ロシア日記

~ペルミより愛を込めて~
日本語教師と雪のダローガと足跡

~サンクトペテルブルグ~
雪の上の足跡

墨絵、本番。

2013年02月14日 | 日記
 今週は、先週の私の失敗を見越して、なんと墨絵の先生が直々に私の家のクジラスーパーまで迎えに来てくれたのです。ロシア人て、本当に親しくなったらとっても親切なんだなとびっくりします。
 先生のセルゲイさんは一度ペルミのアートセンターで絵画展が開催されたときにお会いし、彼が出品していた桜の墨絵を拝見しました。今私が教えている学校の教室に飾られている鯛の絵も彼の作品です。彼は私が自分の教室に来てくれることをとても喜んでくれ授業料もいらないと言うのです。本当に親切だなと感嘆します。
 まだ世が明けない午前9時ごろ、バスに乗り、ふたりで大学まで歩きます。セルゲイさんのロシア語を私はほとんどわかりません。けれど彼はお喋りでずっと話してくれます。ロシア語をわかるようになりたいな、と私は思います。
 彼の勤める大学に到着し、小柄な彼が小さな可愛い手でお香に火をつけると授業は始まります。紙に筆元を重心に筆を置き溜めてから、一気に引き伸ばし筆を止めます。それを3回ほど行うと笹の茎の出来上がりです。書き方は少し書道に似ていると思いました。そのあと細い筆で笹の葉の枝を書き、最後は笹の葉を筆先から流すように書いたら出来上がりです。やはり何事も鍛錬で、すぐにはうまくいきません。細い枝を書くのも太く不恰好にならずに繊細に流れるようにすーっと書けるよう練習が必要です。けれど初めて墨絵の手法を目にし驚いたのと、シンプルな中に日本の美があるのだなと思いました。
 私の他に8歳のソーニャと2人の女性がいます。途中から高校生くらいの男の子も来ました。8歳のソーニャはとっても美人さんで、セルゲイさんいわくママも美人だということです。
ペルミで日本を感じる面白さに満足感いっぱいに教室を後にしました。来週は薔薇を書くそうなので今から楽しみです。

墨絵、序章。

2013年02月14日 | 日記
 土曜日、墨絵を習いに行きました。本当は先週も土曜日に習いに行くはずだったのですが、私が所定の場所にたどり着けなかったのです。墨絵を紹介してくれた16歳の生徒アンジェリカに、30番のバスに乗るように言われていたのですが、朝早く起き、まだ日も昇らぬ9時ごろにひとりバス停に並んでいると、骨身に沁み入るほどの寒さで、おまけに待てど暮らせど30番のバスは来ず、我慢しきれなくなった私はやってきた4番のバスに乗ってしまったのです。これがすべての間違いの元で、墨絵が行われるプーシキン大学を通り越し、引き返すことを決めたものの、聞けど人々は教えてくれずに、中には教えてくれる人もいたのですが、初めての場所で正確にはわからず、墨絵の先生もどうにか来れるように電話で助言はしてくれるのですが、なんせこちらは寒くてかなわない、行先を求めて道を歩くのですが、いったいどちらの方角へ行っていいのやらてんでわからない、アンジェリカも「さやさーん、あなたは今どこにいますか?」と電話を寄こしてくれるのだけど、私は今、私がどこにいるのかわからない状態で答え用がないのです。そしてとにかく寒い、そのうち寒さのせいと情けなさのせいで涙もぼろぼろ出てくるし、パソコンでどうにか場所を突き止めて所定の場所まで導こうとしてくれた天使のようなアンジェリカを制して、とうとう私は「アンジェリカ、今日は諦める」と一言はいてしまったのです。
 私は方向感覚は割といい方で、今まで定めた場所に行けなかったことはないのですが、これが初めての断念です。寒さは気を萎えさせます。もう出て人に道を尋ねる気力もましてや外に出て冷たい外気に中を歩ける気力もなくなったのです。辿り付いたのは小さな子供がたくさんいるブルーの綺麗な劇場です。私はこのままこの子供たちと劇をみよう、そして冷えた身体を温めよう。まるでマッチ売りの少女のような心境になりました。少しは期待して見た劇もやはり、これは子供向け、内容はともかく身体は温まったものの墨絵は行けず仕舞いでした。