読書感想日記

最近読んだ本の感想

「隠居すごろく」西條 奈加 著 角川書店

2020-04-10 11:58:45 | 歴史物
 生きることに一生懸命な人々が織りなす人情もの。
 人生は、ほんの些細なきっかけで空回りをはじめてしまうことが多い。
 しかし人には、それぞれ何かしらの特技や才能が授けられ、それを支えに踏ん張っていれば、手を差し伸べようとしてくれる人が現れ、その輪が広がっていくこともある。
 自分に与えられた仕事に精一杯取り組む人々への応援メッセージのような、胸がほっこりと温まる、とても素敵な作品でした。

 某地方紙は、コロナ対策でも、対策が遅いだの、今まさに対策を講じているさなかに責任追及へ言及する等の政権批判を繰り返している。
 そして未だに「異例の…」「不安な声…」と不安を煽る記事ばかりか、果ては若者が情報を知らないことについて、情報源が新聞やニュースではなくネットばかりだから…という批判を掲載するありさま。
 地方紙ならではの、希望を見出せるような記事を掲載できないものだろうか。
 新聞等から人々が離れる原因は、自分たちの情報発信の偏りや努力不足が招いた結果であろうに…
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「戦の国」冲方 丁 著 講談社

2020-01-11 22:32:38 | 歴史物
短編集ですが、登場する人物は、さすがの私でも知っているほどの人々でした。
しかし私の不勉強が恥ずかしくなるほど、新たな人物像、そして歴史観を抱かせていただきました。
とても読み応えのある作品です。

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「宇喜多の楽土」 木下昌輝 著 文藝春秋

2018-09-13 00:28:02 | 歴史物
 生き残るため、長いものに巻かれるべきか、あるいは負け戦を承知の上で筋を通すべきか…
 弱小の組織であるほど、部下や家族の人生を考えると、リーダーはどんな選択をすべきか、という重責に常に押し潰されそうになる。
 しかし、リーダーは、そんな心の迷いを部下に悟られないように精一杯強がっているものである。
 負け戦が死を意味する時代には、正確な情報の入手に気を遣い、いかにして時代の流れを読めるか、が生き残れる道なのだ。
 しかし、どんな境遇に陥ろうとも、主人公たちが筋を通そうとする姿には、歯がゆいぐらいの男気を感じ、胸が熱くなりました。
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「狗賓童子の島」 飯嶋 和一 著 小学館

2016-04-23 15:55:03 | 歴史物
 飯嶋さんの持つ「小説の読み応え」を、あらためて感じさせていただきました。

 一行目から目の前に広がる世界で描かれるのは「義」。
 不条理な世の中で、弱い立場に置かれた人々のために、本当に全てを捧げる人…その恩を忘れまい、と語り継ぎ、必死に報いようとする人々…
 人間の醜さ、優しさ、そして垣間見える希望…が、巧みに描かれる。

 幾度となく、胸が、目頭が熱くなる。

 私の人生など、社会で見れば何でもないものだからこそ、登場する人々を見習って、残された時間だけでも、何かお役に立つように生きていきたい…と思いました。
 
  

 

 

  
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「悟浄出立」 万城目 学 著 新潮社 

2015-07-13 22:41:00 | 歴史物

 「生き方」について考えさせられる短編が幾つも納められています。
 それぞれが有名な話しで、内容を知っているつもりでしたが、実は、きちんと読んだことがなかった…と、恥ずかしく、是非とも、原典を読んでみたいと思いました。
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「とっぴんぱらりの風太郎」 万城目 学 著 文藝春秋

2015-05-29 10:19:01 | 歴史物
風太郎と憎めないキャラで気の置けない登場人物たち。

風太郎よ、あなたは格好良すぎるよ…

いつの間にか、私もあなたに惚れてしまっていたようで、その姿に、その心意気に、涙が

流れそうになってしまいました…
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櫛引守道 木内昇 著 集英社

