「うたごえ喫茶 あおぞら」 の 案内が届きましたので、紹介します。
労働法制の「規制改革」に断固反対する (談話)
安倍政権の「規制改革会議」は6月5日、「『人が動く』ように雇用の多様性、柔軟性を高める政策を展開し、『失業なき円滑な労働移動』を実現させていく」として、
1.正社員改革、
2.民間人材ビジネスの規制改革、
3.セイフティネット・職業訓練の整備・強化
の3つを柱とする答申をおこなった。
今回の答申の最大の特徴は、アベノミクスの成長戦略の中核として、雇用・労働分野の規制(労働者保護)を徹底的に骨抜きにしようという点にある。
「人が動く」「正社員改革」などの言葉に端的に示されるように、成長産業への「産業の新陳代謝の促進」と、
中高年層を中心にとする正社員の首切り・リストラを政府公認で推進しようというものにほかならない。
成長戦略がめざす「世界で一番、企業が活動しやすい国」実現のため、大失業時代の到来は必至である。
失業時保障や公的職業訓練等の抜本的拡充もなく、このような施策を遂行するのだから、雇用破壊がいっそう急速に進行し、貧困化がすすむことは明らかである。
規制改革会議は「賃金を上げるのであれば、雇用の柔軟性を高める政策を実行すべき」として、雇用流動化を正当化するが、その誤りは明らかである。
「失われた20年」でも明らかなように、雇用が流動化、不安定化すれば賃金は下がり続け、デフレ不況をさらに深刻にすることは必至である。
留意すべきは、労働法制の「規制改革」が、TPP交渉参加表明と軌を一にして加速したことである。
TPPが、日米の多国籍大企業の利益に傾倒して、労働者・国民と地域社会を犠牲にするものだと指摘してきたが、それが現実のものになりつつある。
世界の国々が、自国の労働者をグローバル化の弊害から守るために最低賃金の引き上げや公契約法などを整備していることとは対照的に、規制緩和一辺倒の動きである。
答申の具体的な施策では、第一に、「正社員改革」の突破口として、「限定正社員」の雇用ルールの整備(2013年度検討開始、14年度措置)が盛られた。
日本の正社員を職務や勤務地、労働時間(残業)が限定されていない「無限定社員」と決めつけること自体が誤りだが、
その「誤解」の上に「限定正社員」で「多様で柔軟な働き方」を実現するという絵空事が描かれている。
企業での人事管理の現状を踏まえれば、女性労働者などに「限定正社員」の選択を強制し、賃金など労働条件の引き下げを押しつける「名ばかり正社員」化となることが懸念される。
なお、「限定正社員」に関わって当初いわれていた解雇規制の緩和や金銭解決制度の導入については、「様々な視点を踏まえながら、丁寧に検討を行っていく」として継続課題にされた。
運動と世論の成果として確信にすると同時に、「正社員改革」の真のねらいである解雇の自由化を許さない世論と運動をいっそう強化する必要がある。
第二には、労働者派遣制度の抜本的な見直し(2013年検討・結論、結論を得次第措置)が盛られたことである。
「常用代替防止」という大原則を転換し、「臨時的・一時的な業務」「専門業務」などに限定する規制のあり方を見直すよう求めており、労働者派遣を自由化するものにほかならず、
「年越し派遣村」の出現まで至った経過を再現しかねない。
第三には、労働時間規制の大幅な見直し、骨抜き(2013年上期調査開始、13年秋検討開始、1年を目途に結論)である。
企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制の要件緩和をはじめ、答申には「時間外労働の補償の在り方、労働時間規制に関する各種適用除外と裁量労働制の整理統合等労働時間規制全般の見直し」が明記された。
規制改革会議は「多様で柔軟な働き方の実現のための環境整備」とするが、実際にはサービス残業(不払い残業)の事実上の合法化であり、歯止めのない長時間過密労働につきすすむものにほかならない。
第四には、有料職業紹介事業の規制改革(2013年度検討開始、14年度早期に結論)である。
「民間人材ビジネスの活用によるマッチング機能強化」などというが、当面の課題として「求職者からの職業紹介手数料徴収が可能な職業の拡大」が掲げられており、
公的職業紹介事業を縮小し、民間人材ビジネスの儲けの場を拡大しようというものにほかならない。
職業紹介事業や職業教育訓練など雇用政策全般を「雇用維持型」から「労働移動支援型」に大転換し、雇用流動化をすすめるとしており、この点でも重大な転換を迫るものとなっている。
以上のとおり、労働法制の「規制改革」では、雇用流動化の名で雇用の不安定がすすみ、賃下げ競争が強いられる社会しか想定できず、
労働者や国民、地域社会の「未来」につながらないことは明らかである。
全労連は、そのような労働法制の「規制改革」に断固反対する。
現在の日本の労働者の現状を踏まえれば、やるべき施策は、若者や女性、非正規労働者の処遇の改善のための制度改正である。
最低賃金の引き上げなど賃金の底上げは緊急課題であり、時間外労働の規制強化など実効ある労働時間短縮策を講じるべきである。
子育てや介護などに配慮した時短・休暇制度など正社員のままで働き続けられる対策を急ぐべきである。
全労連は、来る参議院選挙をその第一弾のたたかいとして、労働法制の改悪を許さず、憲法をいかした雇用と社会保障を中心におく日本の実現をめざして奮闘する決意である。
