●出向初日の歓送迎会に歴戦の勇者を見る
記念すべき燕市への出向初日となる平成28年4月1日は金曜日であった。私など課長以上の職は市長から直接、それ以外の担当職等は各々課長からの辞令交付のイベントに雰囲気が畏まり、また、異動したばかりの職員達が同僚へ紹介されて挨拶したり、仕事の作法を教えられたりで、庁内の随所で賑わい感が出ていたりと、新年度初日の役所の執務室内の雰囲気は県庁と違わないなあと思う。
官民問わず職場の歓迎会というのは早い時期にやってしまう方が良いもので、大いに飲んで語るには翌日が休日ならなお良い。年度初日が金曜日ということで、出向初日に歓迎会にお招き頂くこととなった。私が勤める部署では課単位ではなく企画財政部全体で、しかも異動による転出転入者を併せて歓送迎会というスタイルで行うというので、40人以上の大人数の宴会になるという。終業後にマイクロバスで旧分水町の割烹まで20分ほどかけて出向くという。
明日は土曜ということで構わないが、分水町からの帰りが心配だなあと少し思う。燕市役所への通勤については私は車通勤を基本に考えていた。燕市庁舎が新潟市の私の自宅から車で一般道を1時間弱の距離であったこともさることながら、鉄道の駅は自宅からも庁舎からも各々歩いて30分や20分程度と遠く、新潟市からアクセスの良い路線のバス停も無かったのだ。なので、車を使えない飲酒を伴う会合は少し悩ましいものだった。
市役所に近い吉田駅から住居近くの駅までは夜間も比較的電車の本数があるのだが、分水駅となると少ない。歓迎してもらう立場で帰りの電車時間を気にした対応は気が引けるし、いきなり50km近いタクシー使用もキツいなあ…などと悩んでいたら、幹事から"福音"が。
なんと、分水町の宴会場から帰りもバスが用意され、分水駅はもとより、吉田駅など、職員の都合の良い場所を回ってくれるという。燕市役所は田んぼの真ん中に座していてプロバーの職員も車通勤が殆どであり、合併前の市町の中心市街地は市内に離れて分散しているので、宴会となると帰りのアシを配慮するのが慣例らしい。有り難い。吉田駅でバスを下ろしてもらえれば、新潟市への越後線の終電は22:30過ぎまてある。午前様とまではいかないがじっくり飲んで話すには十分だ。
気が楽になって、課員の数人とともに終業後に庁舎近くに待つマイクロバスに乗り込むと、部内の別の課である地域振興課の職員数名が既に座って雑談していた。隣の課の課長として出向してきた県職員である私が近づくと少し緊張感が走って気遣いされるかな…などと思うのはまったくの的外れで、彼らは全く私など意に介せずに賑やかであり、私にも屈託無く話しかけてくる。
何か軽く見られているのだろうか…とうがったりもしたが、そんな意識ではなさそうなことは話していると肌感覚で分かってきた。宴席で、私のような県からの新参者にも動じない若い職員達の悠然さに感心したといった趣旨の話を部長にしたところ、「我々は幹部も若手も、いわば社風や慣行が異なる別会社の社員であった者達が、ある日を境に一心同体となりなさいとされる市町村合併という激烈な経験をしてきている。相手を即座に見極め一気に打ち解けたりできるようになっているのだよ」と言う。
県職員としては業務での関わりが薄かったため市町村合併はほぼ他人事であったのだが、渦中の当事者となることを考えると、職の上から下へのもまれ具合は想像に難くない。目の前で明るく屈託なく大いに飲んで騒ぐ若い彼らも市町村合併に絡む歴戦の勇者なのだ。嘗めてかかればこちらが火傷するかもしれないと肝に銘じて杯を空けた。
官民問わず職場の歓迎会というのは早い時期にやってしまう方が良いもので、大いに飲んで語るには翌日が休日ならなお良い。年度初日が金曜日ということで、出向初日に歓迎会にお招き頂くこととなった。私が勤める部署では課単位ではなく企画財政部全体で、しかも異動による転出転入者を併せて歓送迎会というスタイルで行うというので、40人以上の大人数の宴会になるという。終業後にマイクロバスで旧分水町の割烹まで20分ほどかけて出向くという。
明日は土曜ということで構わないが、分水町からの帰りが心配だなあと少し思う。燕市役所への通勤については私は車通勤を基本に考えていた。燕市庁舎が新潟市の私の自宅から車で一般道を1時間弱の距離であったこともさることながら、鉄道の駅は自宅からも庁舎からも各々歩いて30分や20分程度と遠く、新潟市からアクセスの良い路線のバス停も無かったのだ。なので、車を使えない飲酒を伴う会合は少し悩ましいものだった。
市役所に近い吉田駅から住居近くの駅までは夜間も比較的電車の本数があるのだが、分水駅となると少ない。歓迎してもらう立場で帰りの電車時間を気にした対応は気が引けるし、いきなり50km近いタクシー使用もキツいなあ…などと悩んでいたら、幹事から"福音"が。
なんと、分水町の宴会場から帰りもバスが用意され、分水駅はもとより、吉田駅など、職員の都合の良い場所を回ってくれるという。燕市役所は田んぼの真ん中に座していてプロバーの職員も車通勤が殆どであり、合併前の市町の中心市街地は市内に離れて分散しているので、宴会となると帰りのアシを配慮するのが慣例らしい。有り難い。吉田駅でバスを下ろしてもらえれば、新潟市への越後線の終電は22:30過ぎまてある。午前様とまではいかないがじっくり飲んで話すには十分だ。
気が楽になって、課員の数人とともに終業後に庁舎近くに待つマイクロバスに乗り込むと、部内の別の課である地域振興課の職員数名が既に座って雑談していた。隣の課の課長として出向してきた県職員である私が近づくと少し緊張感が走って気遣いされるかな…などと思うのはまったくの的外れで、彼らは全く私など意に介せずに賑やかであり、私にも屈託無く話しかけてくる。
何か軽く見られているのだろうか…とうがったりもしたが、そんな意識ではなさそうなことは話していると肌感覚で分かってきた。宴席で、私のような県からの新参者にも動じない若い職員達の悠然さに感心したといった趣旨の話を部長にしたところ、「我々は幹部も若手も、いわば社風や慣行が異なる別会社の社員であった者達が、ある日を境に一心同体となりなさいとされる市町村合併という激烈な経験をしてきている。相手を即座に見極め一気に打ち解けたりできるようになっているのだよ」と言う。
県職員としては業務での関わりが薄かったため市町村合併はほぼ他人事であったのだが、渦中の当事者となることを考えると、職の上から下へのもまれ具合は想像に難くない。目の前で明るく屈託なく大いに飲んで騒ぐ若い彼らも市町村合併に絡む歴戦の勇者なのだ。嘗めてかかればこちらが火傷するかもしれないと肝に銘じて杯を空けた。
(「燕市企画財政課3「出向初日の歓送迎会に歴戦の勇者を見る」編」終わり。県職員としては異例の職場となる燕市役所の企画財政課長への出向の回顧録「
燕市企画財政課4「電子決裁、タブレット協議」編」に続きます。)
☆ツイッターで平日ほぼ毎日の昼休みにつぶやき続けてます。
https://twitter.com/rinosahibea
https://twitter.com/rinosahibea