嵐ファン・大人のひとりごと

嵐大好き人間の独りごと&嵐の楽曲から妄想したショートストーリー

妄想ドラマ『スパイラル』 (6)

2010年11月28日 | 妄想ドラマ『スパイラル』
  妄想ドラマ 『スパイラル』 (6)




時計の針が午後10時を回った。

渉は美菜の携帯の番号を押しかけて手を止めた。

まだ仕事が終わっていないかもしれない。

或いは川崎が隣にいるという可能性も考えられる。

川崎に知れるとやっかいなことになりそうな気がした。

声を聴きたい気持ちを抑えて、渉は自分の番号をメールで送信した。


翌日は睡眠不足で頭が重かった。

美菜からの電話を待って明け方まで眠れなかったからだ。

まるで初めて恋をした中学生みたいだと自分を笑った。

人並に恋愛経験はある。

結婚を考えた人もいた。

しかし、こんなにも心を持って行かれたのは美菜が初めてだ。

美菜も好きだと言ってくれたのに、それでもまだ不安でその先の何かを求めている。


夕方、携帯の画面に美菜の二文字が光った。

渉は高鳴る心を抑え、平静を装った声で言った。

「忙しかった?」

「うん・・・でも本当はなかなか電話する勇気がなくて」

「どうして?」

「声を聞くと会いたくてたまらなくなりそうだったから」

美菜の言葉が嬉しかった。

渉はやっと心が温かいもので満たされていくような気がした。

それから二人で他愛ない話をした。

舞台の稽古で聞きなれたはずの美菜の声が新鮮に聞こえる。

「明日はいよいよ初日だって考えただけで、緊張してきちゃう」

「大丈夫だよ。美菜は本番に強いから」

「よかった。渉さんが大丈夫って言ってくれると安心する」

「あのさ・・・」

「なに?」

「川崎さんに何か話した?」

「私たちのこと?」

「うん」

「何も話すつもりはないの。二人だけの秘密」

「そうだね。舞台終わるまでは周りの人たちに悟られないように注意したほうがいいと思う」

渉は舞台の間は美菜と二人きりで会うのは難しいだろうと思っていた。

ただでさえ人気女優の美菜の行く先には、スクープを狙う人間たちがいる。

この舞台が千秋楽を迎えるまで、二人の関係は絶対嗅ぎつけられてはいけない。

ふと、川崎が言った言葉が脳裏をよぎったが、すぐに振り払った。



美菜の初舞台は順調なスタートを切った。

小田中プロのホームページにも、驚くほど多数の追加公演の要望が寄せられた。

もちろん追加公演など小田中プロは考えていない。

社長の小田中は密かに進めている映画の成功を予感し、ひとりほくそえんでいた。

渉と美菜はそんな周りの思惑を知る由もなく、深夜の電話だけで二人の愛を育んでいた。



事件はちょうど舞台の日程が終盤に差し掛かったころに起こった。

演劇誌のインタビューを終えた渉は、その足で早めに楽屋に入り、

西野が入れてくれたコーヒーを飲みながら、インタビューの時にもらった雑誌を見ていた。

ドアの外でバタバタと人が行きかう気配と、誰かを呼ぶような声がした。

渉は少し気になったが、一瞬顔を上げただけでまた雑誌のページをめくっていた。

「なんかさっき騒がしくなかった?」

西野が言った。

「そうだね」

「ちょっと俺、見てくる」

そう言って楽屋を出た西野は、しばらくすると厳しい表情で戻ってきた。

「美菜ちゃんが倒れたって」

「倒れた?」

渉は思わず立ち上がった。

「詳しいことはよくわからないけど、救急車が来てる」

楽屋を飛び出そうとする渉を西野が引きとめた。

「待て、俺たちにできることはないよ。もう救急車に乗ったと思うし」

「でも」

「みんなに押しかけられたら美菜ちゃんだっていやだよ」

「美菜の様子はどうだった?」

「見てないからわからないけど、救急車を呼ぶくらいだから今日の舞台は無理だろうな」

「美菜・・・命に係わるようなことじゃないよね?」

「大丈夫だよ」

「どうしてそう言える?」

「川崎さんが冷静だった。渉も落ち着け」

西野の言うとおり今、自分にできることはないだろうと渉は思う。

それでもすべてを放り出して美菜のもとへ駆けつけたい思いでいっぱいだった。

「とにかく指示があるだろうからここで待ってるしかないな。沢渡さんもまだ来てないし」

西野は事務所に連絡を入れ、しばらく誰かと話し込んでいた。

声は聞こえているはずなのに渉の頭には入ってこない。

今朝の電話で、今日もがんばろうねと言っていた美菜の元気な声を思い返していたから。

30分ほど経っただろうか、誰かがドアをノックした。

「沢渡さんがお見えになりました。スタッフルームに集合するようにとのことです」

渉と西野がスタッフルームに行くと、沢渡と舞台監督が何やら話していて、

出演者のうちの半分くらいが来ていた。

その中に不安げな顔をした沙織を見つけてそばに行った。

話しかけようとしたとき、沢渡が立ち上がった。

「全員は揃っていないけど、時間がないのではじめます。もう聞いてる人もいると思うけど

 美菜ちゃんが急に具合が悪くなってきょうの公演にはでられません」

知らなかった数人から驚きの声が漏れた。

「しかし、小田中さんをはじめ各方面と相談の結果、今日の公演は30分遅れで上演することになりました。

 美菜の代役は新田沙織がやります」

渉が隣を見ると、さっきとは違う凛とした表情でみんなの視線を受け止める沙織がいた。



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妄想ドラマ『スパイラル』 (5)

2010年11月22日 | 妄想ドラマ『スパイラル』
昨日はおーちゃんのために4名様がサプライズを準備していたんですね

その場面に立ち会えなくて残念。

でもみなさんのレポ読んだだけでも十分感動しました

何十回目かわかんないけど“嵐のファンになれてよかった”と思いましたよ。

おーちゃんも幸せ者だね



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


   妄想ドラマ 『スパイラル』 (5)



