▼16音楽鑑賞に傾倒(その2・邦楽)
中学生時代は余暇の過ごし方として洋楽鑑賞に目覚めたことが大きかったのだが、邦楽についてはテレビで流れるベタな歌謡曲にうんざりしつつも心を捉えられるものが少なからずあった。
小学校高学年時代に友人たちとハマったラジオの深夜放送の合間に流れてくるフォーク系の佳曲の中には、”ふきのとう”の「風来坊」のように、真夜中の静寂ということもあって孤独を噛みしめるような思いにさせられるものもあったのだが、単品として聞き流す限りにおいての感動というもので、特定のアーティストに入れ込んだりアルバムを買いそろえたりということまではしなかった。
しかし、中学時代の生活を支配していたバスケの部活動において、毎日練習疲れでヘトヘトで、晩飯を食べればバタンキューと倒れ込むように早寝していた新入部員時代を経て、2年生になって少し余暇を楽しむ時間が出てき時に、大人びた世界の扉を少し開けてくれるような名作のリリースのタイミングが重なった。
松任谷由実さんは、ラジオを通じて荒井由実さん時代からのシングルを耳にしてはいたが、ふとしたことで1978年秋発売のアルバム「流線形’80」を全編通して聴く機会があった。
様々な場面を歌う個性的な曲の集まりでありながら、一本の映画を見ているように心地よい連鎖を感じさせ、夢中にさせる気持ちを萎えさせることなく全曲を聴き終えてしまうのだが、単にスムーズでスピーディーであっという間にということでなく、各々の楽曲が映画を見終えたような満足感を残しながらというものだったので、大いに感動した。
そして、なによりも女性目線での主張が前に出ている歌詞というのはとても大きなインパクトだった。それまで聴いてきた歌謡曲では、女性が恋心を歌うものでも、男性サイドで都合よく想像された内容のようで好むことができなかったのだ。
当時、そんな邦楽から新たに得られた感動を共有できるような友達が誰かいないかと思っていたが、よくつるんでいた男友達は各々が可愛いアイドル歌手にご執心で相手にしてもらえない。松任谷由実さんを語り合えるような大人びた感性は同い年には期待できないようだと諦めていたものだ。
そんな中学2年の終わり頃であったか、ある日の放課後、役員としての用務で生徒会室に行くと別の役員の女子が独りで居て、他の者が中々現れないので雑談に及ぶことがあった。学業もスポーツも秀でていて人気者の彼女は上流社会の人のような気がして、小学校も同じだったのにそれまで殆ど話すことが無かったのだが、話のふとした流れで「流線形’80」を口にすると、目を輝かせて矢継ぎ早にその素晴らしさを話し始めてくれた。
私が抱いていた大人びた歌詞から伝わる世界観の素晴らしさなどを同様に話してくれるものだから、普段何を考えているか分からない者同士が感性をシンクロさせられることがこれほど楽しいものなのかと感じた。やはり、同い年でも女子の方が大人びているなあと改めて思ったものだ。
更に、高校進学を意識する中学3年生となった頃合いでは、一人で受験勉強に臨む孤独感に妙にマッチして、日々自分を励ますように聴き返す曲に出会えた。
吉田拓郎さんの「流星」は、夕食を終えて一息ついてこれから勉強を始めるかという時間帯に隣の茶の間から聞こえてきたもので、家族が見ていたテレビドラマのオープニング曲だったと思う。それを聞き終えると何か集中するためのギアが入るような思いだった。
それをラジオ放送からカセットテープに録音して、皆が寝静まった夜中の勉強の一休みの時間に、部屋の電気を消して開けた窓から星の瞬く夜空を見上げながらヘッドフォンで聴いたものだ。
吉田拓郎さんは後日、この曲の歌詞づくりにあたっての経緯を照れ隠しなのか軽く砕けた感じでお話になっていたが、少し難しい高校へと進学希望を変えた私が孤独な受験勉強に耐える手助けをしてくれた有難い曲であったばかりでなく、その後に年を重ねていく中で折々にフィットした解釈を与え心神を癒したり諭したりしてくれた。「流星」は40年以上に亘る今に至るまで聴き継ぐ名曲となっている。
そんな情緒的に印象深くしみじみと心に残る中学時代の邦楽の思い出を記してきたが、その頃に日本のみならずというかむしろ世界側からブームが一気に押し寄せてきた”YMO”にも御多分に漏れずに私は引き込まれることになる。ファーストアルバムの「中国女」のこれまで聴いたことのない鮮烈さに魅了され、続くアルバム「ソリッドステートサバイバー」での強烈さに凌駕されるような気持ちだった。ただ、和製といってもこれほどのレベルになると、邦楽という枠では括れないジャンルなのだろうな。
☆「活かすぜ羽越本線100年」をスピンオフ(?)で連載始めました。
☆「新発田地域ふるわせ座談会」を日記と別建てで連載してます。
☆新潟久紀ブログ版で連載やってます。
①「へたれ県職員の回顧録」の履歴リストはこちら
②「空き家で地元振興」の初回はこちら
③「ほのぼの日記」の一覧はこちら
➃「つぶやき」のアーカイブスはこちら
☆新潟久紀ブログ版で連載やってます。
①「へたれ県職員の回顧録」の履歴リストはこちら
②「空き家で地元振興」の初回はこちら
③「ほのぼの日記」の一覧はこちら
➃「つぶやき」のアーカイブスはこちら
↓柏崎市立第二中学校最寄りの東柏崎駅。当時は有人改札でしたが…。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/09/1e80f717fb6e9cde94af778adca312ed.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/9c/52f017439647199832d03ead6cfdff68.jpg)