発車ベル鳴るロッカーが開かない炎暑 餡子
矢印の先は虹立つ空らしき 敏
○(ルカ)下五がいいですね。
〇(まきえっと)矢印の先にこんな素敵なのがあったらいいなぁ。
○(あちゃこ)前向きで爽やか!
〇(宙虫)空が少し惜しい気もするが、虹の立つ景色がいい。
帰省子の乗換えホーム谷深し 道人
○(敏)背に負う重い土産は、そのまま故郷に寄せる帰省子の想いの象徴でもありましょう。
梅雨抜けて地下鉄蒼き大空へ 幹夫
昇ろうが降りようが老い夾竹桃 宙虫
〇(仙翁)年を取ると上りも下りも辛いですね。
両の手に帰省土産のかすていら アネモネ
○(泉)帰省するにも、お土産が大変です。
○(幹夫)作者のカステラへの思い入れに共感です。
○(ちせい)季語は「帰省」。異国情緒が句を上げているような。
白シャツの片側通行二段跳び 藤三彩
○(餡子)えっちらおっちらと駅の階段を上るようになりました。片側を二段抜かしで駆け上がる若者!ああと溜息つきつつ眩しく見送ります。若いっていいなあ。
○(幹夫)写真の景がよく詠まれていると思いました。
○(アネモネ)現役時代はよくやりました。
水無月や老若男女の始発驛 卯平
夏の旅土地言葉飛ぶローカル線 多実生
◯(アゼリア)土地訛りを聞くと、遠くやってきたと実感します。
鳩尾を汗フランスの水を買う 珠子
○(あちゃこ)フランスが効いています。
◯(道人)汗が香水に化学変化しそうな、取合せの妙。
○(アネモネ)フランスの水いいですねえ。
〇(楊子)ありますねペットボトルのフランスの水。汗だくとフランスの水の違和感がいい。
◎(ちせい)季語は「汗」。「フランスの水」が手柄かと。
〇(宙虫)フランスの水がいい。
「冷たい」の並ぶ自販機うなり止まず 楊子
〇 (多実生) 自販機の冷却稼働をうなり出すが面白い。
風死すと自販機恋しくなりにけり ちせい
透けてゆく階段足音の晩夏 ルカ
○(仙翁)透けてゆく、何となく面白い。
◎(あちゃこ)感覚的に暑さを上手く表現していると思います。
◯(道人)何と言っても「足音の晩夏」が魅力です。
○(卯平)八月だからこの句は成り立つか。たましひが階段を昇っているのか。
〇(楊子)透けてゆくが秋近い感じがします。コツコツと響く感じがします。
〇(藤三彩)夏の恋の物語のよう
故郷の発車メロディ缶ビール あちゃこ
〇(まきえっと)山手線と京浜東北線もメロディーが違うので、聞き分けて急いだり、歩いたりしています。
〇 (多実生) 発車メロディー聞き、缶ビールで決めました・。
○(餡子)その地方によって、駅によって、メロディがちがいますね。缶ビール片手に飛び乗る。最近は新幹線も車内販売がなくってきて乗る前のアルコール調達は大事です。
○(アネモネ)また東京へ戻る旅。感慨深いなあ。
◎(珠子)帰省の帰りととりました。帰省のココロは複雑です。電車に乗った瞬間の安堵を表す二物の見事さ。映画のワンシーンのようです。実家は嬉しくもあり現実の直視でもあり。何はともあれ今年も無事に帰省を果たすことができた…プシュッ!日頃実家とは距離を置きがちな次男坊の帰省とみました。(事実はもっとあっけらかんとしたものかもしれませんが。)
〇(藤三彩)ご当地ゆかりの歌はなんだろう
◯(アゼリア)発車メロディを聞くと、一抹の寂しさを覚えます。
纏ひ付く蚊を連れて乗るローカル線 アゼリア
〇 (多実生) こんな事も有りそうです。
○(敏)一句を読みながら、かつて乗ったローカル線の車内に蚊柱が立っていたことを思い出しました。蚊って本当にヒトが好きなんですね。