「お疲れ様」の声が飛び交い、緊張の一日がやっと終わった。

報道、演劇関係者の評価は高く沢渡は上機嫌だ。


渉はホッとしたと同時に、幕が開く直前の美菜の言葉を思い返していた。

急に自分の気持ちを伝えたい思いが胸いっぱいになって抑えられなくなった。

あたりを見回したけれど、もう楽屋へもどったのか美菜の姿は見えない。

いつもより饒舌になった沢渡から解放されると、渉は足早に美菜の楽屋へ向かった。


楽屋のドアをノックするとマネージャーの川崎がドアを開けてくれた。

美菜はもう私服に着替えている。

渉は美菜に会ってどうするのか何も考えていなかったことに慌てた。

「きょうは素晴らしかったわよ高野さん。美菜がここまで頑張れたのはあなたのおかげ。

 これで安心して初日を迎えられるわね」

「ありがとうございます」

「せっかく来ていただいたけど、これからテレビの収録が1本あってね、時間がないのよ」

その時、美菜が川崎の話をさえぎった。

「2,3分ならいいでしょ?」

「そうね。どうぞ」

「川崎さん、先に車に行ってて」

美菜がそう言うと川崎の表情が一瞬険しくなった。

しかしソファにあった美菜の荷物らしい大きなバッグを持つと念を押すように言った。

「時間が無いこと忘れないでね。2,3分よ」

川崎が楽屋を出てドアを閉めるなり、美菜は入り口に立っていた渉に駆け寄った。

「今日の私に合格点くれる?」

「沢渡さんもほめてたよ。でもまだスタート地点に立ったところだからね

 本当の幕はまだ開いてない」

「沢渡さんじゃなくて渉さんにほめてもらいたいの」

「どうして?」

「また言わせるつもり?」

「美菜ちゃん・・・」

「美菜でいい」

渉は我慢できずに美菜を抱き寄せて言った。

「好きだよ美菜」

「ずっとこうしていたい」

渉はもっとお互いの気持ちを確かめたかった。

でも今の二人に許されたのは数分だけ。

「渉さん携帯は?」

「楽屋に置いてある」

「取りに行く暇ないね」

美菜はバッグから手帳を取り出すと何かを書いて、そのページを破って渉に渡した。

「私の携帯とメアド」

その時ドアがノックされた。

返事をする前にドアが開いて川崎が顔をのぞかせた。

「美菜ちゃん、時間オーバーでしょ。急いで」

「ごめんなさい。それじゃ渉さんお疲れ様でした」


慌ただしく美菜は行ってしまった。

渉は胸の高鳴りが消えてしまわないように手の中のメモの感触を確かめた。

自分の楽屋へ入ろうとしたき、川崎が廊下を走って戻ってきた。

「どうしました、忘れ物?」

「そうよ。高野さん、あなたに言っておかなくちゃいけない大事なことがあるの」

川崎は渉の腕を掴むと急に声を潜めた。

「美菜はラブストーリーをやるとね、相手役の役者さんに本気で惚れちゃうのよ。

 役と自分の気持ちを混同してしまうのね。でも、撮影が終わると憑き物が落ちたみたいに

 突然その恋は終わる。

 だからあなたもそのつもりでいてちょうだい。舞台の間だけよ。本気にするとあなたが傷つくだけ」

渉は混乱したけれど、美菜にもらったメモを握りしめて言った。

「わかりました。でも僕は大丈夫です」

「さっき美菜になにか言われた?」

「いえ、別に。今日の芝居について話しただけです」

「そう、ならいいの。タイムリミットだから行くわね」

「お疲れ様でした」


渉は今夜のうちに美菜に電話しようと思った。

川崎の言うことなんて信じない。

いや、川崎が言ったことが本当でもかまわない。

美菜の気持ちが一時の気の迷いでも、自分が美菜を思う気持ちは変わらないから。

そしてきっかけはどうでも、この先の二人のことは誰にもわからないと思う。

美菜に自分の気持ちを伝えたことで、渉はもう熱い気持ちを抑えることはできなくなっていた。


   ----------つづく-------- 6話へ
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妄想ドラマ『スパイラル』 (4)

2010年11月12日 | 妄想ドラマ『スパイラル』
Mステ、スカイツリーの話出ましたね

知ってても笑った。

ジュニア見せちゃった

相葉くんらしい失敗?

いけない!いけない!想像するな私!!

Mステの感想はまた明日にでも。


では気持ちを切り替えてどうぞ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



  妄想ドラマ 『スパイラル』 (4)



