最終回にこぎつけましたよ
さて主題歌の“Dive into the future”の用意はいいですか?
私は5,60回は聴いて妄想力を高めました
ではどうぞ!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
妄想ドラマ 『Dive into the future』 (15)
車は窓ガラスが割れ、バンパーが無残な姿に変形していたが、
スピードがあまり出ていなかったので、4人とも奇跡的に怪我はなかった。
「警察を呼んで登山道の入り口まで送ってもらおうよ」
雅紀が言った。
「なに言ってるんだよ!事故の検証に時間がかかるぞ」
「潤の言うとおりだ。それでなくても俺たちが前に山に入ったときより随分時間が経っている」
翔に言われて雅紀は腕時計を見て青ざめた。
「行こう!警察にこれから友人が雪崩に遭うんですって言っても信じてもらえない。
大丈夫、潤の車は走れる」
和也の言葉で、潤たちはシートのガラスを払い車に乗り込んだ。
そのころ智はすでに友人を追って山に入っていた。
仕事で疲れていたし、東京を出る前に少し仮眠をとっただけで体調はあまりよくない。
そのせいか長くて嫌な夢を見たことを思い出していた。
何かに追われて山の中を仲間たちと逃げている夢だった。
夢なのにその仲間たちのことが頭から離れない。
顔もぼやけて思い出せないのに、確かな絆でつながっていたという確信がある。
不思議な夢だった。
途中の避難小屋で休憩をし、簡単な昼食を摂っている間に雪が降り始めていた。
空はどんよりと重く、激しくなる雪は徐々に視界を悪くしていった。
冷たい風が智の全身に雪を叩きつけてくる。
(あいつはどこにいるんだ。頼むからどこかに非難していてくれ)
祈るような気持ちで足を進めた。
その時、どこからか声が聞こえたような気がした。
「リーダー行くな!」
智は立ち止まり、振り返った。
数人のパーティーが登ってくるのが、微かに見えた。
どこかで、自分がリーダーと呼ばれていたことを智は思い出そうとしていた。
「リーダーはさっきの避難小屋で休憩を取ったはずだ。たぶんもうすぐ追いつける」
カズが言った。
「腹へって死にそうだけど、その言葉で元気が出てきた。頑張ろう!」
雅紀がみんなを励ます。
しばらくすると前を行く人影が吹雪の中にぼんやり見えてきた。
潤が指差して言った。
「おい!あれじゃないか?」
「そうだよ!リーダーは青いヤッケ着てた」
視界が悪くてよくわからないが、雪崩が起きた地点は近い。
4人はがむしゃらに雪を蹴散らして進んだ。
「あの先の斜面だよ!間に合わない」
翔が悲痛な声を出した。
「あきらめるな!」
先頭を行く潤には固い握手を交わした智の笑顔だけが見えていた。
「リーダー行くな!行かないでくれ!」
心の中で叫びながら突き進んだ。
潤たちの思いが通じたのか智は立ち止まっていた。
後ろから来ていたパーティーがぐんぐん近づいてくるスピードに
何かあると直感したからだった。
先頭の一人が戻って来いというように手を振って合図をした。
何か叫んでいるがフードを振るわせる風の音がじゃまをする。
智が声の方へ数歩踏み出した時、風向きが変わったのか突然声がはっきり聞こえた。
「リーダー戻って来い!早く!」
自分を呼ぶ声。
確かに聞き覚えのある声。
智の脳裏にすべての記憶が蘇った。
140年後の世界で仲間たちと命をかけて過ごした数日のことがはっきりと。
その時、巨大な白い斜面がひび割れた。
「リーダー!」
4人の仲間たちの声を掻き消すように雪の流れは智を飲み込んだ。
潤は雪の中に膝から崩れ落ちた。
間に合わなかった。
ほんの20メートルほど先を雪の壁は一気に滑り落ちていった。
「リーダーが死ぬはずはない!」
和也が叫んだ。
潤が顔を上げると、吹雪の中に青い人影が立っていた。
そしてこちらへ向かって歩き出した。
4人は何が起こったのかわからずに、その場に立ち尽くしていた。
吹雪の中で顔が確認できるほどその人物が近づいた時、潤は自分が泣いていることに気がついて驚いた。
「リーダー・・・」
智は無事だった。
みんな言葉を交わすことなく、ただ力強く智と抱き合った。
一人ずつゆっくりと。
それから、5人は一番近い避難小屋まで戻った。
小屋の中に入って、背負っていたザックを降ろすと智が言った。
「ありがとう。俺を助けに来てくれたんだ」
「でも間に合わなかった。雪崩に巻き込まれたんじゃ?」
