小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第410回小麦句会結果発表

2019年08月10日 01時10分23秒 | 1日句会
結果発表です。
 


 

発車ベル鳴るロッカーが開かない炎暑  餡子

 

矢印の先は虹立つ空らしき  敏

○(ルカ)下五がいいですね。

〇(まきえっと)矢印の先にこんな素敵なのがあったらいいなぁ。

○(あちゃこ)前向きで爽やか!

〇(宙虫)空が少し惜しい気もするが、虹の立つ景色がいい。

 

帰省子の乗換えホーム谷深し   道人

○(敏)背に負う重い土産は、そのまま故郷に寄せる帰省子の想いの象徴でもありましょう。

 

梅雨抜けて地下鉄蒼き大空へ  幹夫

 

昇ろうが降りようが老い夾竹桃   宙虫

〇(仙翁)年を取ると上りも下りも辛いですね。

 

両の手に帰省土産のかすていら   アネモネ

○(泉)帰省するにも、お土産が大変です。

○(幹夫)作者のカステラへの思い入れに共感です。

○(ちせい)季語は「帰省」。異国情緒が句を上げているような。

 

白シャツの片側通行二段跳び   藤三彩

○(餡子)えっちらおっちらと駅の階段を上るようになりました。片側を二段抜かしで駆け上がる若者!ああと溜息つきつつ眩しく見送ります。若いっていいなあ。 

○(幹夫)写真の景がよく詠まれていると思いました。

○(アネモネ)現役時代はよくやりました。

 

水無月や老若男女の始発驛   卯平

 

夏の旅土地言葉飛ぶローカル線  多実生

◯(アゼリア)土地訛りを聞くと、遠くやってきたと実感します。

 

鳩尾を汗フランスの水を買う    珠子

○(あちゃこ)フランスが効いています。

◯(道人)汗が香水に化学変化しそうな、取合せの妙。

○(アネモネ)フランスの水いいですねえ。

〇(楊子)ありますねペットボトルのフランスの水。汗だくとフランスの水の違和感がいい。

◎(ちせい)季語は「汗」。「フランスの水」が手柄かと。

〇(宙虫)フランスの水がいい。

 

「冷たい」の並ぶ自販機うなり止まず  楊子

〇 (多実生) 自販機の冷却稼働をうなり出すが面白い。

 

風死すと自販機恋しくなりにけり   ちせい

 

透けてゆく階段足音の晩夏   ルカ

○(仙翁)透けてゆく、何となく面白い。

◎(あちゃこ)感覚的に暑さを上手く表現していると思います。

◯(道人)何と言っても「足音の晩夏」が魅力です。

○(卯平)八月だからこの句は成り立つか。たましひが階段を昇っているのか。

〇(楊子)透けてゆくが秋近い感じがします。コツコツと響く感じがします。

〇(藤三彩)夏の恋の物語のよう

 

故郷の発車メロディ缶ビール   あちゃこ

〇(まきえっと)山手線と京浜東北線もメロディーが違うので、聞き分けて急いだり、歩いたりしています。

〇 (多実生) 発車メロディー聞き、缶ビールで決めました・。

○(餡子)その地方によって、駅によって、メロディがちがいますね。缶ビール片手に飛び乗る。最近は新幹線も車内販売がなくってきて乗る前のアルコール調達は大事です。  

○(アネモネ)また東京へ戻る旅。感慨深いなあ。

◎(珠子)帰省の帰りととりました。帰省のココロは複雑です。電車に乗った瞬間の安堵を表す二物の見事さ。映画のワンシーンのようです。実家は嬉しくもあり現実の直視でもあり。何はともあれ今年も無事に帰省を果たすことができた…プシュッ!日頃実家とは距離を置きがちな次男坊の帰省とみました。(事実はもっとあっけらかんとしたものかもしれませんが。)   

〇(藤三彩)ご当地ゆかりの歌はなんだろう

◯(アゼリア)発車メロディを聞くと、一抹の寂しさを覚えます。

 

 

