念坊ひとり旅

　　　一行詩
氾濫の水引きたれば灯籠見す
父と子の夕餉まえなる手花火かな

　　　川　柳
東京五輪走る聖火と請託あり

念坊ひとり旅

　　　一行詩
泣きじゃくる子の眼が停まる鳳仙花
近年は国内何処も秋暑し

　　　川　柳
精霊も生き身魂らも義理果たし

念坊ひとり旅

　　　一行詩
初秋や週間予報に温度下降
遊覧船頭上遥かに銀河下る

　　　川　柳
俳句短歌足して2で割る二十四音川柳

念坊ひとり旅

　　　一行詩
墓地出ればしばし山道秋の蝉
帰省終え母へ手を振る搭乗口

　　　川　柳
終戦の日過ぎて子影淡き母

念坊ひとり旅

　　　一行詩
敗戦の遺構むなしき庭の繁茂
仏前へ南瓜供へて遠き日よ

　　　川　柳
子が笑ふ南瓜の種を焼いて喰ふを