖ったものと優しく包むもの。季語も上手い。

○(宙虫)季語としての色なき風が無機質な街の姿をくっきりとする。

 

天高しビル見上げれば空が見え   ちせい

 

鈍行の一駅ごとに秋惜しむ    アゼリア

〇(楊子)鈍行の駅は個性があっていい日本の風景です。新幹線のトンネルばかりでは秋惜しむという気にはなりませんね。

◎(瞳人)そういう惜しみ方、あるのですね、で、行き着く先は?  

〇(カンナ)詩情を感じます。 

〇(珠子)秋晴れの最高の天気。最高の贅沢。ゆったりした気分になれることが一番。    

◎(ちせい)旅慣れた人、或いは旅マニアで、鉄道マニアも兼ねて居るのかもしれません。

〇(めたもん)鈍行の旅、ゆったりといいですね。繰り返し読むとじんわり伝わって来るものがあります。

〇(あき子)ひと駅ごとに、秋が深まっていくかのようです。

◎(道人)「ななつ星」よりも好対照な鈍行の各駅停車の旅の方が好きだ。中七下五の措辞が巧い。七つ星の旅では一駅ごとに秋を惜しむことはないだろう。

 

(選外)(卯平)「鈍行」の世界と「秋惜しむ」の世界は同調的では。「ごとに」「惜しむ」に理があるのでは。

 

天辺を競ふマンション神の留守   卯平

◎(アネモネ)ほんとほんと!共感です。

〇(カンナ)季語と現代の風物の取合せがよいと思います。

〇(めたもん)高さを競うマンションの群れを見上げるときの思いが、季語「神の留守」から伝わります。

〇(珠子)これでもかこれでもかと高く伸びる住い。タワマンの上階は空の城に住んでいるような感じなのでしょうか。窓を開けられない生活は別世界で性格も変わりそうな気がします。神様もびっくりでしょう。 

〇(あき子)これでもかと言うくらいに、競ってます。神の留守の少しの不安感が合っている。

 

七つ星派A列車派秋深む      道人

 

高層の秋 青空に吸われそう  敏

 

空高しバベルの塔は傾いて   仙翁

◎(幹夫)メソポタミアの古代都市バビロンに建設された「高い所」を意味し「天と地」をつなぐ「ジッグラト」は、都市崩壊のあと「バベルの塔」と呼称されるようになった。都会の喧噪は神の怒りをいざなう。

○(敏)高い秋空を眺めながら、天国への階段といわれるバベルの塔を思い浮かべているのでしょうね。

◎(珠子)ぶっ飛び方にびっくりしましたが、妙に共感できました。傾くのは、街であり、国であり、世界でもあります。  

○(あちゃこ)傾いている塔に象徴される国家。空だけが明るい。

◯(道人)「バベルの塔」の発想がすごい。この青空に人間の欲望の象徴のような近代ビルが傾いて見える。

◯ (アゼリア) あの写真からバベルの塔へとー発想に感服です。

 

(選外)(卯平)「バベルの塔」と言う強烈なコトバがこの季語で響いてこない。「傾いて」が少々安直ではないだろうか。

 

発車ベル国の愁思をクロスさせ  宙虫

〇(瞳人)国といえば、この国の首相、風情が貧相に見えて、たまらない、この愁思…

○(卯平)国の秋思に詠み手の今の世相対する思いを感じる。上五「発車ベル」の置き方は納得する。理が熟され詩へと止揚された句。特選を迷った。

〇(まきえっと)「国の愁思」ありすぎて困りますね。

○(ちせい)憂国の人ですね。愁思に厚みが生じました。

 

(選外)(道人)「国」は大袈裟かも知れないが、ななつ星の発車ベルと見送る人の秋思とはクロスする。

 

小鳥来る見下ろして得る安堵感  まきえっと

 

(選外)(卯平)何を見下ろすのか。安堵感と小鳥来るの関係が緩いのでは。

 

 

つづく

 



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