沢渡は気分が良かった。

渉と美菜に話をした翌日から二人の空気が変わったからだ。

少なくとも沢渡にはそう見えた。

二人のわずかな変化はほかのキャストにも好影響を与え、舞台全体のグレードが上がった手ごたえがある。

幕を開けるのに不安な材料は今のところ見当たらない。


チケットは発売当日に数時間で完売していた。

主演の美菜と渉の人気だけでなく、小田中プロがマスメディアをうまく使った宣伝の効果も大きい。

ワイドショーの興味は今や二人のキスシーンに集中している。

こうなることも小田中プロの予想どおりだった。

そしてワイドショーは渉への興味も煽った。

その時すでに、水面下では映画化に向けての準備が進められていることを、

渉はまだ知らされていなかった。


渉は舞台への情熱とは別の、もう一つの自分の気持ちを持て余していた。

舞台の上では渉と美菜は深い愛情で結ばれた恋人役なのだから、

当然そういう気持ちを入れて演じる。

二人だけの秘密を作った日から、美菜の演技は変わった。

たぶん変わったのは美菜一人ではなく、ふたりで変わったのだろう。

舞台の上では本気で愛されていると渉は感じるようになった。

美菜の自分を見つめる瞳も、声も、体もすべてがそれを物語っていた。

ただ、それはあくまでも演じているヒロインの気持ちだ。

そんなことは頭では分かっている。

でも稽古を終えて姿が見えなくなると、途端に美菜が恋しくなった。

渉は美菜を恋しく思うのも、気持ちの切り替えがうまくできずに、

役の気持ちを引きずっているのだと思う。

きっとそうだと自分に言い聞かせてみる。

けれど他の仕事をしている時は忘れていられるのに、家に帰ると何をしていても美菜のことが頭から離れない。

その腕に美菜を抱きしめる日を待ちわびる自分に戸惑うばかりだ。


美菜は相変わらず多忙で、稽古が終わるとすぐに帰ってしまい、

二人きりで話をするチャンスもない。

休憩の時はマネージャーがぴったりそばにいる。

渉は自分の気持ちを確かめることさえできなかった。


「舞台になにか不安でもある?」

ゲネプロの前日、マネージャーの西村が渉に聞いた。

「いや、特にないよ」

「ならいいんだけど。沢渡さんも珍しく褒めてるくらいだから自信を持って」

「俺、自信なさそうに見える?」

「なんだか時々考え込んでるみたいだから」

「大丈夫。みんなの期待には応える」

「そう来なくちゃ。美菜ちゃんのマネージャーの川崎さんも喜んでたよ。美菜ちゃんって

 根は人見知りなんだけど渉には心を許してるって」

「そうなのかな」

「今頃何言ってんだよ。そうなんだって」



いよいよゲネプロの当日を迎えた。

11月の東京にしては冷え込みの厳しい日だったが、

多くのマスコミ関係者で早くから会場は賑わっていて、熱気さえ感じられた。

入念に最終チェックをするスタッフたちが行きかう舞台のそでに美菜が現れた。

メイクをし、衣装に着替えた美菜は落ち着いているように見える。

渉がそばへ行くと途端に助けを求めるような切ない目になった。

「どうした?」

「もう緊張して頭が真っ白になりそう」

「大丈夫。いつもどおりにやればいい」

「手が震えているの。どうしよう」

差し出した美菜の手をそっと握ると冷たかった。

「大丈夫だよ、一人じゃないんだから」

「そうね、ひとりじゃない」

開演5分前を知らせる1ベルが鳴った。

美菜は渉の腰に両腕をまわして囁いた。

「ギュッと抱きしめて」

言われるままに渉は美菜を抱きしめた。

誰もが役に入っていると思った。

2ベルが鳴った。

手をつないで緞帳が上がるのを待つ。

今にも幕が開くと思ったとき、渉にだけ聴こえるように美菜が言った。

「あなたが好き」


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妄想ドラマ『スパイラル』 (3)

2010年11月08日 | 妄想ドラマ『スパイラル』
私ってよくばりなので、高野渉をおーちゃんと潤くんの二通りで妄想しております

時間が足りない進まない・・・


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



   妄想ドラマ 『スパイラル』 (3)



次の稽古日、渉が早めにスタジオBに行くと、沙織が鏡に向かって一人で台詞をつぶやいていた。

開いているドアに持たれてしばらく見ていると、いくつかの言葉が耳に飛び込んできた。

美菜が演じるヒロインの台詞だ。

「どうして、そんな練習を?」

声をかけると沙織が驚いて声の主を見た。

渉だと分かって少しホッとした様子だ。


「あの、誰にも言わないで、お願い」

「言わないけど・・・」

納得がいかない様子の渉を見て、沙織は事情を打ち明けた。

「沢渡さんに、いつでも美菜ちゃんの代役が務まるようにしておいてって言われてるの」

渉は言葉がなかった。

沢渡とは一昨日話をしたばかりだし、第一この舞台は美菜のために用意されたものだ。

「美菜ちゃんって、最近精神的にちょっと不安定で突然の体調不良とかあるらしいから」

「突然の体調不良?」

「具体的には教えてくれなかったけど、例えば過呼吸症候群とかパニック障害とか?」

「昨日話したけど、全然そんな風じゃないし、大丈夫だと思うけど」

「もちろんそうでなくちゃね。お客さんは美菜ちゃんと渉君を観に来るんだから」

明るく言ったその先は、心の中でつぶやいた。

( 残念だけど私の出番があるとは思ってないよ )