2013年6月10日
全国労働組合総連合 事務局長 小 田 川 義 和
安倍政権の「規制改革会議」は6月5日、「『人が動く』ように雇用の多様性、柔軟性を高める政策を展開し、『失業なき円滑な労働移動』を実現させていく」として、
1.正社員改革、
2.民間人材ビジネスの規制改革、
3.セイフティネット・職業訓練の整備・強化
の3つを柱とする答申をおこなった。
今回の答申の最大の特徴は、アベノミクスの成長戦略の中核として、雇用・労働分野の規制(労働者保護)を徹底的に骨抜きにしようという点にある。
「人が動く」「正社員改革」などの言葉に端的に示されるように、成長産業への「産業の新陳代謝の促進」と、
中高年層を中心にとする正社員の首切り・リストラを政府公認で推進しようというものにほかならない。
成長戦略がめざす「世界で一番、企業が活動しやすい国」実現のため、大失業時代の到来は必至である。
失業時保障や公的職業訓練等の抜本的拡充もなく、このような施策を遂行するのだから、雇用破壊がいっそう急速に進行し、貧困化がすすむことは明らかである。
規制改革会議は「賃金を上げるのであれば、雇用の柔軟性を高める政策を実行すべき」として、雇用流動化を正当化するが、その誤りは明らかである。
「失われた20年」でも明らかなように、雇用が流動化、不安定化すれば賃金は下がり続け、デフレ不況をさらに深刻にすることは必至である。
留意すべきは、労働法制の「規制改革」が、TPP交渉参加表明と軌を一にして加速したことである。
TPPが、日米の多国籍大企業の利益に傾倒して、労働者・国民と地域社会を犠牲にするものだと指摘してきたが、それが現実のものになりつつある。
世界の国々が、自国の労働者をグローバル化の弊害から守るために最低賃金の引き上げや公契約法などを整備していることとは対照的に、規制緩和一辺倒の動きである。
答申の具体的な施策では、第一に、「正社員改革」の突破口として、「限定正社員」の雇用ルールの整備(2013年度検討開始、14年度措置)が盛られた。
日本の正社員を職務や勤務地、労働時間(残業)が限定されていない「無限定社員」と決めつけること自体が誤りだが、
その「誤解」の上に「限定正社員」で「多様で柔軟な働き方」を実現するという絵空事が描かれている。
企業での人事管理の現状を踏まえれば、女性労働者などに「限定正社員」の選択を強制し、賃金など労働条件の引き下げを押しつける「名ばかり正社員」化となることが懸念される。
なお、「限定正社員」に関わって当初いわれていた解雇規制の緩和や金銭解決制度の導入については、「様々な視点を踏まえながら、丁寧に検討を行っていく」として継続課題にされた。
運動と世論の成果として確信にすると同時に、「正社員改革」の真のねらいである解雇の自由化を許さない世論と運動をいっそう強化する必要がある。
第二には、労働者派遣制度の抜本的な見直し(2013年検討・結論、結論を得次第措置)が盛られたことである。
「常用代替防止」という大原則を転換し、「臨時的・一時的な業務」「専門業務」などに限定する規制のあり方を見直すよう求めており、労働者派遣を自由化するものにほかならず、
「年越し派遣村」の出現まで至った経過を再現しかねない。
第三には、労働時間規制の大幅な見直し、骨抜き(2013年上期調査開始、13年秋検討開始、1年を目途に結論)である。
企画業務型裁量労働制やフレックスタイム制の要件緩和をはじめ、答申には「時間外労働の補償の在り方、労働時間規制に関する各種適用除外と裁量労働制の整理統合等労働時間規制全般の見直し」が明記された。
規制改革会議は「多様で柔軟な働き方の実現のための環境整備」とするが、実際にはサービス残業(不払い残業)の事実上の合法化であり、歯止めのない長時間過密労働につきすすむものにほかならない。
第四には、有料職業紹介事業の規制改革(2013年度検討開始、14年度早期に結論)である。
「民間人材ビジネスの活用によるマッチング機能強化」などというが、当面の課題として「求職者からの職業紹介手数料徴収が可能な職業の拡大」が掲げられており、
公的職業紹介事業を縮小し、民間人材ビジネスの儲けの場を拡大しようというものにほかならない。
職業紹介事業や職業教育訓練など雇用政策全般を「雇用維持型」から「労働移動支援型」に大転換し、雇用流動化をすすめるとしており、この点でも重大な転換を迫るものとなっている。
以上のとおり、労働法制の「規制改革」では、雇用流動化の名で雇用の不安定がすすみ、賃下げ競争が強いられる社会しか想定できず、
労働者や国民、地域社会の「未来」につながらないことは明らかである。
全労連は、そのような労働法制の「規制改革」に断固反対する。
現在の日本の労働者の現状を踏まえれば、やるべき施策は、若者や女性、非正規労働者の処遇の改善のための制度改正である。
最低賃金の引き上げなど賃金の底上げは緊急課題であり、時間外労働の規制強化など実効ある労働時間短縮策を講じるべきである。
子育てや介護などに配慮した時短・休暇制度など正社員のままで働き続けられる対策を急ぐべきである。
全労連は、来る参議院選挙をその第一弾のたたかいとして、労働法制の改悪を許さず、憲法をいかした雇用と社会保障を中心におく日本の実現をめざして奮闘する決意である。
2013年6月10日
全国労働組合総連合 事務局長 小 田 川 義 和