纏ひ付く蚊を連れて乗るローカル線    アゼリア

〇 (多実生) こんな事も有りそうです。

○(敏)一句を読みながら、かつて乗ったローカル線の車内に蚊柱が立っていたことを思い出しました。蚊って本当にヒトが好きなんですね。

○(仙翁)蚊を連れて、田舎では、よくあります。

○(幹夫)蚊のしつこさを上句「纏いつく」とした感性がよいですね。

〇(楊子)ローカル線は今や鉄道マニアの注目の的。乗客がまばらだから蚊も安心して乗ってきそうだ。

〇(宙虫)いろんなものが乗ってくる田舎。

 

荷を預け旱の街に迷い出る  仙翁

〇(まきえっと)「旱の街」がいいですね。

〇 (多実生) 荷を預けは賢い選択です。

○(餡子)まずはロッカーに旅荷を入れて、さあ名所めぐり・・・。でもこの暑さ・・・。すぐに喫茶店探しですかね。  

○(あちゃこ)見知らぬ土地での暑さは恐怖です。

○(泉)いかにも酷暑という感じです。

◯(道人)今年の夏も日本の拠点駅でよく見かける実景。異国人か若い旅人か。

〇(珠子)旅の途中にちょっと思いついた寄り道ともとれます。途中下車して炎暑の中を美術館に出向いたら、臨時休館だったという残念な話を聞いたばかり…。

○(ちせい)季語は「旱」。「迷い出る」がユーモラスですね。

〇(宙虫)旱が効いている。初めての街のような。

 

七時五分夏野を消えてゆく電車    宙虫

○(ルカ)はっきりした時間が効果的。

○(敏)真っ盛りの通勤電車の情景が見えてきました。「七時五分」が絶妙です。

◎(泉)意味不明、ミステリアスな俳句だと思います。

◯(道人)意味は求めずに「7時5分」のローカル線の夏に共鳴。

〇(珠子)息子か娘が朝の電車で帰っていくのでしょうか。時間をきっかり告げていることの切なさ。    

 

ロッカーに旅の思い出雲の峰    まきえっと

◯(アゼリア)雲の峰の季語が効いています。

○(ちせい)季語は「雲の峰」。あの分厚い雲と旅の思い出が共鳴し。

 

ロッカーに預け出勤祭衣装    アゼリア

○(卯平)祭衣装をロッカーに預けて出勤とは実際にあることだろう。ウキウキとして出勤する作者の気持ちに共感する。

◎(アネモネ)あるある。いい発想です。

◎(宙虫)ロッカーの利用法のひとつ。

 

在来線のドアの吐き出す夏帽子  楊子

○(仙翁)一斉に夏帽子の群れ、ありそうです。

○(卯平)在来線と吐き出すは少々ミスマッチか。ただ夏帽子にその動きを見ているのは発見か。

 

帰省子の背中に重き土産かな   泉

 

夏帽子飛んで異郷へ発車ベル    幹夫

○(ルカ)瞬間をうまく詠んでいます。

○(敏)これから出掛ける旅への期待の現れ、わくわく感が「発車ベル」に触発されているようです。

○(仙翁)帽子が飛んで行く、旅の空に、ありそうですね。

○(あちゃこ)異郷へのワクワク感。

 

爆走し定時に間に合ふ極暑かな    ちせい

○(泉)爆走は危険ですね。

◯(アゼリア)暑いのにご苦労様です。

 

悠々とうごく峰雲肥薩線    道人

〇(藤三彩)それが地震の影響で電車が止まっているんだね、復興を祈ります

◯(アゼリア)半世紀も前、蟹族の一人となって肥薩線に乗った事思い出しました。九州の旅は楽しかったです。

 

水前寺まで羅と乗り合わす  敏

○(ルカ)地名の勝利。

〇(まきえっと)羅と乗合すなんて朝の通勤電車からは考えられないです。

○(餡子)水前寺と言えば、水前寺清子・・いいえ、水前寺公園ですね。羅がいかにも熊本らしく粋です。 

〇(楊子)水前寺という文字も夏らしい。お隣の席の方の白いブラウス、いいかんじですね。

〇(珠子)お茶会でしょうか。暑い日にきりりと和服を着こなしている方に時々お会いします。お茶はまさに「道」です。行ったことは無いですが「水前寺」という地名が効いていると思います。  

◎(藤三彩)どんな女性とご一緒したのだろう 水前寺清子?