それから、渉を見てにっこり笑った。

「渉くん、この近くに美味しいラーメン屋さんあるの知ってる?今日、恭子ちゃんとか山川さんたちと

 行こうって話になってるけど一緒にどう?私がおごるよ。口止め料」

「うん、今日はこのあと仕事入ってないから行こうかな。おごりならチャーハンと餃子も」

「食べすぎて太ったらまずいでしょ」

「なんだ、口止め料ケチるの?」

「高野渉を太らせたらファンに怒られちゃう!」

「大丈夫、食べた分だけ動く」

「無理だとは思うけど美菜ちゃんにも声かけてみるね」

「うん」

「こう見えて渉君よりは美菜ちゃんと仲良くなってるよ私。出番は少ないけど

いい舞台作りたい気持ちは同じだから。

美菜ちゃんも少し肩の力抜いてみんなと付き合えると楽になるのにね」

沙織はガッツポーズをしてみせると女性の控え室に行ってしまった。


沙織は2年前のミュージカルで共演した仲間だ。

その時も沙織はムードメーカーだった。

ガラス細工のようにどこかはかなげな見た目と違って、明るく気さくな人柄が人気だった。

渉と歳が同じで、その上人見知りしない性格なのですぐに打ち解け、

友達以上の気持ちになりかけたところで舞台が終わった。


その後は去年の渉の舞台を沙織が見に来てくれて、次に会ったのは今度の舞台の顔合わせだ。

今は沙織に特別な感情は持って無いけれど、また一緒に仕事ができることは嬉しかった。

仕事に対する姿勢が自分と似ていると思う。

それに比べ美菜には戸惑ってばかりだ。

この前のことが急に蘇った。

美菜の唇の感触まで鮮明に覚えている。

舞台の演出では二人がキスしたところで暗転になる。

それも本当に唇を合わせることはない。

大半の客席の位置からはキスしたように見える角度で、顔を近づけるだけだ。

それなのに美菜はどういうつもりだったのだろうか。

役に感情移入しすぎただけなのか。

二人を呼びに来た川崎のノックで渉が我に返って体を離すと、

美菜は何事もなかったようにドアを開け帰っていった。


あれから渉の心には美菜に早く会いたい気持ちとわけのわからない不安が入り乱れていた。

再び美菜に触れると、自分の心の奥にふつふつと湧いてきた感情を誤魔化せなくなる予感がしたから。

---------つづく-------- 4話へ
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あー眠い。

睡眠時間は足りているはずなのに眠い。

にのちゃんと一緒だ!

光は浴びてるから朝から炭水化物をガッツリ?

夜もガッツリ食べたいんですけど。

太るじゃん



   
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妄想ドラマ『スパイラル』 (2)

2010年11月04日 | 妄想ドラマ『スパイラル』
紅白の司会、嵐くんたちが嬉しそうで私も嬉しい

台本できっちり固めずにのびのびやらせてほしいなぁ~

生で時間が限られてますから、そうもいかないでしょうけど。



それでは主題歌は『スパイラル』で


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


    妄想ドラマ 『スパイラル』 (2)



