私の故郷:八幡浜市の北東部の山間にある 日土小学校 は、
当時同市役所建築家に勤務していた松村正恒氏(故人)による設計だ。
学校建築として日本でクラスター型教室配置計画を採用した唯一木造校舎で、
昭和31年(私の生まれる4年前)に竣工した。
小学生の目線から見た各ディーテールの優しさ、使い易さがモダニズム建築を代表し、
日本を代表する現存する建築で、1999年 「日本の近代建築20選」 に選定された。
今回(2008年)改修・改築が行われた現地の見学会に参加してみた。
私が通った同市の千丈小学校も似たような雰囲気をもった木造校舎だった。
木造校舎で受ける知・徳・体育と鉄筋コンクリート校舎のそれとは
教育の質量がひょっとして違ってくるのかもしれない。
私が卒業して以降、各地の木造校舎が解体され鉄コン筋クリートの校舎が次々に出現した。
どれも これも殺風景なRC建築だ。
そして今、時を経て今度は耐震改修と云う名のブレスをタスキに掛けたような外観が
あちこちで見受けられる。
もし、現存するRCの堅牢な校舎を一度思い切って取り壊し、
この日土小学校の様に木造校舎を甦らす公共事業の力がこの国にあるのなら、
日本の再生は、可能かも知れない。
隣りの国、韓国では既にコンクリートで固めた海の護岸や河川の岸部から
コンクリートを剥がして元の海辺・川辺を再現する事業が始まっている。
木や土、風や水や光は、日本人が悠久の古から慣れ親しんできた素材だ。
現政権も言っている様に、コンクリートから人へ を確実に実現するならば
高校を無償化する予算を、この再生に廻してもよいのではないか?!
そんな事を思わせる程、この日土小学校の魅力は輝いていた。