読書感想日記

最近読んだ本の感想

『偽りの明治維新 会津戊辰戦争の真実』 星 亮一 著 大和書房

2008-07-29 00:14:24 | 歴史物
 義理の母から教えてもらった本です。
 義理に生きる会津藩は、そして松平容保は、家訓に忠実な行き方を選んだだけなのに、不運としか言いようのない出来事が重なった上に、ごく一部の者の陰謀で不義の者とされてしまい、幕府の身代わりとされ、戦に巻き込まれてしまう。
相手は、官軍とは名ばかりの、卑しい者が集まった賊軍である。
だが、数と力に物を言わせる官軍に、会津藩は踏みにじられてしまう上に、賊軍の汚名を着せられたまま、時代は過ぎて現代へ。
 人間は、義理に生きるべきか、それとも時代に合わせて生きるべきか…
 私だったら、自分や家族の命をかけてまで、義理に生きられないだろう。
 それだけに、会津の人々の生き方がまぶしく感じられる。
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『震度0』 横山 秀夫 著

2008-07-28 23:26:41 | 推理物
「目標」「希望」「欲望」とは、何が違うのだろうか。
「目標」や「希望」に向かって「努力」することは尊く感じるが、「欲望」を満たすために「権謀術」を駆使することは卑しく感じるためだろうか。一流といわれる会社に入社したい、職人のようなプロになりたい、人よりも出世して地位や名誉を得たい、多くの給料をもらって裕福な生活をしたい、素敵な人と出会いたい、その人と結婚して祝福されたい、暖かい家庭を築きたい、子どもに優れた教育の機会を与えたい…考えればきりがないが、これらの中にも、「目標」や「希望」と感じるものがあれば、「欲望」と感じるものもある。
さて、ある組織を舞台にして描かれる人々は、皆自分に正直で、その能力である「努力」や「権謀術」を最大に発揮した結果、互いに不審を抱き、見えるべき物まで見えなくなってしまう。
そんな中で、忘れかけていた「義務」「責任感」を取り戻し、「希望」への光が差してくるが、そこに照らし出された光景は、組織を静かに崩してしまう…
 時々、呼吸を忘れてしまっているほど、引き込まれてしまいました。
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『失踪症候群』 貫井 徳郎 著 双葉文庫

2008-07-26 15:32:30 | 推理物
 今の生活を抜け出して、自分のことを誰も知らないところへ行きたい、という願望が旅への憧れであれば、今の生活を捨ててしまうとい決意の現れが失踪なのでしょうか。
 しかし、人間は、どうしても周りの人々と無縁では生きられないようです。  
 この物語に現れる人々は、全てを捨てて一人で生きていこうとするのに、結局、自分以外の人間の生き方に影響されてしまうなんて。
 個性的な人々にまつわる話のテンポがよく、面白かった。
 奥さんからのお薦め本でしたが、あと2冊の続編があるとのことで、これからも楽しみです。
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『氷川清話』 勝海舟 著 江藤淳 松浦玲 著 講談社学術文庫

2008-07-26 15:26:44 | 歴史物
 言うまでもなく、勝海舟の語録です。
 話しのスケールが大きいので、物事を考えるにあたって「参考になる」という次元を越えていました。書かれてある考え方のすべてに賛成できるか、と問われれば、必ずしも、はいとは答えられませんが、「自分を大きくしてくれる」言葉を見つけるごとに、自分が、いつまでも悩んだり、くよくよしていることは、案外小さな問題なんだなと思えるようになり、精神的な力を与えてくれる本でした。
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『子どもの王様』 殊能 将之 著 講談社

2008-07-26 15:18:58 | 推理物
 奥さんからのお薦めでした。
 私には遠い過去のこととなってしまいましたが、子どもころの私の考え方は、単純に物事を区別していたように思います。自分にとって「敵(悪)」か「味方(善)」か。そう、自分の考えに合わなければ、本当はそちらが正論であったとしても、それは敵であり、悪なのです。 残念なことに、その傾向は、未だに治りませんが…
 さて、主人公は、その体を張って、男子みんなの憧れである正義のヒーローになって「敵」から「仲間」を助けようとしますが、仲間を脅かしている相手は、果たして「敵」であり「悪」なのでしょうか。
子ども向けの話しとされていますが、奥の深い内容でした。
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