美菜の言葉に渉は驚いた。

先週のポスター撮りはスムーズにいった。

スタッフのおかげで終始和やかな雰囲気だったけれど、

今度の舞台に前向きになれない気持ちを、悟られたのかもしれないと渉は思った。

そういえば美菜とは挨拶以外の話をした記憶がない。

二人はカメラマンの要求通りにポーズをとり、表情を作った。

その間、美菜は自分から何かを話すことはなかったが、

スケジュールがきつくて疲れているのだろうと思い、渉はあまり気に留めなかった。


「きみと稽古をするのも初めてなのに、気にいらないなんて思ってないよ」

「そう・・・」

それきり美菜は何も言わなかった。



稽古が終わるとマネージャーの西村が、待ち構えたように聞いた。

「お疲れ様。どうだった?」

「スムーズに流れたけど、まだまだこれからだよね。沢渡さんも今日は何も言わなかったし」

「そうじゃなくて、美菜ちゃんとはどう?」

「正直、やりにくいよ。沙織とはなんかこう・・・全然違うんだよね」

「舞台は初めてだから?」

「そうじゃないんだ、ただうまく俺と噛み合わない感じ。初日だから仕方ないかな」

美菜に言われたことは西村には黙っていた。

お互いに対して苦手意識を持っていたのでは、いい芝居ができるわけがない。

映像の仕事と違い、舞台では大勢の観客の前で何度も同じことを演じるのだ。

そう美菜と何度も愛を語る・・・

渉はため息をつきそうになるのをこらえた。

まだ大丈夫、時間はあると自分に言い聞かせた。



渉は舞台の上では自分が演じている人物になりきる自信があった。

舞台の幕が上がった瞬間、自分の中に高野渉とは別の人格が現れる。

演じているはずの人物がもう一人の自分となって感情を持ち動き出す。

その間、高野渉は消えている。

しかしそれは一人では無理だ。

舞台を作り上げるメンバーの気持ちが一つになることが必須の条件である。

初日こそ気まずい思いをしたが、一緒に稽古を重ねれば美菜とも打ち解けあえる

と思っていた渉の思惑は外れた。

美菜の演技力は高く、申し分ないように見えたが渉と美菜の間には見えない深い溝がある。

そしていつまでたってもその溝は埋まる気配がない。


稽古を重ねるほど、演出の沢渡はどんどん不機嫌な表情を見せる回数が増え、

反対に口数は減った。

衣装合わせの後、渉と美菜は沢渡に呼ばれた。


渉が着替えて廊下に出ると美菜と鉢合わせした。

二人は黙ったまま沢渡の待つスタッフルームへ行き、ドアをノックした。

沢渡は二人に椅子にかけるように勧め、腕組みをしたまましばらく黙っていた。

やがて渉と美菜に厳しい視線を投げてから沢渡が口を開いた。

「二人でさ、じっくり話をしてみてよ。技術でこなそうとしたってだめなんだよ。

 今のお前たちの芝居で感動する人だっているだろうけど、それで満足か?俺はいやだね。

 沢渡一樹の演出の舞台がこんなんじゃ幕を開けられない」

「はっきり言ってください。私がいけないってことですか?」