○(仙翁)蚊を連れて、田舎では、よくあります。
○(幹夫)蚊のしつこさを上句「纏いつく」とした感性がよいですね。
〇(楊子)ローカル線は今や鉄道マニアの注目の的。乗客がまばらだから蚊も安心して乗ってきそうだ。
〇(宙虫)いろんなものが乗ってくる田舎。
荷を預け旱の街に迷い出る 仙翁
〇(まきえっと)「旱の街」がいいですね。
〇 (多実生) 荷を預けは賢い選択です。
○(餡子)まずはロッカーに旅荷を入れて、さあ名所めぐり・・・。でもこの暑さ・・・。すぐに喫茶店探しですかね。
○(あちゃこ)見知らぬ土地での暑さは恐怖です。
○(泉)いかにも酷暑という感じです。
◯(道人)今年の夏も日本の拠点駅でよく見かける実景。異国人か若い旅人か。
〇(珠子)旅の途中にちょっと思いついた寄り道ともとれます。途中下車して炎暑の中を美術館に出向いたら、臨時休館だったという残念な話を聞いたばかり…。
○(ちせい)季語は「旱」。「迷い出る」がユーモラスですね。
〇(宙虫)旱が効いている。初めての街のような。
七時五分夏野を消えてゆく電車 宙虫
○(ルカ)はっきりした時間が効果的。
○(敏)真っ盛りの通勤電車の情景が見えてきました。「七時五分」が絶妙です。
◎(泉)意味不明、ミステリアスな俳句だと思います。
◯(道人)意味は求めずに「7時5分」のローカル線の夏に共鳴。
〇(珠子)息子か娘が朝の電車で帰っていくのでしょうか。時間をきっかり告げていることの切なさ。
ロッカーに旅の思い出雲の峰 まきえっと
◯(アゼリア)雲の峰の季語が効いています。
○(ちせい)季語は「雲の峰」。あの分厚い雲と旅の思い出が共鳴し。
ロッカーに預け出勤祭衣装 アゼリア
○(卯平)祭衣装をロッカーに預けて出勤とは実際にあることだろう。ウキウキとして出勤する作者の気持ちに共感する。
◎(アネモネ)あるある。いい発想です。
◎(宙虫)ロッカーの利用法のひとつ。
在来線のドアの吐き出す夏帽子 楊子
○(仙翁)一斉に夏帽子の群れ、ありそうです。
○(卯平)在来線と吐き出すは少々ミスマッチか。ただ夏帽子にその動きを見ているのは発見か。
帰省子の背中に重き土産かな 泉
夏帽子飛んで異郷へ発車ベル 幹夫
○(ルカ)瞬間をうまく詠んでいます。
○(敏)これから出掛ける旅への期待の現れ、わくわく感が「発車ベル」に触発されているようです。
○(仙翁)帽子が飛んで行く、旅の空に、ありそうですね。
○(あちゃこ)異郷へのワクワク感。
爆走し定時に間に合ふ極暑かな ちせい
○(泉)爆走は危険ですね。
◯(アゼリア)暑いのにご苦労様です。
悠々とうごく峰雲肥薩線 道人
〇(藤三彩)それが地震の影響で電車が止まっているんだね、復興を祈ります
◯(アゼリア)半世紀も前、蟹族の一人となって肥薩線に乗った事思い出しました。九州の旅は楽しかったです。
水前寺まで羅と乗り合わす 敏
○(ルカ)地名の勝利。
〇(まきえっと)羅と乗合すなんて朝の通勤電車からは考えられないです。
○(餡子)水前寺と言えば、水前寺清子・・いいえ、水前寺公園ですね。羅がいかにも熊本らしく粋です。
〇(楊子)水前寺という文字も夏らしい。お隣の席の方の白いブラウス、いいかんじですね。
〇(珠子)お茶会でしょうか。暑い日にきりりと和服を着こなしている方に時々お会いします。お茶はまさに「道」です。行ったことは無いですが「水前寺」という地名が効いていると思います。
◎(藤三彩)どんな女性とご一緒したのだろう 水前寺清子?