◎(アゼリア)水前寺という地名も羅も涼しそうで、妙齢の美人を想像したりして楽しませていただきました。

○(ちせい)季語は「羅」。換喩の味わいがあると思いました。

 

東京の街のがらんと盆の入   アネモネ

○(泉)想像も出来ない光景ですね。

○(幹夫)大都会お盆の帰省の様子がよく詠まれていると思いました。

○(卯平)余りにもテレビ的俳句ではあるが、この時期の兼題の写真からの発想としては許されるか。。

〇(宙虫)ほんとにこういう景色だった。東京の盆。

 

(選外)(道人)近未来は盆正月だけでなく、在宅勤務で東京は「がらんどう」が普通かも。

 

背を丸め上る階段汗の跡    仙翁  

〇 (多実生) 猛暑の階段はきついですね。背を丸めに実感が見えます

 

発車ベル鳴り終えぬ間に梅雨明ける   まきえっと

〇(藤三彩)長い梅雨前線の停滞が明け突然に猛暑が来る

 

太陽へ踏み出す蟻の一呼吸   あちゃこ

○(敏)連なっている人々を「蟻」に見立てたのでしょうか。これから向かう太陽(職場?)に、息を整えている人々の決意がうかがえるようです。

◎(仙翁)太陽とアリ、面白い。

◯(道人)働き蜂の気合の一瞬を捉えて巧い。蟻に自己投影も見て取れる。

◎(幹夫)企業戦士を擬人化。電車通勤の働き蟻の所作が下句の「一呼吸」により佳く詠まれていると思いました。

〇(珠子)この暑さですから、蟻ですら躊躇する炎天への第一歩。発想が自由で面白い。   

 

駆けあがり反対車線に乗る大暑   餡子

○(ルカ)実感あり。

〇(まきえっと)大書が乗るというのがいいですね。

○乗り過ごしたのか。大暑でなくても汗をかく

○(アネモネ)先日同じ失敗をしました。

○(ちせい)季語は「大暑」。間に合ってよかったと言う気持ちが含意されて居るかと。

 

線路灼けスマホ中毒落ちにけり   泉

 

自販機の売り切れ御免夏暁かな   卯平

○(餡子)よくあります。押しても出て来ないのでよく見ると「売切れ」の赤字。 

 

駅蕎麦を掻き込む途端梅雨明ける  藤三彩

◎ (多実生) 便利で手軽な駅蕎麦掻き込んで、さあ行動。

 

列島は丸ごと西日電車待つ  珠子

◎(ルカ)災害級酷暑の今夏。列島ごととは、ナイスな表現。

◎(まきえっと)少し時差はありますが、丸ごと西日がいいですね。

○(泉)日本は正に酷暑列島です。

○(アネモネ)丸ごと西日がいかにもです。

〇(楊子)日本は長い列島という事実をあらためて認識しました。暑さがよく伝わります。

 

体力を暑の階段で試される  多実生   

 

母のいる零番ホーム夏の果    ルカ

◎(餡子)零番は、黄泉の国へのホームでしょうか?   

○(あちゃこ)ミステリアスな一句。

◎(道人)現実にはない「零番ホーム」が佳いですね。原郷への深い思い。

○(幹夫)様々な状景が思い浮かびました。

◎(敏)「零(霊)番ホーム」には、やがて墓所行きの列車がやってくることでしょう。抽象的に送り盆の景を捉えた句として味わいました。

◎(卯平)母もの俳句であり少々迷ったが物語性が明確である。零番ホームは今では見れない路線が殆ど。だからそこに託す作者の心情に共感する。季語の位置は「夏の果」か。それとも「晩夏光」はどうであろうか。    

◎(楊子)零番ホームは地方へ向かう列車のホームでした。亡母かもしれない。ふるさとへの郷愁を感じます。

〇(珠子)焦点化された場面設定にイメージがくっきり。いくつになっても母は母です。

〇(藤三彩)亡母の姿を目に焼き付けているのでしょう。零番ホームが利いている

 

★★

お待たせしました。

暑い日が続きますね。

来週は台風も来そう。

何事もないことを祈ります。

では、次の句会までしばし・・・・。

 

★★★

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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2019-08-10 20:15:49
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島は、ますます暑くなって来ました。台風もやって来る様で、荒れた来週になりそうです。やはり広島カープが上がって来ました。巨人は相変わらず強いものの、横浜との三つ巴で面白くなりました。しかし、勝負事は分かりませんね。
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