
『朝三暮四(ちょうさんぼし)』

1.表面的な違いにだけとらわれて、結局は同じであることに気付かないこと。2.詐術(さじゅつ)を以って人を騙(だま)し、愚弄(ぐろう)すること。3.転じて、命を繋(つな)ぐだけの生計・暮らし。 用例:太平記-三八「朝三暮四の資(たすけ)に心有る人もがなと」

類:●狙公橡(とち)を賦(くば)る

故事:「荘子-内篇・斉物論」「列子-黄帝」など 狙公(そこう=猿回し)が手飼いの猿に嶌(とち)の実を与えるのに、朝三つ暮れに四つとしたところ、少ないと猿が怒ったので、朝四つ暮れに三つとしたら喜んだ。
用例の出典:太平記(たいへいき) 軍記物語。40巻。小島法師作と伝えるが不明。応安年間(1368-1375)の成立か。正中の変・元弘の変、建武中興とその挫折、新田義貞と足利尊氏との確執から南北両朝の対立、室町幕府内の軋轢(あつれき)など、文保2年(1318)から正平22年(1367)までの動乱期の様態を和漢混交文で記述する。

<松下幸之助一日一話> PHP研究所編

経営は総合芸術
経営者の仕事は、画家などの芸術家の創造活動と軌を一にするものだと考える。一つの事業の構想を考え、計画を立てる。それに基づいて資金を求め、工場その他の施設をつくり、人を得、製品を開発し、それを生産し、人びとの用に立てる。その過程というものは、画家が絵を描くごとく、これすべて創造の連続だと言えよう。なるほど、形だけみれば単に物をつくっていると見えるかもしれないが、その過程にはいたるところに経営者の精神が生き生きと躍動しているのである。その意味において、経営はきわめて価値の高い、いわば総合芸術ともいうべきものだと思います。