2014-08-05 16:34:09 | 歴史物
文字を読んでいるはずなのに、私の目の前には、喉かな田舎の宿場町が広がり、人々が生き生きと生活していました。
そして、登場人間の心の微妙な動きが巧みに綴られています。
ただ、時代の大きな変化を背景として、物語の伏線となりそうな人物が幾人も登場するのだから、もう少し話しを膨らませることができたのでは…
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戦士の遺書 半藤一利 著 文藝春秋

2014-04-10 23:50:48 | 歴史物
幹部が幹部足るべき条件、それは只一つ。自ら率いる組織における責任をとること。
軍人の道、ましてや上級幹部となった以上は、いざ戦となれば、多くの部下を率いて作戦の成功を期すべく、全身全霊をかけて戦わなくてはならない。
ここに登場する幹部は、ごく一部の者を除き、人格、能力ともに優れた人々であり、必ずしも開戦論者ではない人もいた。しかし、いざ開戦した以上は、皆敗戦濃厚となり、生還の見込みのない第一線にて最後まで部下を指揮し、鼓舞し、そして結末の責任について、一身に背負って散っていったのだ。

一方で、STAP細胞の問題は、日本の組織やマスコミが、開戦から敗戦までの流れにそっくり、いや未だにその当時のままであることに愕然とさせられた。
華々しい初陣の勝利、マスコミかこぞって持ち上げ、いざ敗戦が見えてくるとその犯人探しを始め、戦果を誇っていた組織は慌て、お偉い先生方は責任逃れに必死となり、一部の者へ責任を転嫁する…
こんなことを繰り返す国に、若者はやる気も魅力も見出だせず、能力のあるものは海外へ出ていくのは必然であろう。
問題の本質は、手続きの不備ではなく、その細胞が作成できるのかどうか、ということではないのか?
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「銀二貫」 高田 郁 著 幻冬舎

2013-08-31 15:08:14 | 歴史物
 使途の決まった大金、何に投資するか…
 もちろん、その大金は、苦労に苦労を重ねて、ようやく蓄えたものである。
 となれば、その大金は、当然に、目的のために使われるべきであろう。 
 しかし、ここに登場する男たちは、次々と直面する問題に対して「これこそ、この大金の本当の使い方なんだ」と、いとも簡単に使ってしまう。
 これが、賭けのように思える反面、胸が熱くなるほど、とても格好いい。
 恩義や礼節等を一番に考え、一つの道に自分の人生をかける人々の生き方…
 そんなプロの人々が、天神さんの導きによって、力強く結びついていく…
 熱い思いを胸に抱いて、1つの道に精進する人…なんと美しく頼もしいのだろう…
 利潤追求、そして「質」よりも「安さ」が求められてばかりいる現代社会。
 あらためて、日本の技術力の高さ、更には、義理にあつい日本人の気質を大切にするべきだ、と気付かされました。
 そして「お金」の意味、「働く」ことの意味を教えていただきました。




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「蜩ノ記」 葉室 麟 著  祥伝社

2013-08-25 20:57:56 | 歴史物
 武士(もののふ)の心が、いとも簡単に、流されやすい私の心へ、熱い楔を打ち込んだ。
 ただひたすらに、藩と民のため、そして家族のために、忠と義に生きる。
 その範たる姿勢は、限られた日々においてでさえ、全く変わらない。
 そして、その生き方は、「信頼」とは何か、「忠義」とは何かを、我々に問いかける。
 日本男子の心意気、潔さを忘れるな!!
 そう、教えていただきました。

 ただし、残念ながら、現代社会に於いて、世界の中で日本という国家が、その存在を確立し、あるいは正当性を証明するためには、より積極的に自らの意見を述べ、ロビー活動でさえも展開し、場合によっては、力を誇示しなければならないのも事実である。
 もはや、いつまでもお人好しで、気前よく資金と技術を提供する、よき日本人では、我が国に敵対心を抱く者たちには、永久に勝てない。


 
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