■JR羽越本線100年を機に新発田地域の振興を考えます。
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◆新発田駅以南編・中浦駅(その1)
新潟県新発田地域振興局が所管する「新発田地域」を縦断するJR東日本「羽越本線」の南端となる阿賀野市「京ヶ瀬駅」から北端の胎内市「平木田駅」までを地図で俯瞰してみると、丁度真ん中にある新発田市「新発田駅」を挟んで沿線が地勢的に対照的に見える。
すなわち、新発田駅より南の端となる京ヶ瀬駅までの20km余りの区間は、17km程の地点にあり阿賀野市の中心市街地に立地する水原駅周辺を除き、正に新潟県の象徴のような稲作田園地帯を貫いて走る形になっている。
一方で、新発田駅より北の端となる胎内市平木田駅までの20km程の区間は、田園地帯ではあるものの胎内市の中心市街地にある中条駅を含め、都度都度集積している住宅地ごとに駅が配されていて、通勤通学など生活路線として活用されていることが想像できる。
この視覚的なコントラストの違いを踏まえて、新発田駅の以南と以北を分けて、駅とその周辺を散策して、羽越本線の利活用増進に通じるヒントを探ってみる事にした。
通常は車通勤である新発田地域振興局において、時に列車を利用する際に降車駅となる新発田駅は、9万人余りの人口を抱える新発田市の中心にあり、周辺に5つもの県立高校を擁していて、通学の時間には新発田地域を越えて隣接の新潟市などから大勢の高校生でごった返すほどの雰囲気になる。少子化と言われる中で少し安心感さえ抱けるような混雑ぶりだ。
そんな大勢の利用が嬉しくさせる新発田駅は、業務での新発田市内の関係立ち寄り先が周辺にも多く集積しているので、改めて駅周辺を見回る必要も無いため、新発田駅から以南の羽越本線の各駅へと順次向かうことにする。
本来であれば羽越本線の列車に乗車して各駅に降り立って視察したいのであるが、残念ながら二三時間に一本といったダイヤを見ると何日も要してしまうことになり流石に時間的に無理がある。なので、極めて皮肉な話であるが、鉄路の衰退の元凶の一つに違いない自動車を使用して各駅を回ることにした。
新発田地域振興局から国道460号に入ると、新発田駅以南の羽越本線の線路がほぼ並行しているので、効率的に各駅を見て回れそうだ。しかし、この車路との並走そのものが鉄路利用の減退を招いているに違いない。鉄路の再興を考える時には"車では代替できない何か"を考える必要がありそうだ。
最初の目的地として新発田駅から5km程の距離に在る「中浦駅」に先ずは”近づく”。すんなりと”到着”と書けなかったのは、自家用車で乗り付けるにはなんとも難しい現場だったのだ。だだっ広い田園のど真ん中にポツンと在って、そこへ通じるのは畦道の幅を少し広げたような細い舗装道路。自家用車の交差に気を遣うような狭い幅だ。駅だと言われなければ分からないかもしれないような普通の住宅程度の大きさのシンプルな三角屋根の駅舎を発見して、小道をなんとか駅正面に乗り入れると、意外にも中型トラックと軽自動車が2台ほど停まっている。よもやパークアンドライドかと思いきや、駅構内で男性作業員3名が見えた。鉄道設備の補修工事を行っているようだ。
駅舎に入り時刻表を見ると、予習していたとおり通勤時間を除き二三時間に一本の頻度。そして、田園のど真ん中に在るので、通勤通学のために利用するには集落から距離が遠すぎるし車で乗り付けるには駅前の敷地も狭すぎる。「この駅の利用が増えるようになるには何をどうすればよいか」。羽越本線の利用増進を考えようと現場を見始めた矢先に最初から難問を突き付けられたような気持ちになる。
平日の午後の時間帯に閑散としたローカル線無人駅をスーツ姿の中年がうろうろしているのは作業員から怪しく見られそうな気配があったし、駅そのものに特段の発見は無かったので、そそくさと車に乗り込んで「中浦駅」を後にする。「この駅の周辺地域に何か人寄せのヒントは無いものか」と気持ちを入れ替えて車を再び走らせ始めたのだ。
(「活かすぜ羽越本線100年2「新発田駅以南編・中浦駅(その1)」」終わります。「活かすぜ羽越本線100年3「新発田駅以南編・中浦駅(その2)」」に続きます。)
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