美菜が言った。

「君たちが愛を語っても嘘くさいんだよ。芝居だからもちろん全部嘘なんだけど、
 
 舞台の上ではもっと本気でお互いを求めてよ」

また重い沈黙の時が流れた。

「渉、お前だってわかってるだろ?段取り芝居なんかするんじゃねぇよ。二人が同じところを目指さなきゃ

 上手な演技はできても人の心に残る舞台なんてできないんだよ」

沢渡の目はごまかせない。
 
渉は情けなくて、自分に腹がたった。

「確かに僕たちの気持ちが通じ合っているとは言えません」

渉が言うと沢渡は重そうなショルダーバッグを肩にかけ立ち上がった。

「わかってるじゃない。そういうことだよ。じゃ俺の話は終わり」

沢渡が出て行って、美菜と渉が残された。


「俺たち台詞以外の会話ってほとんどしたことないよね」

美菜は黙って頷くと、視線をテーブルに落としたまま渉に聞いた。

「高野さんは私のことどう思ってるの?」

「どうって?」

「嫌いでしょ。わかるもん」

「前にも言ったけどそんなことはないよ。もし、そう思わせていたならごめん。

 ただ確かに苦手意識はあった。でも今は心から一緒にいい仕事をしたいと思ってる。ほんとだよ」

「よかった。ずっと私と仕事するのが嫌なんだと思ってたの」

「もっと早くこうやって話せばよかったね。そうすればへんな遠慮なんてしないで芝居できた」

「じゃぁ、一気に二人の距離を縮めない?」

美菜は穏やかな、それでいて何かを決心したような口調でそう言って立ち上がった。

「距離を縮める?」

渉が美菜の言葉の意味を図りかねていると、美菜が渉の手を取って立たせた。

まっすぐに渉を見つめる美菜の瞳は少し潤んでいて、泣いてしまうのではないかと渉を

内心慌てさせた。

美菜は渉に両腕をまわして、肩にもたれかかった。

稽古の時のように、抱きあう演技ではなく本当に体を預けてきた。

渉も自然と美菜の体を抱きとめた。

美菜の柔らかな髪が頬に触れ、体温が伝わってくる。

他人と体を触れ合う緊張が少しずつ解けていく。


「忘れてしまったあなたのぬくもりをもう一度感じたいの。抱きしめて」

引き裂かれた二人が数年後に再会した時のヒロインの台詞だ。

渉は迷わず美菜にまわした腕に力を込めた。

まるで今までに何度もそうしてきたような気がする。

美菜の髪に頬を摺り寄せ、目をつぶると

腕の中の彼女を愛おしいと思う気持ちが自然とこみ上げてきて、

それが高野渉の気持ちなのか演じる役の感情なのかわからなくなった。

でもそんなことを思ったのはほんの一瞬で、

ただ心のままに美菜を抱きしめてぬくもりを感じていたいと思った。


やがて二人は体を離して見つめあうと長いキスを交わした。


  -----------つづく------- 3話へ
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実は妄想ドラマを始めるのはかなり迷ったんですけど、

