新潟久紀ブログ版retrospective

活かすぜ羽越本線100年21「新発田駅以北・私の提案(その6)」

■JR羽越本線100年を機に新発田地域の振興を考えます。
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◆新発田駅以北・私の提案(その6)

 都市住民への呼びかけにおいて「櫛形山脈」そのものの魅力を遺憾なくアピールしたとしても、最後に踏み出す動機づけが必要に思えてならない。
 そこで、櫛形山脈の裾野付近を始め、山半ばの桜広場や公園、そして比較的険しい山道沿いの空間にまで、「タイムカプセル」を埋めるブロックエリアを設けたい。
 山の随所に用地を設けるのは、老若男女の各々での体力や好みなどの違いによる「私はここに埋めたい」というロケーション希望に応えるためだ。例えば山中の広めの公園敷地の一か所に造るのも否定はしないが、墓地の区画ようになってしまわないかと我ながら白けるのだ。
 植樹や植栽管理などで軽い疲労感と達成感を得た参加者たちに対して、ある程度の仕様と作法は決める必要があるとは思うが、各々で気に入った場所に自分だけの秘密を閉じ込めたタイムカプセルを埋めることを案内する。5年なのか10年後なのか、はたまた30年後以降か。年齢や事情により異なるであろう。しかし、必ずその時にこの地に来て開封したいという気持ちが途切れ途切れながらも保たれるだろう。
 こうして彼ら彼女らは、その再来時にこの里山の保全への応援に再び汗を流してくれるヒトになるのだ。中には開封の遺志を託された子孫がとって代わることもあるかもしれない。この行事を毎年開催すれば、数年後以降は一定数のヒトたちが毎年里山に来てくれることになり恒常的に地域に関与してくれる人の数を想定したり、その増減見込みにより、事前の対策なども考えることすらできるのだ。
 四季折々の風情がある低山なので、開催時期は、年内で複数タイミングも設定できる。降雪時期でさえもやりようによっては開催可能かもしれない。
 「櫛形山脈の保全応援と貴方だけのタイムカプセル」の旅には羽越本線を利用してもらう。列車というのは自分で運転にあくせくする必要もなく、しかも羽越本線は新発田地域においては平地をほぼ直線で走るので、ものの読み書きなどもできる。列車内にこの催事参加者向けのリーフレットを用意して、現場までの動線案内や作業、タイムカプセル埋め込みの作法などを事前に予習させて出来るだけ地元関係者の労力を減らしたい。また、この予習と併せて、作業後に誘いたい周辺観光スポットの案内やアクセス方法などの情報も刷り込みたい。
 駅から櫛形山脈まで徒歩でのアクセスを考えると、メインは「金塚駅」での降車となるが、駅前には飲食店は無いので、この催事の時間に合わせて地元特産品を使った軽食やお茶などを売る移動売店車をウエルカムゲートのように配したい。当然スタッフには地元や新発田地域に精通した者にして初めての土地に少し緊張する来訪者の肩をほぐしてやるのだ。
 鉄路での来訪というので当然のことながら飲酒もできる。帰りに「金塚駅」の前では一汗かいた達成感を満足感へと高める地元産のクラフトビールや日本酒などでお見送りをするということになる。
 しかしながら、どれほどの反応か全く当てにできない都会人だけを対象に考えるほど私は空想論者ではない。並行して、この企画に乗る人を構造的に確保する手立てを講じる必要があると考える。
 それは、保育園から中学生までの「都会へ出て行く予備軍」を早くから参加させることだ。
 高校進学の全県一区化などもあって高校生くらいになると地域を越えた通学に電車利用者も多くなるし、そのくらいの年頃にとって面白みがある遊び先となる新潟市へ運転免許はまだ無いので電車に乗ってということも往々にしてあり得るようになる。
 一方で中学生くらいでは、自宅から遠くない最寄りの公立中学等へとせいぜい自転車で通うということが多く、まして小学生以下は言うまでもなく、新潟県内では彼らは電車を日常使いするという経験が無いまま育つパターンが増えている。保育園年長においてはわざわざ電車を体験させる行事まであるという。
 新発田地域において中学生以下の電車利用体験行事において、羽越本線を集中して使うようにしてもらいたい。そして、体験電車の行き先を「櫛形山脈」にして、ここまで述べて来た植樹管理作業やタイムカプセルを埋める体験をつなぐのだ。
 先に述べたように櫛形山脈は老若男女の別に適したロケーションが様々に選べるフィールドであり、滞在時間や作業内容で色々な展開も可能。
 地元の里山が地域の安全安心な暮らしに如何に貢献しているかを臨地で体験し、将来の自分に向けたメッセージを考えさせることは、小中学生くらいであれば、郷土愛と地元での暮らしの意義を考えさせる大事な契機になると思うし、物心ついた幼児においても住宅街と都市部しか見ない日常の中で深く大きな緑を湛えた森林で汗をかいた思い出は、生涯残り続けるに違いないのだ。
 新発田地域内の子供達こそこの企画への参加を促して、地域の自然環境と社会経済の維持に向けて関与する人数の確保と、将来にわたる定住やUターンへつながる者が増えるようにすべきと考える。

(「活かすぜ羽越本線100年21「新発田駅以北・私の提案(その6)」」終わります。「活かすぜ羽越本線100年22「新発田駅以北・私の提案(その7)」」続きます。)
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