昭和から平成の独居8年間。振り返ると「自由と気まま」がよみがえる。
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一人暮らしを振り返り始めたきっかけは…。
大学入学に伴う初めての一人暮らしは、無頓着が災いして父親任せで決めた新潟市内の安普請のアパート。倉庫を改造したような安普請の車庫上の六畳一間にトイレは共同で風呂も離れの小屋。不便極まりなく、神田川の世界はごめんとばかり、転居することばかりを考えていた。
大学の先輩の後釜として入居したのは、古い木造で六畳一間なれど釜付き風呂と専用トイレ、駐車場も完備の一目惚れ物件。砂丘の高みに建って遠く松林の合間から日本海を見渡せる景色は最高で、穏やかな夏の夜の水平線に並び夜空を照らす漁船の漁り火は忘れ得ぬ思い出の宝。
就職決まるも配属先は新年度に入って判るということで、引っ越し先も決められないために大学最後の春休みは実家に引き上げた。就職以来、地元を離れてアパートや持ち家暮らしになって振り返れば、独身時代に実家で過ごした最後の2週間は、モラトリアム感満載の柏崎ライフだった。
新潟県庁に配属されるや入居したのはオンボロ鉄筋造の単身向け「文京寮」。上司は確保に腐心したとどや顔だったが、四畳半一間で洗面所などは共同、風呂も土日無しで、大学生時代より落ちる生活水準に耐えられずに2ヶ月で離脱。空き巣騒ぎもあって身勝手にはお咎め無しで済んだ。
勤め人となって初めてのアパート選びは、窓の直ぐ下を悠々と流れる信濃川河口の素晴らしい眺めだけに魅了されて即決してしまった。仕事を終え帰宅して部屋を暗くして川面に映る街の灯を眺めつつ好きな楽曲をBGMに洋酒を嗜む夏場は最高だったが、一人暮らし最大の悲劇が待っていた。
風当たりの強い信濃川沿いに建つ安普請のアパート暮らしで酷い目に遭ったので、次は住宅地の新築アパートへと転居した。残業が多いから職場近くに越したのに直ぐ定時上がりの出先事務所に転勤に。独身最後をのびのびアクティブに過ごす拠点となった部屋は窓から仰ぎ見る月が美しかった。
***** coming soon ******
07 メゾン藤
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