スパイラル聴くとね、勝手にストーリーが

しかしこの先は悩む~~~どうしましょ?

ではまた



  


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妄想ドラマ『スパイラル』 (1)

2010年10月31日 | 妄想ドラマ『スパイラル』
久しぶりに妄想ドラマを始めます。

サトシックなラベンダーさんご希望。何か月も前

しかも“決して爽やかではない感じ”を目指したいと思います

だってそういうリクエストだったもん。ね?


今回は、5名様の中からお好きな誰かをキャスティングできるように、

主役の名前は高野渉(タカノワタル)にしました。

年齢は・・・末っ子に合わせて27歳ってことで。

私?

もちろんおーちゃんを主役に抜擢いたしました


《 主な登場人物 》

   高野渉・・・・・俳優 27歳

   鳴沢美菜・・・・若手人気女優 24歳

   新田沙織・・・・女優 27歳

   西野慶介・・・・渉のマネージャー

   川崎博子・・・・美菜のマネージャー

   沢渡一樹・・・・脚本・演出家

   小田中真一・・・美菜の所属事務所社長

         


主題歌は嵐の『スパイラル』でどうぞ



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


  妄想ドラマ 『スパイラル』 (1) 



いつもより時間をかけて丁寧に歯を磨いた。

それから鏡の中の自分の顔を見て、

小さくため息をついた。

憂鬱な気持ちが顔に出ている。


今度の舞台は気が進まなかった。

高野渉にとっては8本目の舞台だったが、こんなことは初めてだ。

携帯小説が原作のラブストーリーで、

ヒロインは若者向けのテレビドラマで人気の鳴沢美菜というのも気が重かった。

美菜とキスシーンを演じるとなれば、

そのことばかりがクローズアップされるのは目に見えている。

誰の考えなのか、キスシーンがあることはまだ伏せてあった。

マスコミにセンセーショナルに取り上げてもらうために、時期を計っているようだ。

しかし気が進まなくても、与えられた仕事は全力でやるしかないのもわかっていた。

鳴沢美菜の相手役を辞退できるような立場ではない。

そんなことをすればこれからの仕事に差し障りが出る。


渉は舞台での評価は年々高まっていたが、テレビでの露出が少ないため、

まだ知名度は低かった。

それでも恵まれたルックスと演技力の確かさで演劇ファンの女性の間で人気は高く、

渉が出演する舞台のチケットはいつも数日で完売していた。

美菜の所属事務所、小田中プロモーションの社長がそんな渉に目をつけて、

美菜の恋人役に抜擢したのだ。

小田中プロモーションは人気タレントを多数抱える大手で、放送業界にかなり顔が利く。

それに比べて、芸能界の片隅でなんとか生き残っているようなオフィスMKは

二つ返事で渉へのオファーを受けた。

渉が話を聞いたときは、すでにスケジュールも舞台の為に調整されていた。

そして事務所の社長にもマネージャーの西村慶介にもこれはチャンスだと言われた。

小田中プロが美菜のために用意したこの舞台はマスコミでも話題になる。

渉の名前と実力が世間に知られれば、連ドラの主役だって夢じゃないと。



渉はキャップを目深にかぶると、頬を両手でパンパンと軽くたたき、

無理やり気持ちを奮い立たせてマンションを出た。

稽古場に着くとマネージャーの西村が待っていた。

「今日から美菜ちゃんも稽古に来るって」

「どうせまた途中で帰っちゃうんじゃないの?」

「ドラマは昨日クランクアップしたそうだよ」


美菜はドラマとCMの収録のために本読みも途中で抜け、立ち稽古に入ってからは

まだ一度も顔を見せていない。

こんなに主役抜きで稽古が進められることは異例だ。

出番の少ない新田沙織がいつも美菜の代役を務めていた。

