血統通り、戦績通り、グラスワンダーは希代のパワーランナーでした
脚捌きはきれいではなくストライドも伸びないので東京の長い直線では詰めが甘くなるきらいはあったものの、急坂小回りを捲って押し切るパワーはそりゃもう圧倒的で、地面を掴む力や掻き込む力だけでハイレベルなライバルたちをねじ伏せ続けたといっても過言ではありません
しかしこういう類をみない卓越した特長というのはなかなか伝わらないもので、グラスに似た走りをする産駒も時々いるのですが、Roberto3×3のリバティーフローとか、Danzig3×3のタムロスターディとか、His Majesty=Graustark4×4のレーザーズエッジとか、父のパワーを増幅した配合馬は力馬であることがあまりプラスには働いていない、という結果に終わっています
代表産駒のスクリーンヒーローやサクラメガワンダーやシルクネクサスやマイネルスケルツィなどは、サンデー~Haloの血を取り込むことにより、あのガシャガシャした走法をHalo的な無駄のないお行儀のいい走法に変えることによって成功しました
オースミグラスワンやアーネストリーはかなり父似だと思いますが、オースミも半分母系のWordenのナタ斬れで差しているようなところがあって、長い直線のスローをパワーで一気に追い込むという、何とも矛盾した差し方をしているように私にはみえます
アーネストリーは走法はかなり父似で小回りをきれいに捲りますが、母がトニービン×ディープブーン(=Bold Bidder)で、このナスキロ柔さを受け継いでいるぶん、父ほどガテン系って感じじゃないんですよね~
サクラメガワンダーやシルクネクサスも小回りを上手に捲りますが、あれも小器用に捲ってるだけで、父のようにねじ伏せている感じじゃないんですよね~
アンカツさんがペルーサでやったような、捲りながら相手を内に押し込めて戦意喪失させてしまうぐらいの、ああいうふうに捲るグラスワンダー産駒を見たいなあ…と
Halo的無駄なさやナスキロ的柔らかさを受け入れることは成功への早道なのでしょうが、それだとけっきょく、父のような希代のパワーランナーは出てこないような気もします
セイウンワンダーは祖母の父がリアルシャダイでRoberto3×3で、朝日杯をイン捲りで勝ったときにはこれはグラス的捲り屋が現れたかとも思ったんですが、この馬もやっぱりサンデーが入るぶん、父よりお行儀のいい走り方をするんですよね~
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006106430/
だからこそ父と違って長い直線でタメてもソコソコ斬れるし、皐月でも菊でも3着まできているわけですが、グラスワンダーなら皐月はアンライバルドの更に外から捲りきって、菊は潔く馬群に沈んだことでしょう(笑)
現役時代はほんとに憎たらしい馬でしたが、私の馬券を毎度毎度紙クズにしながら、Robertoとはなんぞや?ということを教えてくれた馬でもあり、グラスワンダーからドリームジャーニーみたいな捲りのチャンピオンを出すには、いったいどういう配合をしたらいいのだろう…とふと考えてしまいます