つづき
料峭や火の用心の淡き文字 ルカ
○(泉)「料峭」という季語は初めて知りました。勉強になります。
〇(藤三彩)時代劇ならば火桶に火の用心とあったであろう。
◯(道人)火事の多い時期が過ぎた微妙な季節感を「淡き文字」で表現して中々。火の見櫓の景を詠みたかったが、季節感から断念したので尚更。
〇(楊子)なんともたよりなげな淡い文字が火事などないことを想像させます。温かい季語でも合いそうですね。
◎(仙翁)料峭とは、蘇武の詩ですか。今年は寒さが続きますね。
〇(あき子)句全体のあわあわした雰囲気が好き。
◎(ちせい)風強き日に類焼を警戒してるのかもしれません。
(選外)(卯平)それなりにオーソドックで出来た句。この季語で一行詩としての情感が伝わる。相対的に予選とならざるを得ない句。
おろおろと半鐘叩く目に余寒 めたもん
○(瞳人)叩き續けても、誰も出てこない、その余寒…は予感でもあり
(選外)(卯平)上五、中七は物語性を醸す措辞。その措辞を「目に余寒」が支えきっていない。「余寒」の位置はこの句の立ち姿では違和感はない。
光満つ寒緋桜へ海峡へ 道人
〇(仙翁)明るい春の訪れになるといいですね。
○(敏)光り溢れる風景が見えてきました。
風光る船の帰りを待つ入り江 まきえっと
◯(アネモネ)この気怠さ、なかなかだと思いました。
〇(ちせい)様々な思いを抱えて様々な人が待って居るのだと思います。
◯ (アゼリア) 船のない入江は寂しそうです。
(選外)(卯平)報告の範囲を出ていないのでは。中七、下五の叙も平板。またこの季語も上滑りの感が強い。
ウクライナの平和を願ふ春の海 春生
〇(藤三彩)「STOP WAR」「Stop Invation」などサッカーゲームの試合に表示される。願いは同じ
◯(ルカ)心情が伝わってきます。
桜咲く島に絵踏の庄屋跡 アゼリア
◯(アネモネ)上手い!「島に絵踏の庄屋跡」出色です。
○(泉)島原地方には、キリシタンが多かった歴史がありますね。
〇(珠子)九州の明るい海に向かって思う悲惨な歴史。
○(まきえっと)情景が目に浮かびます。
〇(楊子)歴史は遠くなりにけり。温かい季語が合う遠き歴史となりました。
◎(あちゃこ)島原への旅を思い出した。実景かどうかはわからないが、説得力のある句。
〇(めたもん)上五で切って鑑賞。「絵踏」「庄屋」の歴史が上五に奥行と感慨を与えています。
囀や傾斜地降りればドッグラン ちせい
(選外)(卯平)「囀り」と「ドッグラン」の同心円が勿体ない。
遡る結界よりの春の潮 卯平
桜咲く合格通知散る桜 藤三彩
○(瞳人)そういう電報を打ったこと、むかしの懐かしきわが風景だ
春の雲二片火の見櫓過ぐ 敏
〇(春生)春の雲と火の見やぐらの取り合わせがうまいです。
○(アダー女)長閑な景が目にみえるようです。一片でも三片でもなく二片が良いです。
春風の立ち寄る岩屋流人島 あちゃこ
◎(餡子)鳥も通わぬ流人島。春風が吹く頃、本土に帰れるかもとの一縷の望み・・・。歴史の重みを感じる句。
○(まきえっと)岩屋から流人島への展開がいいです。
〇(楊子)遠い歴史のなせる季語の斡旋ですね。優しく流人島の歴史に寄り添います。
○(敏)時代劇のような一景ですね。
○(アダー女)島流しの刑を受けた人が住んでいた岩に横穴を開けた住まい。そこにも暖かい春の風は素通りせずに立ち寄ったのですね。過去の流人の住まいの名残なのかその横穴に流人が住んでいる時代にタイムスリップしたのか?どちらとも解釈出来る面白い句ですね。
