栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

エイシンフラッシュに脈々と流れる「1/4独異系」(3)

2010-06-02 09:24:24 | 配合論

レースの上がりが11.3-10.8-11.3ですから、全馬がディープインパクトのような脚で上がったというと言いすぎですが、ダービー史上というより東京の2400m戦としてかなり特異なレースになったというべきでしょう

ローズキングダムは伸びのない体型のキンカメ産駒で、またMill Reefのクロスの影響で男馬としては薄手で線が細く、だからパンパンの高速馬場の1800mがベストだと書いてきましたし、だから皐月はさすがの4着で、1800mの高速戦ならまたヴィクトワールピサに先着の可能性は十分とも書きました

けっきょく日曜は雨は降らず、しかもスタミナ的に1800mのレースになったわけですから、この2着は私としては不思議でもなんでもないのですが、言い訳を一つさせていただくとNETKEIBAのG1予想は金曜入稿なので、日曜が雨予報の時点で120%消しと決めつけていました(^ ^;)

「サンデー×Lyphard×ハイインロー」の配合形ですから4角先頭が勝ちパターンで、東京ならあそこで抜け出すのが最高のタイミングで、あれで勝てばバブルガムフェローの秋天の再現という感じで、「小牧騎手になったつもりで乗る」と言っていた後藤は満点の騎乗だったと思いますが、叩き合った相手が悪かったですなあ…

キングカメハメハ産駒(8)~ローズキングダムの線の細さ
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/3d16420854c6fe979176a8fdf07a753b
サンデー×Lyphardにみる「ハイインロー」の偉大さ(4)
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/d7e12980a473b4546c3d173d3b0fd436

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未勝利勝ちがレッドスパークルとクビ差、エリカ賞がブルーミングアレーとクビ差、京成杯がアドマイヤテンクウとハナ差、そしてダービーがローズキングダムとクビ差

このペースと上がりで「ドイツのスタミナ血脈の勝利」と言われてもそれは違うだろうと思うわけですが、この上がりを俊敏に反応できるところは父系のKingmamboと母が持つRed God≒Stay at Home4×5の影響でしょう
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2007102951/

Nasrullah
Red God
│ ┌Pharamond-Phalaris×Selene
│┌Menow
└Spring Run
 │┌Bull Dog-Teddy×Plucky Liege
 └Boola Brook
  │┌Peter Pan
  └Brookdale

 ┌Nasrullah
┌Bold Ruler
Stay at Home
│ ┌Sickle-Phalaris×Selene
│┌Polynesian
└Alanesian
 │   ┌Peter Pan
 │  ┌Black Toney
 │ ┌Black Servent
 │┌Blue Larkspur
 └Alablue
  │┌Sir Gallahad-Teddy×Plucky Liege
  └Double Time

Stay at HomeはBoldnesianの全姉ですから、これはマンハッタンカフェがHalo≒Boldnesian2×4でしかもドイツ牝系だったのを思わせるものがありますし、マンカフェ×Blushing Groomのニックスの秘密はHalo≒Boldnesian≒Red Godにあるということは何度も書いてきました
http://db.netkeiba.com/horse/ped/1998101554/

そもそもドイツ血脈=スタミナの権化みたいにいわれますが、LandoやAnnus Mirabilisやマンハッタンカフェやビワハイジやホッカイルソーなど、ドイツ血脈を引く日本での活躍馬は、「スローでNasrullahやアメリカンとはまた違う独特の斬れ方をする」というイメージですね、私のなかでは

もちろんスタミナを振り絞るようなレースをまだ試されていないだけで、エイシンフラッシュがそういうレースで更に強い可能性は十分あるわけですが、少なくともスローの上がりの競馬で競って強いというのは、それはそれでドイツ血統らしい一面と言っていいのではないかと

配合については以前書いたのを読み返してみるとあまり付け足すこともないので、下にリンクしておきますが、実はドイツ血脈は代々1/4異系的に使われ続けていて、KingmamboやSure Bladeといった非ドイツ血脈とのバランスが良い配合といえます

将来種牡馬としてはどうなのか?という質問がありましたが、スタイヴァザントやアルカセットなどと比較すると、父系がミスプロで母がRed God≒Stay at Homeを持つだけに、たとえばサンデー系牝馬との配合だとRed God≒Stay at Home≒Haloになるわけで、そこらでスピードを引き出すような策が打てるのは強みでしょうね

ただしKingmamboも父父の代になるとスピードを確実に伝えるとは言い切れず、近い世代でのスピードの固定がムーンレディのRed God≒Stay at Home4×5しかないので、エルコンやキンカメが自身や父母に強いクロスがあって早期にマイラー寄りの資質を開花させていたのと比較すると、アベレージヒッターとしての能力という点では少し落ちるかもしれないですね~

エイシンフラッシュに脈々と流れる「1/4独異系」(2)
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/d72e311405676116b7fd6c2d29884ca9
エイシンフラッシュに脈々と流れる「1/4独異系」
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/6c279e95a73aa6be3158599e5043267f

コメント (2)
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ありがとう

2010-06-02 08:42:20 | 血統予想
毎年ダービーのパドックというのはちょっと特別な思いにかられるというか、周回している馬たちについて一年間書いてきたことが頭の中に一つ一つ蘇ってきて、今年もコイツラにいろんなことを教わったなあ~と、勝ち残ってきた馬全てに感謝して拍手を送りたくなります

シショーと金曜に電話で話したときに「ペルーサはデキ落ちじゃないの?」と言われてそれは内心同意できる部分はあったんですが、ダービーまでずっとこの馬と歩んできたという実感がある私としては、「ブエナビスタだってあれで勝ちきってしまうんですから、デキ云々だけでダービーの◎は変えられませんよ」と言うしかなかったし、仮に青葉よりデキが落ちていても勝つだろうとも思っていました

青葉賞より張りのない体で出てきて、出遅れて大外を回らされて、同じように外を回らされたヒルノダムールやリルダヴァルが全く脚を使えなかったというのに、でもほら、それでもやっぱりきたやないか!という脚を一度はみせてくれました

私の仕事のサイクルからいうと、ダービーはいちおうの総決算であり一区切りですから、結果は厳粛に受け止めます

でも負け惜しみではなく、一年の総決算の最後の直線で、「やっぱりきた!」と思わせてくれたペルーサにはありがとうと言いたいし、この馬とクラシックロードを歩んできたことは間違いではなかったと思っています

ノリも藤沢先生も悔しいでしょうが、ナンバーワンを証明するチャンスは、これからいくらでもあります
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