◎(アゼリア)水前寺という地名も羅も涼しそうで、妙齢の美人を想像したりして楽しませていただきました。
○(ちせい)季語は「羅」。換喩の味わいがあると思いました。
東京の街のがらんと盆の入 アネモネ
○(泉)想像も出来ない光景ですね。
○(幹夫)大都会お盆の帰省の様子がよく詠まれていると思いました。
○(卯平)余りにもテレビ的俳句ではあるが、この時期の兼題の写真からの発想としては許されるか。。
〇(宙虫)ほんとにこういう景色だった。東京の盆。
(選外)(道人)近未来は盆正月だけでなく、在宅勤務で東京は「がらんどう」が普通かも。
背を丸め上る階段汗の跡 仙翁
〇 (多実生) 猛暑の階段はきついですね。背を丸めに実感が見えます
発車ベル鳴り終えぬ間に梅雨明ける まきえっと
〇(藤三彩)長い梅雨前線の停滞が明け突然に猛暑が来る
太陽へ踏み出す蟻の一呼吸 あちゃこ
○(敏)連なっている人々を「蟻」に見立てたのでしょうか。これから向かう太陽(職場?)に、息を整えている人々の決意がうかがえるようです。
◎(仙翁)太陽とアリ、面白い。
◯(道人)働き蜂の気合の一瞬を捉えて巧い。蟻に自己投影も見て取れる。
◎(幹夫)企業戦士を擬人化。電車通勤の働き蟻の所作が下句の「一呼吸」により佳く詠まれていると思いました。
〇(珠子)この暑さですから、蟻ですら躊躇する炎天への第一歩。発想が自由で面白い。
駆けあがり反対車線に乗る大暑 餡子
○(ルカ)実感あり。
〇(まきえっと)大書が乗るというのがいいですね。
○乗り過ごしたのか。大暑でなくても汗をかく
○(アネモネ)先日同じ失敗をしました。
○(ちせい)季語は「大暑」。間に合ってよかったと言う気持ちが含意されて居るかと。
線路灼けスマホ中毒落ちにけり 泉
自販機の売り切れ御免夏暁かな 卯平
○(餡子)よくあります。押しても出て来ないのでよく見ると「売切れ」の赤字。
駅蕎麦を掻き込む途端梅雨明ける 藤三彩
◎ (多実生) 便利で手軽な駅蕎麦掻き込んで、さあ行動。
列島は丸ごと西日電車待つ 珠子
◎(ルカ)災害級酷暑の今夏。列島ごととは、ナイスな表現。
◎(まきえっと)少し時差はありますが、丸ごと西日がいいですね。
○(泉)日本は正に酷暑列島です。
○(アネモネ)丸ごと西日がいかにもです。
〇(楊子)日本は長い列島という事実をあらためて認識しました。暑さがよく伝わります。
体力を暑の階段で試される 多実生
母のいる零番ホーム夏の果 ルカ
◎(餡子)零番は、黄泉の国へのホームでしょうか?
○(あちゃこ)ミステリアスな一句。
◎(道人)現実にはない「零番ホーム」が佳いですね。原郷への深い思い。
○(幹夫)様々な状景が思い浮かびました。
◎(敏)「零(霊)番ホーム」には、やがて墓所行きの列車がやってくることでしょう。抽象的に送り盆の景を捉えた句として味わいました。
◎(卯平)母もの俳句であり少々迷ったが物語性が明確である。零番ホームは今では見れない路線が殆ど。だからそこに託す作者の心情に共感する。季語の位置は「夏の果」か。それとも「晩夏光」はどうであろうか。
◎(楊子)零番ホームは地方へ向かう列車のホームでした。亡母かもしれない。ふるさとへの郷愁を感じます。
〇(珠子)焦点化された場面設定にイメージがくっきり。いくつになっても母は母です。
〇(藤三彩)亡母の姿を目に焼き付けているのでしょう。零番ホームが利いている
★★
お待たせしました。
暑い日が続きますね。
来週は台風も来そう。
何事もないことを祈ります。
では、次の句会までしばし・・・・。
★★★
麦の会のブログが移転しました。
広島は、ますます暑くなって来ました。台風もやって来る様で、荒れた来週になりそうです。やはり広島カープが上がって来ました。巨人は相変わらず強いものの、横浜との三つ巴で面白くなりました。しかし、勝負事は分かりませんね。