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『池魚(ちぎょ)の災(わざわ)い』=殃い・災(さい)・憂(うれ)い]
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思い掛けない災難に巻き込まれること。巻き添えになること。特に、火事で類焼に遭うこと。また、火事のこと。類:●巻き添えを食う●側杖を食う
故事:「呂氏春秋-孝行覧・必己」 春秋時代、宋の桓タイ[鬼+隹]が出奔(しゅっぽん)するとき、宝珠を池に投げ入れた。これを得ようと池を浚(さら)ったが珠は見付からず、魚がその災いを蒙(こうむ)って全て死んでしまった。★一説には、城門が焼けたとき、池の水を使ったために池の魚が死んだとし、その意味で引用されることが多い。
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出典:呂氏春秋(りょししゅんじゅう) 中国の雑家書。26巻。秦の呂不韋(りょふい)が賓客を集めて編録させたものと伝える。先秦諸家の思想を集大成したもので、四季の循環と万物の変化、人事の治乱・興亡・吉凶などの関係を説いた十二紀と、儒・道・法家などの思想を集めた八覧六論からなる。「呂覧(りょらん)」とも。
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<松下幸之助一日一話> PHP研究所編
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体力と気力と経験
人間の体力というものは、三十歳前後が頂上であろう。一方、気力ということになると、私の常識的な体験から言えば、四十歳ぐらいが最高になり、これを過ぎると、次第に衰えてくるのではなかろうか。もちろん気力は落ちても、立派に仕事はできる。というのは、それまでのその人の経験というものが、その気力の衰えを支えるからである。それと、もう一つは先輩として尊ばれ、後輩たちの後押しによって、少々困難なことでも立派に遂行できるようになる。こうした力が加わるからこそ、歳をとって気力、体力ともに若い人たちにとてもかなわないようになっても、支障なく仕事が進められるのではなかろうか。