読書感想日記

最近読んだ本の感想

「悪鬼のウィルス」二宮 敦人 著 文芸社文庫

2024-08-19 20:41:49 | 小説
 この世とあの世との狭間に、息を殺してひっそりと存在する集落。
 その集落に関わる者は、心が壊れてしまうのか…
 あるいは、本人すら気づかなかった本性が現れるのか…
 幾つか、首をかしげてしまう部分があるものの、人間の醜さや浅はかさが露呈する一方で、恐れに屈しない懸命さは切なく、どうにもやるせない思いが胸に満ち溢れる。
 人の心が巧みに描かれ、とても考えさせられる作品でした。
 
 
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「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎 著 新潮文庫

2024-08-17 21:06:33 | 小説
 見た目は小さな文庫本ですが、読み始めた瞬間に、どんな映画館でも敵わない世界が広がっている。
 人間は、まことしやかな「噂」や「情報」を、いともたやすく受け入れてしまう。
 しかし、大切なものを「信じる」心も失ってはいない。
 当事者ではないからこそ面白く、そして当事者ではないのに最後は涙をこぼしそうになってしまった。
 本って、とても素晴らしい。名作です。
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「汝、星のごとく」凪良 ゆう著 講談社

2024-08-12 19:16:16 | 小説
 生き方って、人の数だけあるのでしょう。
 でも、今の社会は、様々な理由から自分の生き方を自分で選択するのが難しい。
 だから、選ばれなかった生き方もあり、それと同じくらい後悔という思いを抱いて生きている人も多いのでしょう。
 胸を打つ、とても素晴らしい作品でした。
 できることなら、50年くらい前に、出会いたかった。
 でも、当時の少年には、わからなかったかな…
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「アンと愛情」坂木 司 著 光文社文庫

2024-08-11 21:44:04 | 小説
 向上心旺盛なアンさん。頑張れ、と応援して読んでいると、逆に日本文化の深さを教えていただき、更にはわたしが励まされている。
 素敵な仲間、友人に囲まれているのも、人徳なのでしょう。
 その人々との関係は、いつまでも続いてほしいけれど…
 
 
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「日本製鉄の転生」上阪 欣史 著 日経BP

2024-08-11 21:27:05 | 小説
 「鉄は国家なり」
 決して譲れないこと、負けてはならないことがある。
 今一度、made in Japan の素晴らしさを思いだし、誇りに思い、胸を張ろうではありませんか。
 
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「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス著 早川書房

2024-07-21 20:08:19 | 小説
 この作品との出会いは、人生を見つめなおす機会となるでしょう。
 人間のさまざまな本性をさらけ出しつつ、知識や権威が崇拝される現代社会で人間として生きることの難しさ、そして意味を問いかける。
 そして切ない終盤に、つい「待って、まだ駄目だよ…」と、思わず言葉を口にしてしまった。
 人として、決して失ってはいけないもの…最後の一言に胸を締め付けられる。
 小野芙佐さんの見事な翻訳に感謝します。
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「森のくまさん」堀内公太郎 著 宝島社

2024-05-06 21:21:37 | 小説
 表紙を見て手に取る。
 プロローグで引き込まれ、あとは一気読み。
 面白いほどさまざまなタイプの人物が登場するが、くまさんの気持ちがわからなくもない私は、あちらの人間なのだろうか…
 最後の最後まで、人間のエゴを堪能させていただきました。
  




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「栄光のバックホーム」中井由梨子 著 幻冬舎

2024-02-24 19:03:31 | 小説
 親からすれば、あまりにも理不尽…
 私も子を持つ者として、語り部である母親の言葉に、葛藤に、そして子への想いに幾度も自分の心を重ね合わせつつ、読ませていただきました。
 無駄に年ばかり重ねている私に、主人公の彼からは「あなたは、しっかり生きているか」と問われ、生きたかった彼に恥ずかしくないよう、目標を持ちしっかりと生きていきたいと思います。
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「悪い夏」染井為人 著 角川文庫

2024-02-04 20:59:40 | 小説
 できることなら、関わりたくない人たち…
 そんな人たちと関わらざるを得ない人たち。
 どこまでも自己中心的な人たちの生きざまは、胸糞悪くて仕方がないのに、怖いもの見たさのような魔力に取りつかれてページをめくってしまう、不思議な作品でした。
 でも、やっぱり現実には関わりたくない。 
 
 
 
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「ラブカは静かに弓を持つ」安檀美緒 著 集英社

2023-12-24 19:55:18 | 小説
 表紙のイメージから思い浮かぶのは、音楽の深さ、そして広さ。
 ところが業界の矛盾や派閥といった問題が突き付けられ、浅く狭い話題に陥るかと思いきや、さにあらん、と言わんばかりの展開が広がり、そこに楽器、そして音楽の持つ深く広い物語が綴られる。とても素敵な作品でした。
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