潤が聞くと、智はグローブを手首の部分までまくって見せた。
そこには腕時計に似たあの装置がつけられていた。
140年後の世界で開発されていた能力の増幅装置。
「シールドを張ったのか!」
「外すの忘れてたってわけさ」
智が微笑んだ。
「もう、俺なんてリーダーが流されたと思って号泣するとこだったよ」
雅紀が智の髪をくしゃくしゃになでながら言った。
「みんなの声を聴いた途端に記憶が戻ったおかげだよ。ほんとにありがとう」
「くそっ、心配させやがって」
潤が智の肩に腕を回して笑った。
「俺はリーダーは殺しても死ぬような奴じゃないとわかってたよ」
「嘘つけ、それならなんであんなに必死になってたんだ?」
翔に言われてカズは照れたように笑うと、しっかりと智の手を握った。
再会を喜んだが、智はすぐに厳しい顔になって携帯を取り出した。
自分が追いかけてきた親友の安否が気になった。
親友の恋人、真山沙希からメールが届いていた。
松本薫は槍ヶ岳山荘にいた。
「俺、親友が死ぬ気じゃないかと思って追っかけて来たんだけどさ、
そいつ槍ヶ岳山荘にいたよ。そんなに柔なやつじゃなかった」
「よかったな。結局リーダーは親友じゃなくて俺たちを助けるために雪崩にあったようなもんだ」
和也が言った。
「そうだな。シールドがなきゃやられてたな」
潤が言うとみんな頷いた。
「じゃ、命の恩人にお礼をしてもらおうかな」
「いいよ。山降りたらさ、焼肉食いに行こうぜ!」
「また焼肉?雅紀は焼肉以外の食べ物を知らないんじゃない?」
5人の笑い声が風の音を消した。
久しぶりに心から笑えたと潤は思った。
来年はきっといい年にしてみせる。
恐れずに信じた道を進もう。
智、翔、和也、雅紀も同じ気持ちだった。
固い絆が5人の背中を押していた。
--------end---------
さて、今回の妄想ドラマはいかがでしたか?
楽しんでもらえたでしょうか。
ミント(11歳)が冒険ものがいい!というのでリクエストに答えてみました。
私は『とにかくカッコイイ智くん』が密かなテーマでした
いつかタイムスリップものとして第2弾、3弾とやりたい気もしています。
まぁ今のところ、他の妄想が渦巻いているので遠い未来になりそうですが
では、そのうちまた妄想の世界で
さて主題歌の“Dive into the future”の用意はいいですか?
私は5,60回は聴いて妄想力を高めました
ではどうぞ!
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妄想ドラマ 『Dive into the future』 (15)
車は窓ガラスが割れ、バンパーが無残な姿に変形していたが、
スピードがあまり出ていなかったので、4人とも奇跡的に怪我はなかった。
「警察を呼んで登山道の入り口まで送ってもらおうよ」
雅紀が言った。
「なに言ってるんだよ!事故の検証に時間がかかるぞ」
「潤の言うとおりだ。それでなくても俺たちが前に山に入ったときより随分時間が経っている」
翔に言われて雅紀は腕時計を見て青ざめた。
「行こう!警察にこれから友人が雪崩に遭うんですって言っても信じてもらえない。
大丈夫、潤の車は走れる」
和也の言葉で、潤たちはシートのガラスを払い車に乗り込んだ。
そのころ智はすでに友人を追って山に入っていた。
仕事で疲れていたし、東京を出る前に少し仮眠をとっただけで体調はあまりよくない。
そのせいか長くて嫌な夢を見たことを思い出していた。
何かに追われて山の中を仲間たちと逃げている夢だった。
夢なのにその仲間たちのことが頭から離れない。
顔もぼやけて思い出せないのに、確かな絆でつながっていたという確信がある。
不思議な夢だった。
途中の避難小屋で休憩をし、簡単な昼食を摂っている間に雪が降り始めていた。
空はどんよりと重く、激しくなる雪は徐々に視界を悪くしていった。
冷たい風が智の全身に雪を叩きつけてくる。
(あいつはどこにいるんだ。頼むからどこかに非難していてくれ)
祈るような気持ちで足を進めた。
その時、どこからか声が聞こえたような気がした。
「リーダー行くな!」
智は立ち止まり、振り返った。
数人のパーティーが登ってくるのが、微かに見えた。
どこかで、自分がリーダーと呼ばれていたことを智は思い出そうとしていた。
「リーダーはさっきの避難小屋で休憩を取ったはずだ。たぶんもうすぐ追いつける」
カズが言った。
「腹へって死にそうだけど、その言葉で元気が出てきた。頑張ろう!」
