丼季報亭「8万時間の休息」

旅の記録や季節の便りそれに日々の思いを軽いトーンで綴ってみました。

243.ヨン様演じるタムドク像も

2009-01-08 22:03:09 | 街角散歩

 高麗神社左手にある慰霊塔の入口にぺ・ヨンジュン演じる「大王四神紀」のタムドク像があります。

 タムドクは4世紀から5世紀にかけて高句麗の領土を中国北部まで広げた広開土大王(375-413)の名で、かの国の民族統一の祖と慕われています。

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 ドラマの中でもタムドクの実在した時代の2000年前、紀元前1600年頃の朝鮮半島は天界から降りてきた神の治める国として描かれていました。

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 毎日必ずブログを読んでコメントを投稿していただいているあこさんから 韓国の公式年号であった壇紀4342年の根拠について質問がありました。

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 ご質問のあった壇紀4342年の根拠を追って、初詣には高句麗ゆかりの高麗神社まで出かけました。4342年の歴史年号は1961年まで韓国内では正式に使用されていたものですから 何らかの歴史の片鱗があるはずと思っていました。

それは高麗神社聖天院本堂左にある小高い丘の上にありました。

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 本堂左側にある慰霊碑を見下ろす位置に他の偉人たちと比し明らかに別格の石像があります。 建国の祖と敬われている壇君の石像です。 「朝鮮古記」や高麗末期の李承休による「帝王韻記」に朝鮮建国の祖として登場する王です。 

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 壇君の石像の足元にある石碑には紀元前2333年 朝鮮を建国した民族の始祖と刻まれています。

 『三国遺事』が引用する「朝鮮古記」によれば、桓因(かんいん、환인。桓因は帝釈天の別名)の庶子である桓雄(かんゆう、환웅)が人間界に興味を持ったため、桓因は桓雄に天符印を3つ与え、桓雄は太伯山(現在の白頭山または妙香山)の頂きの神檀樹の下に風伯、雨師、雲師ら3000人の部下とともに降り、そこに神市という国をおこし、人間の地を360年余り治めたことになっています。

 ぺ・ヨンジュン主演「大王四神紀」第一話に登場する神が治める国「チュシン」のモデルがこの神市という国のようですね。

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 その時に、ある一つの穴に共に棲んでいた一頭の虎と熊が人間になりたいと訴えたので、桓雄は、ヨモギ一握りと蒜(ニンニク、ただしニンニクが半島に導入されたのは歴史時代と考えられるのでノビルの間違いかも)20個をあたえ、これを食べて100日の間、太陽の光を見なければ人間になれるだろうと言ったのだとか。

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 虎は途中で投げ出し人間になれなかったのですが、熊は21日目に女の姿「熊女」(ゆうじょ、웅녀、ウンニョ)になったとか。しかし、配偶者となる夫が見つからないので、再び桓雄に頼み、桓雄は人の姿に身を変えてこれと結婚し、一子を儲け、これが檀君王倹(壇君とも記す)だそうです。

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 檀君は、堯(ぎょう)帝が即位した50年後に平壌城に遷都し朝鮮(조선)と号しました。以後1500年間朝鮮を統治し、周の武王が朝鮮の地に殷の王族である箕子を封じたので、檀君は山に隠れて山の神になって、1908歳(このあたりが神話)で亡くなったというのです。

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 しかし、朝鮮人の中には檀君を実在の人物と主張する人がいます。 大韓民国の国定教科書では韓国の歴史が非常に長いことを示す「史実」として扱われています。実在の人物であっても史書であまりに神格化し過ぎて非科学的な記述を重ねると、歴史的事実としての信憑性が減少するのですが・・。

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 また朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では、1993年の発掘調査で檀君のものらしき骨が発見され、「電子スピン共鳴法」による解析で5011年前のものと分かったため、檀君は実在人物であったと主張されています。

 しかし、神話に基づく檀君朝鮮の建国年(B.C.2333)との間に700年近い差があり、また解析方法についても詳細が公表されていないことから、信憑性は疑われています。この国は、昔から関係のない人骨を証拠に用いることが得意技のようです。

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 また高麗末期の李承休による『帝王韻記』には、桓雄の孫娘が薬を飲んで人間になって、檀樹神と婚姻して檀君が生まれたと記されているそうです。 ここでは檀君は1028年後に隠退したのだとか。

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 わが国でも古事記・日本書紀に、国生みに始まるすべての神功を果たした「いざなぎ・いざなみ」の大神に関する記述はあります。 しかし、よくできた崇高な神話として扱われ、その世界はフィクションであるとの暗黙のコンセンサスがあります。

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 これでお分かりの通り 檀君はあくまでも神話上の存在であり、実在したとも思えなくなってしまいます。どこの国でも創世記の史書には似たような神がかり的な記述はあるため 仕方の無いことでしょうが。

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 神話はあくまで神話であってロマンですから 国家の歴史の起源にこれを用いると「朝鮮が古来からの独立を示すための捏造だろう」と推測されてしまうと思うのですが 皆さんはこの話をどう感じられたでしょうか?

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今日もお立ち寄りいただいて有難うございます。

 注)壇君の詳細はフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から抜粋・加筆したものです。


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2 コメント

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神話はロマン (あこ)
2009-01-09 10:27:59
広開土大王タムクド(375-413)高句麗
民族統一の祖。

紀元前2333年建国の祖と敬われている壇君の石像。
熊女と桓雄は人の姿に変身して結婚し子が壇君。
檀君は平壌城に遷都し朝鮮と号す。
1500年間朝鮮を統治。1908歳で死亡。
崇高な神話として暗黙のコンセンサス。
神話はあくまで神話であってロマン。

すっかり韓国に興味と敬意を持ちました。
ありがとうございます。




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大王四神紀 ()
2009-01-09 19:39:32
あこさん

韓流ドラマは 眠っていた東洋の歴史への興味を喚起してくれました。

 「チャングム」と「大王四神紀」は BS2・ハイビジョン・総合テレビでの放映の都度 三度とも 最初から 最終回まで 見ています。

「チャングム」は病こうじて ソウルのNBCテーマ・パークまで 出かけてしまいました。「大王四神紀」も そのうち ハングル語をマスターして ロケ地である 済州島を訪問したいと思っています。

「丼」
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