〇(ちせい)流人島は伝説の類ではないと思います。春風の力強さを思いました。
◯ (アゼリア) 俊寛を思い出しました。
◯(ルカ)発想がいいですね。
火の見櫓を曲がれば春の物語 アダー女
◎(珠子)この緊迫した情勢の中でも、日々の暮らしの中には、あたたかな春の物語が生まれ育っていることでしょう。辛夷が咲いたり仔山羊が生まれたり。そういえば我が家にもひとつ「春」がありました。
○(あちゃこ)そんな気がしますね。色々な物語が始まる。
◯ (アゼリア) それぞれの家にそれぞれの春の物語があるのでしょうね。
〇(宙虫)何気なさに魅かれる。春の明るさに向かう。
島山の遠く小さく立子の忌 アネモネ
〇(珠子)3月3日立子の忌に、2月27日汀子の忌が加わりました。虚子が温かく迎えてくれることでしょう。虚子忌は4月8日、お釈迦様の誕生日。
〇(ちせい)雛祭りの事も念頭に有ったのかもしれません。
反戦と世界が叫ぶ春の嵐 泉
○(瞳人)叫ぶだけでは嵐にもならないぞ、しかし、それしかできないのが現実というものか…
寒村の火の見櫓に風光る 仙翁
〇(春生)春の訪れはこんなところにも。季語が効いています。
〇(めたもん)寂びれた村の火の見櫓。季語「風光る」は救いであり、同時に寂しさを深いものに。
花を見て爆撃を見るウクライナ 楊子
○(泉)日本人は花見ができます。しかし、ウクライナでは戦争の最中です。不思議です。
○(瞳人)9条があるから桜を見ていようという政治家だっているのが、この国の現実だと知ることになった。この度の悲劇…守る必要もないという人だっているのだ
○(アダー女)平和な日本で早咲きの満開の桜を見ていると、ついウクライナでの爆撃の惨状が見えてきちゃいますよね。「花と爆撃」は「平和と戦争」の対比。人間はどうして争い傷つけ合わねばならないのでしょう。悲しいですね。
〇(あき子)花の開花を待ちながら、毎日、ウクライナの爆撃と抵抗を見ている現実。
◯(ルカ)花の季節に。毎日胸が塞がれる思いです。
〇(宙虫)投句された時点、選句の時点で見え方が違ってくる。リアルタイムにこの景が迫って来る感覚。
今も元気島の火の見や桜まじ 餡子
◯(アネモネ)「桜まじ」と「火の見」の取り合わせがなかなか。
遍路ゆく彼奴(やつ)の髭づら煩消えて 瞳人
◯(道人)遍路に敢えて俗語を取合せて成功している。彼奴の人生が垣間見える。
〇(めたもん)感情をそぎ落とした表現により、煩悩や遍路について考えさせられます。
○「髭づら煩消えた」状況まで目がいくと言う措辞から詠み手にとり彼奴の存在はかなり強烈。その彼奴が遍路としての旅へ。それなりの物語の展開が短編小説的。
★今月の写真・・・今月は熊本県南部の景色
一枚目・・・・熊本県南部の津奈木町にある「旧赤崎小学校」。海の上に建設された小学校として有名。廃校となった。
旧赤崎小学校(津奈木町) | 動画で見るニッポンみちしる | NHKアーカイブス
二枚目・・・・水俣市の「福田農場」の河津桜
福田農場 | うれしい食の風景を望む。 (fukuda-farm.co.jp)
三枚目・・・・水俣市街地で見かけた火の見櫓
♪それでは、次回告知をお待ちください・・・・・。
広島は最近、やっと春めいて来ました。しかし、連日のウクライナ報道で、大げさな言い方をすれば、私の歴史観が大きく変化しました。やはりSNSの普及の影響は大きいと思います。