雅紀がみんなを励ます。
しばらくすると前を行く人影が吹雪の中にぼんやり見えてきた。
潤が指差して言った。
「おい!あれじゃないか?」
「そうだよ!リーダーは青いヤッケ着てた」
視界が悪くてよくわからないが、雪崩が起きた地点は近い。
4人はがむしゃらに雪を蹴散らして進んだ。
「あの先の斜面だよ!間に合わない」
翔が悲痛な声を出した。
「あきらめるな!」
先頭を行く潤には固い握手を交わした智の笑顔だけが見えていた。
「リーダー行くな!行かないでくれ!」
心の中で叫びながら突き進んだ。
潤たちの思いが通じたのか智は立ち止まっていた。
後ろから来ていたパーティーがぐんぐん近づいてくるスピードに
何かあると直感したからだった。
先頭の一人が戻って来いというように手を振って合図をした。
何か叫んでいるがフードを振るわせる風の音がじゃまをする。
智が声の方へ数歩踏み出した時、風向きが変わったのか突然声がはっきり聞こえた。
「リーダー戻って来い!早く!」
自分を呼ぶ声。
確かに聞き覚えのある声。
智の脳裏にすべての記憶が蘇った。
140年後の世界で仲間たちと命をかけて過ごした数日のことがはっきりと。
その時、巨大な白い斜面がひび割れた。
「リーダー!」
4人の仲間たちの声を掻き消すように雪の流れは智を飲み込んだ。
潤は雪の中に膝から崩れ落ちた。
間に合わなかった。
ほんの20メートルほど先を雪の壁は一気に滑り落ちていった。
「リーダーが死ぬはずはない!」
和也が叫んだ。
潤が顔を上げると、吹雪の中に青い人影が立っていた。
そしてこちらへ向かって歩き出した。
4人は何が起こったのかわからずに、その場に立ち尽くしていた。
吹雪の中で顔が確認できるほどその人物が近づいた時、潤は自分が泣いていることに気がついて驚いた。
「リーダー・・・」
智は無事だった。
みんな言葉を交わすことなく、ただ力強く智と抱き合った。
一人ずつゆっくりと。
それから、5人は一番近い避難小屋まで戻った。
小屋の中に入って、背負っていたザックを降ろすと智が言った。
「ありがとう。俺を助けに来てくれたんだ」
「でも間に合わなかった。雪崩に巻き込まれたんじゃ?」
潤が聞くと、智はグローブを手首の部分までまくって見せた。
そこには腕時計に似たあの装置がつけられていた。
140年後の世界で開発されていた能力の増幅装置。
「シールドを張ったのか!」
「外すの忘れてたってわけさ」
智が微笑んだ。
「もう、俺なんてリーダーが流されたと思って号泣するとこだったよ」
雅紀が智の髪をくしゃくしゃになでながら言った。
「みんなの声を聴いた途端に記憶が戻ったおかげだよ。ほんとにありがとう」
「くそっ、心配させやがって」
潤が智の肩に腕を回して笑った。
「俺はリーダーは殺しても死ぬような奴じゃないとわかってたよ」
「嘘つけ、それならなんであんなに必死になってたんだ?」
翔に言われてカズは照れたように笑うと、しっかりと智の手を握った。
再会を喜んだが、智はすぐに厳しい顔になって携帯を取り出した。
自分が追いかけてきた親友の安否が気になった。
親友の恋人、真山沙希からメールが届いていた。
松本薫は槍ヶ岳山荘にいた。
「俺、親友が死ぬ気じゃないかと思って追っかけて来たんだけどさ、
そいつ槍ヶ岳山荘にいたよ。そんなに柔なやつじゃなかった」
「よかったな。結局リーダーは親友じゃなくて俺たちを助けるために雪崩にあったようなもんだ」
和也が言った。
「そうだな。シールドがなきゃやられてたな」
潤が言うとみんな頷いた。
「じゃ、命の恩人にお礼をしてもらおうかな」
「いいよ。山降りたらさ、焼肉食いに行こうぜ!」
「また焼肉?雅紀は焼肉以外の食べ物を知らないんじゃない?」
5人の笑い声が風の音を消した。
久しぶりに心から笑えたと潤は思った。
来年はきっといい年にしてみせる。
恐れずに信じた道を進もう。
智、翔、和也、雅紀も同じ気持ちだった。
固い絆が5人の背中を押していた。
--------end---------
さて、今回の妄想ドラマはいかがでしたか?
楽しんでもらえたでしょうか。
ミント(11歳)が冒険ものがいい!というのでリクエストに答えてみました。
私は『とにかくカッコイイ智くん』が密かなテーマでした
いつかタイムスリップものとして第2弾、3弾とやりたい気もしています。
まぁ今のところ、他の妄想が渦巻いているので遠い未来になりそうですが
では、そのうちまた妄想の世界で