主役のいない稽古はみんなの士気も上がらない。

渉はいっそ沙織が相手役ならいいのにとさえ思っていた。

感がよく呑み込みも早い。

渉と芝居の息も合った。

色白で可憐な雰囲気の沙織は、27歳という実年齢よりずっと若く見えた。

主役を張れる実力も十分に持っている。

ただ、美菜のようにそこにいるだけでみんなの視線を集めてしまうような、

圧倒的な存在感は沙織にはなかった。



「そろそろ美菜ちゃんも本腰いれないとまずいでしょ。マネージャーの川崎さんと

  話したんだけど、この舞台で可愛いだけじゃないってところを見せたいんだって」

「可愛いだけじゃない・・・」

ポスター用の写真撮影の時の美菜の綺麗な顔が浮かんだ。

「彼女も24だし、そろそろ演技派とかいう評価が欲しいんだよ。今後の仕事につなげるためにもね。

マネージャーの川崎さんって僕の大学の後輩でさ、ぜひ渉の力を貸してほしいって頼まれたよ」

「俺に頼むより本人次第だろ」

「まぁそうなんだけどね」


稽古場になっているスタジオBは本来ダンススタジオで、2年前のミュージカルの時も

渉が練習を重ねたなじみの場所だ。

舞台の練習に使っている広いスタジオの他に3つのスタジオと、会議室や控室もある。

今回は、それをまるごと小田中プロが借りていた。

この舞台への小田中プロの意気込みが感じられる。

ドアを開けると他の出演者たちはもう揃っていて、台本を広げたりストレッチをしている。

演出の沢渡一樹と40代後半くらいの男性がなにやら話し込んでいた。

同じ40代でも年中ジーンズにジャンパーといったカジュアルな服装の沢渡と違って

その男性は仕立てのいいスーツに身を包み、余裕のある上品な笑顔をみせていた。

裕福な暮らしぶりを匂わせている。

渉に気が付いて、沢渡が手招きした。


「渉、こちらが小田中プロの社長の小田中さん」

「どうも、高野渉です」

「小田中です。もっと早くお会いしたいと思ってました。間近で見ると思ってたより男前だなぁ。

 美菜が惚れてしまわないか心配になってきた」

そういって小田中は愉快そうに笑った。

「君には期待してるんですよ。実力も申し分ないし、何と言っても舞台で美菜と並んだ時に

 見劣りしない華がある。なんで今までテレビで表舞台へ出てこないのか不思議だよ」

「それはどうも」

渉はなんと言って答えたものか困ってあいまいな笑顔を浮かべた。

「高野君は27だっけ?僕ならとっくに連ドラの主役クラスにしてた自信があるな。まぁ今回は君にとっても

 飛躍するチャンスだと思うし、美菜のことはよろしく頼みます。あの子にはね、

 まだまだ秘めた力があるんです」

「精一杯やらせていただきます」

そう言いながらも、小田中のことを苦手なタイプだと思った。

人当たりのよい笑顔の裏に、人を値踏みしているような傲慢さがちらちら見える。

「僕がいると沢渡くんも美菜もやりにくいだろうから帰ります。それじゃみなさん頑張って」 


小田中が帰って数分後、入れ違いに美菜が来た。

ノーメイクで長い髪を無造作に束ねているのに、稽古場の空気がパッと華やいだ。

「美菜ちゃん、セリフはどこまで入ってる?」

沢渡が聞いた。

「もちろん、すべて大丈夫です」

「じゃ美菜ちゃんが準備できたら、一幕の二人が上手から出てくるところからいこうか。

 みんなもスタンバイして」


美菜はスタジオの隅にいた渉を見つけると、まっすぐにやって来て

挨拶もなしにいきなりこう言った。

「あなたが私のこと気にいらなくても平気です。仕事ですからちゃんとやります」



   --------------つづく-------------   2話へ




ラベンダーさん、お待たせ

さて美菜と沙織どっちになる?

みなさんの中で渉は5名様の誰のビジュアル?

ではまた


  
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