最も単純な複素関数:Z^s+0.5 (sは実数) において、s=1→1.2→1.4→1.6→1.8→2と変化させたら、どのような画像になっていくだろうか?
この図は Z^s+0.5 という名の「放散虫」の画像であるが、下図から順に此の「放散虫」を拡大している。
特に興味深いのは一番下の「放散虫」の「内臓部」の画像の変化である。
1という数字は(0を除いて考えると)自然数の最初の値であり、その意味で『ものの始まり』に対応している。自然数のその次の数は 2 であるが、1 から 2 へと変化するとき、画像の変化から分かるように、「内臓部」が二つに「分裂」していく。
この様子は例えれば、此の画像は、1 という何もない原始の混沌の世界から何ものかへと形が形成していく様子の数学的表現と言える。即ち、例えば母親の胎内で胎児が形成されていく様子を連想させる。
この画像は此の世の『ものの始まり』とか『ものがたりの始まり』とかの数学的表現と言える。
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音楽で云えば『ラインの黄金』の第一場の前奏曲や、モーリス・ラベルのバレエ音楽『ダフニスとクロエ』の第三部の『夜明け』から受ける印象の数学的表現である。また映画で云えば、ビム・ベンダースの『ベルリン・天使の詩』のラストシーンの『物語の始まり』というナレーションが意味することの数学的表現とも言える。
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この画像の作成条件は以下のとおり。
1.複素関数:Z^s+0.5,s=1, 1.2, 1.4, 1.6, 1.8, 2
2.N-loop脱出条件:X^2+Y^2>100 ならば脱出する。Nmax=50
3.N-loop脱出後のpset条件:(|X|<10 or |Y|<10) ならばpsetする。
N-loop脱出ときのN値をNoとすると、psetの色:CはC=No mod 16 とする。
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また、
Z^1+0.5→Z^2+0.5 への画像の変容をアニメ化した→
Z^1+0.5→Z^2+0.5
『ものがりの始まり』という『細胞分裂』を連想させる。
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参考に此のBASIC/98の画像作成プログラムを書いておく。
10 REM Z^S+0.5:6種類表示
40 CHAIN MERGE "C:\BASIC\PRO\SUBR\ARCTAN3.BAS",50,ALL
90 CONSOLE ,,0,1
100 COLOR 0,7,,,2
110 CLS 3
140 FOR RR=0 TO 5
150 R1=INT(RR/3)
160 R2=RR-3*R1
170 D1=215*R2
180 D2=242*R1
190 ON RR+1 GOSUB 510,520,530,540,550,560
210 XS=-20 :XE=20 :YS=XS*(238/210)
220 D=(XE-XS)/210
240 FOR J=0 TO 238
250 LOCATE 0,0:PRINT J
260 FOR K=0 TO 210
270 X=XS+D*K
280 Y=YS+D*J
290 FOR N=0 TO 50
300 R=SQR(X^2+Y^2)
310 GOSUB 5000
330 X=(R^S)*COS(S*TH)+0.5
340 Y=(R^S)*SIN(S*TH)
350 Q=X^2+Y^2
360 IF Q>100 THEN 400
370 NEXT N
380 C=15
390 GOTO 430
400 IF ABS(X)<10 OR ABS(Y)<10 THEN 410 ELSE 460
410 C=N MOD 16
420 IF C=7 THEN C=8
430 REM
440 PSET(K+D1,J+D2),C
460 NEXT K
470 NEXT J
480 NEXT RR
490 CLOSE
500 END
510 S=1 :RETURN
520 S=1.2:RETURN
530 S=1.4:RETURN
540 S=1.6 :RETURN
550 S=1.8:RETURN
560 S=2:RETURN